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http://mylibrary.maeda1.jp/0483OilMajor2019-3rdQtr.pdf
2.2018年第3四半期以降の四半期別業績の推移(続き)
(上流に弱く下流に強いShell!)
(4)部門別利益の推移
(4-1)上流部門(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-66.pdf 参照)
前年の2018年第3四半期において上流部門の利益が最も多かったのはExxonMobilの42億ドルであり、BPの40億ドル、Chevronの34億ドルがこれに続いている。Totalの利益額は29億ドルで5社の中で上流部門の利益が最も少なかったのはShellの22億ドルであった。
続く第4四半期は各社とも利益が減少する中でBPは前期横ばいの39億ドルの利益を計上して5社のトップになった。Shellの利益は16億ドルに減少、前期に続き5社中の最下位であった。今年第1四半期も各社とも利益水準が低下、第2四半期の利益水準はわずかながら改善したものの、今期は再び悪化、上位3社(ExxonMobil、BP、Chevron)の落ち込みが激しく、ExxonMobil及びBPは1年前に比較すると利益が半減しており、各社とも過去1年で最低の水準である。
5四半期を通じて各社の上流部門の利益を比較すると、Shellが5社の中で最も利益水準が低く、同社の上流部門は他の4社に比べて見劣りがする。上流部門ではExxonMobil、BP、Chevronの3社がトップ争いを演じながら上位グループを形成し、Shell及びTotalが下位グループとなる状況が続いているが、今期は上位と下位グループの差が縮小している。
(4-2)下流部門(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-67.pdf 参照)
下流部門は2018年第3四半期及び第4四半期まで全社が利益を計上していた。昨年第3四半期はBPが21億ドルの利益を計上、Shell、ExxonMobil及びChevron3社の利益は10億ドル台であり、Totalは9億ドルにとどまっている。続く第4四半期はShell及びExxonMobilの利益が急騰BP、Chevron及びTotalは低迷した。しかし今年第1四半期にはExxonMobilの利益が急減、ExxonMobilは5社の中で唯一3億ドルの欠損となった。今年第2四半期はShell及びBPが引き続き利益が減少、ExxonMobil及びChevronが増益となり各社の明暗が分かれた。今期は5社いずれもが前期よりも利益が改善しているが、特にShellはV字回復となり他社を大きく上回る26億ドルの利益を出している。
(5)設備投資の推移 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-64.pdf 参照)
5社の過去1年間の四半期ベース設備投資額はExxonMobil及びChevronが毎期ほぼ安定した投資を行っている。ExxonMobilの投資額は66億ドル(’18 3rd Qtr)→78億ドル(4th Qtr)→69億ドル(’19 1st Qtr) →81億ドル(2nd Qtr) →77億ドル(3rd Qtr)であり、全期を通じて常に5社で最大の投資を続けている。
同社に次ぐ投資を行っているのはShellであり、その金額は58億ドル(’18 3rd Qtr)→71億ドル(’18 4th Qtr)→51億ドル(’19 1st Qtr) →52億ドル(2nd Qtr) →60億ドル(3rd Qtr)と推移している。Chevronの場合は毎期50億ドル前後でほぼ安定している。Total(62億ドル)は昨年第3四半期の設備投資がExxonMobilに次いで多かったが、その後急減し5社中で最も少なかった。しかし今期は67億ドルで再びExxonMobilに次いで5社中2位となっている。
(続く)
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