選手たちの入場では、生まれつきや病気、事故だけでなく、戦争や紛争で傷を負った人たちも参加していて、
世界で起こっている争いの現実を思わずにはいられなかったが、
ミュージカルの舞台を観ているような色彩豊かな照明といい、舞台のセットと言い、
現実のゴタゴタを全て忘れさせてくれる…
パラリンピックの開会式は、まさにファンタジーワールドだった。
あの片翼の飛行機を見た時に「どこかで見たことがある…」と思ったら
「紅の豚」で出ていたプロペラ機にも似ていた。
多くの人がジブリを思い浮かべたらしい…
あの片翼の飛行機に乗っている女の子は、どこかの劇団員だろうか?と思っていたが、
普通の中学生とのことで驚いた。
あの一途な目の表情がいい… 不思議な魅力を持った子だ。
前日の番組で、
東ちづるさんが、
「パフォーマーたちの仕事のステージが拡がればいい」と言っていたが、
スポーツの世界以上に、
文化芸術の分野では可能性があるのではないかと思わせた。
歌だって、器楽だって、ダンスだって…。
才能豊かな人たちがいる事を最大限にアピールしたパラの開会式だった。
「キ、キミは来ちゃだめだ」
「だって、アナタだけじゃ」
「いや、コレはワナだったんだよ」
「だけど、なんだかおいしそうなニオイ」
「そう、ボクも、このニオイに誘われてここに来てしまった…だけど、だけど、今はとっても後悔している」
「ちょっと待ってて、仲間を呼んでくる」
「いやダメだ、絶対にそれはやっちゃダメだ」
「だけど、アナタそのままじゃ、死んじゃう」
「いいんだよ、コレで。コレがオレの運命だったんだよ」
「アタシも、このままアナタと一緒にいたい」
「いや、きちゃダメだ!ダメだって!あっ、う、う、うしろ〜っ‼︎」
「えっ⁉︎」
SE:パチンとハエ叩きの音。
夫「なんか、カーテンにとまってたハエって、
ハエ取り紙に引っかかったハエと交信していたような…」
妻「あぁ、それでハエ取り紙に、引っ掛からなかったんだ!バカね、ジッとしてるから叩き潰されちゃうのに」
夫「瞬殺のほうが、ハエ取り紙で餓死するよりはいいのかもなぁ」
妻「そうね、だけどホント、ハエ取り紙って引っかからないよね、まだ昨日から2匹だけだよ」
山間の鄙びた別荘地でシニア犬と暮らす夫婦の日常会話は、こんな他愛ないものである。
完