今年で19年目を迎えるという音楽祭。
「マンドリンのまち前橋〜朔太郎音楽祭」
とされている。
私にとっては2019年以来だから5年ぶりだ。
思い起こせば、
私がこの地に嫁いで来て初めて義母と出かけたコンサートがマンドリンの演奏会だった…
当時、地元でマンドリン指導者として知られていた方と義父が親しい関係だったらしく、
年に何回かコンサートがある度に招待を受けていたらしい。
その折に司会をされてた地元テレビ局の元アナウンサーの方とも
その後、ご縁があって何度かパーティ等でご一緒した。
いつも丁寧で優しく接してくださる素敵な先輩だ。
その先輩アナウンサーのFさんが、今回の朔太郎音楽祭でも司会をされている…
なんだか嬉しくなった。
講師業が主になってからというもの、
コロナ禍以降、ナレーション以外のアナウンスの仕事は激減している。
司会の仕事、もっとやってみようかな…
と、そんな気になった。
マンドリンの音色は予想どおり、いや予想以上に心地良いものだった…
アレンジが素晴らしく、
第一部の高校生たちの演奏もよく揃っていて、
さすがに部活でよく鍛えられているものだと感心した。
主張しない音楽という言い方が相応しいのかどうかは、わからないけれど、
今回の朔太郎音楽祭で聞いたマンドリンの演奏はどれも耳に優しく、
それでいながらメロディーの美しさが際立った演奏だった。
特にメロディーの美しさを感じたのは、
第三部の社会人・大学生の部で、
一曲目に演奏されたシャンソンメドレーだった。
パリの空の下、枯葉、愛の讃歌…
特に『枯葉』に関しては、
マンドリンのトレモロが、まるで風に舞い散る枯葉の情景をそのまま表現しているように思えた。
第二部のテナー布施雅也さんと
ピアノ伴奏のの大野真由子さんの演奏も期待通りだった。
萩原朔郎の詩に
マンドリンの編曲者でもある武藤理恵さんが作曲された『こころ』は、
とても美しい曲で、
その哀愁を帯びたメロディーに引き込まれた。
お馴染みの『旅上』は、
学生時代に一学年上のソプラノの先輩が学内演奏会で歌っていたのを聴いたことはあったが、
布施さんの伸びやかなテナーは、
朔太郎自身の当時の想い、“フランスへの憧れ”を如実に表しているように感じた。
アンコールの2曲目で
『落葉松を歌います』と、ご自身で曲紹介された折には、
(もう一曲、できれば『落葉松』を聴きたいな…)
と思っていた矢先だったので、
思わず身を乗り出してしまった。
大野さんのピアノ伴奏も素晴らしかった…
朔太郎音楽祭は来年で20回を迎えるという。
新しい音楽とレトロな曲が丁度良いバランスで演奏される…
何より、
萩原朔太郎という郷土の詩人をリスペクトしながら、その思いを受け継いでいる。
ただ1つ言わせてもらうとすると、
来場者へのカンパをお願いする募金箱を置くより、
入場料は有料にした方が良いと思う。
一般1,000円、学生500円…
それくらいなら、
誰も文句は言わないのではなかろうか…?
それ以上に値する演奏を聴かせて貰ったのだから…