遠い森 遠い聲 ........語り部・ストーリーテラー lucaのことのは
語り部は いにしえを語り継ぎ いまを読み解き あしたを予言する。騙りかも!?内容はご自身の手で検証してください。
 



ちょうど77年前の今頃 ソ連から北海道を守るために戦った 少年たちがいた。 

 

戦争が終わったとき 千島列島はまだ日本の領土で。千島列島最北端 シュムシュ島にも 24500の守備隊がいたのです。そのなかに豆たんと呼ばれる少年戦車兵がいました。しかし その日 ソ連のスターリン はアメリカ トルーマン大統領に 千島列島と北海道の北半分をソ連が占領すると打電。トルーマンは千島列島について認めたのです。スターリンは更なる野望を抱いていました。

 

豆タン 北海道  小田英孝  16歳

ぼくは 昭和4年 北海道で生まれた。昭和18年14歳の時 陸軍少年戦車兵学校に入学 昭和20年1月 卒業した5期生900名のうち 11名が戦艦天領に乗り北千島の北の端シュミュシュ島に向かった。ぼくらが配属される戦車隊第十一連隊のあたらしい連隊長 池田中佐も同乗されていた。ぼくらは少年戦車兵 豆タンと呼ばれ可愛がられた。

11連隊総勢764名のうち豆タンはぼくらを含め35名 こんぶや鮭 マス 食料を集めるのもぼくらの仕事だった。5月 雪が解けるころ シュムシュ島は花が咲き乱れ この世の天国だった。

 

8月16日 日本が負けたと知らされた。ぼくは これで家に帰れるとほっとした。17日戦車から砲弾や機関銃を取り外す作業をし 夜 食糧庫から羊羹や酒がだされ ささやかな宴会がひらかれた。ところが深夜 どーん どーん と地をゆるがす砲弾の音 18日 二時半 敵襲!! 敵襲!! 怒号がとびかう。敵が竹田浜に上陸したらしい。村上大隊が守る本部が危ない。

アメリカなら猛烈な艦砲射撃と空襲のあと上陸してくる ソ連ではないか ととっさに思った。はずした 砲弾や機関銃を軽戦車にとりつけた。

池田連隊長は丹生副官と背中合わせに砲塔から身を乗り出した。

「池田連隊 これより 敵中に 突入せんとす。祖国の弥栄を祈る 余につづけ!」 30両の戦車が四霊山に向かった。はじめての戦闘だった。

「小田 なにやってるんだ 撃て 撃て!!」

「宮田車長 敵が見えません!!」

「見えなくていい 前は全部 敵だらけだ 撃て 撃て あたってるぞ 撃ちまくれ!!」

戦車のなかは硝煙の煙でいっぱい 目が痛い。それでもかまわず 打ち続けた。

 

(15サンチカノン砲が火を吹いた。つづいて10サンチカノン砲 高射砲 が火を噴いた!! )

 

敵のソ連兵は 戦車の死角 後ろの空気取り入れ孔から 燃料を注ぎいれ 火をつける。

同期の豆タン 山本の戦車が火をふき 山本は戦車から飛び降り ソ連兵に立ち向かったが 火炎放射機にやられ 火ダルマになって 斜面を転がりおちていった。

山本の仇だ ぼくは軍刀を鞘から抜いて 倒れているソ連兵の生死を確かめようとした。その瞬間 ソ連兵がよろよろと立ち上がった。僕は無我夢中で軍刀を振り下ろした。ぐしゃという感触 僕はあとも見ずに逃げた。だがあのときのソ連兵のすがるような視線 手に残った生々しい感触は 戦後何十年も悪夢となって蘇り 僕をくるしめた。

丹生副官の遺体を戦車にしばりつけ 砲塔に馬乗りになって縦横無尽に指揮をしていた池田連隊長も総攻撃を受け 戦車もろとも散華なされた。第十一連隊 戦死者96名…..」

 


 

占守島にはニチロ漁業の缶詰工場があり400名の女子工員が残っていたが 8月19日16時、26隻の船に分乗し、ソ連軍機の爆撃を受けながら濃霧に紛れて脱出し、1隻を除いて北海道に帰還した。こうして若い女性たちの生命は守られ ソ連は北海道の占領をあきらめた。しかし勇敢に戦った占守島守備隊は武装解除され 10月シベリアに送られ 強制労働につかされた。

シベリアでは 酷寒のなか 乏しい食料で 過酷な労働につかされた 日本の兵士たち 少年たち が 日本の土を踏むことなく亡くなった。その数6万とも 一説には30万ともいわれる。

日本の兵士をシベリア開発につかうよう スターリンに アイデアを出したのは 英国の首相 ウィンストン・チャーチルと言われる。スターリンは由堕也人と思われる。

 


 

日本の軍部は 兵力不足を 補うため 少年たちを 各地にあつめて 講演会をひらき 志願をつのった。役場 学校に ポスターが貼られた。満蒙開拓義勇軍などは 学校に割り当てがあった。多くの少年たちが海を渡り 空へ舞った。生きて戻らぬ少年もいた。生き残った少年たちの多くがPTSDに長いこと 長いこと苦しんだ。少年たちがどのように 戦ったか 少しずつ 記していきます。この国は子どもたちをたいせつにする国ではない。戦争体験をあつめて十余年 さみしくかなしく思うのです。

 

 

 



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