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石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

今週の各社プレスリリースから(8/6-8/12)

2017-08-12 | 今週のエネルギー関連新聞発表

8/8 昭和シェル石油 平成29年12月期 第2四半期決算について 

8/8 国際石油開発帝石 四 半 期 報 告 書 

8/8 OPEC JTC holds Special Consultations in Abu Dhabi with Several Producing Countries 

8/9 JXTGホールディングス 決算短信・説明資料 

8/9 石油資源開発 四 半 期 報 告 書 

8/10 コスモエネルギーホールディングス 2017年度 第1四半期 決算短信 

 

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(8月11日)

2017-08-11 | 今日のニュース

・サウジ、アジア向け中心に9月の出荷量52万B/D削減。日本向けも200万バレル削減

 

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BPエネルギー統計2017年版解説シリーズ:天然ガス篇 (9)

2017-08-10 | BP統計

 

2017.8.10

前田 高行

 

(一国で世界の天然ガスの22%を消費する米国!)

(2)国別消費量

(表http://bpdatabase.maeda1.jp/2-3-T01.pdf 参照)

 次に国別に見ると、最大の天然ガス消費国は米国であり、同国の2016年の消費量は7,786億㎥であった。これは全世界の22%に相当する。米国は石油についても世界全体の20%を消費しており(石油篇国別消費量参照)、世界一のエネルギー爆食国である。

 

 第2位はロシア(3,909億㎥、11%)でこの米露両国が世界の二大天然ガス消費国である。これに続くのが中国(2,103億㎥)、イラン(2,008億㎥)である。5位及び6位は日本(1,112億㎥)、サウジアラビア(1,094億㎥)と続き、これら6カ国が消費量1千億㎥以上の国である。

 

 2016年の天然ガス消費量を前年の2015年と比較すると、世界全体では1.8%の増加であるが、中国は世界平均を大幅に上回る8%の増加率である。イランおよびサウジアラビアの中東産油・ガス国もそれぞれ5.3%、4.7%と高い増加率であるが、両国とも発電、造水、家庭用燃料としての需要が伸びている。米国は前年比0.7%の増加でシェールガスの増産により天然ガスの価格が低位安定し(後述「天然ガス価格」参照)産業全体に波及効果が及んでいるものと考えられる。

 

 これらの国々に対してロシアは3%減少し、日本も1.9%減少している。日本の場合は2011年の福島原発事故による原発の全面停止により火力発電用のLNG輸入が急増した結果、2011年は前年比で11.6%増、2012年も同10.3%増と2年連続で二桁の大幅な増加となったが、2013年以降は毎年前年を下回っており、省エネが普及していることを示している。

 

 ヨーロッパ諸国の場合はドイツが前年比9.5%増、その他英国12.6%増、イタリア5%増といずれも平均を上回る増加である。2014年以降原油価格の下落と並行して天然ガス価格も下落、競合エネルギーの中で相対的な競争力が増したためと考えられる。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail;maedat@r6.dion.ne.jp

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(8月9日)

2017-08-09 | 今日のニュース

・クウェイト、カザフスタンなどOPEC/非OPEC産油国がアブダビで減産問題協議

・OPEC、米国の原油生産高水準。原油価格先週より1ドル以上下落、Brent $51.82, WTI $49.03

アブダビADNOC、複数の石油企業と海上油田の分割操業について協議を予定

・イランでザンガネ石油相再任含む内閣改造案を議会に提出。議会は再任に拒否権発動か

 

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BPエネルギー統計2017年版解説シリーズ:天然ガス篇 (8)

2017-08-08 | BP統計

 

2017.8.8

前田 高行

 

3.世界の天然ガスの消費量

(アジア・大洋州以外は地産地消型!)

(1)地域別消費量

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-3-G01.pdf 参照)

 2016年の世界の天然ガス消費量は3兆5,429億立方メートル(以下㎥)であった。これは日産3,418億立法フィート、石油換算では年産32億400万トンである。

 

 地域別では欧州・ユーラシアが1兆300億㎥と最も多く全体の29%を占めている。これに次ぐのが北米(9,680億㎥、27%)、アジア・大洋州(7,225億㎥、20%)であり、これら3地域で世界のほぼ4分の3を占めている。その他の地域は中東5,123億㎥、中南米1,719億㎥、アフリカ1,382億㎥であった。アフリカの天然ガス消費量は世界全体の4%で、欧州・ユーラシアあるいは北米の7分の1にとどまっている。

 

 各地域の消費量と生産量(前章参照)を比較すると、欧州・ユーラシアは生産量の世界に占めるシェアは28%に対し消費量のシェアは29%であり、北米の生産量シェアと消費量シェアは同じ27%である。その他の地域は中東(生産量シェア18%、消費量シェア15%)、アジア・大洋州(同16%、20%)、中南米(同5%、5%)、アフリカ(同6%、4%)である。

 

 北米及び中南米は生産と消費の比率が等しく地域内で需給がほぼバランスしていることがわかる(域内消費型、地産地消型)。これに対して中東及びアフリカは生産が消費を上回っており、一方アジア・大洋州は消費が生産を上回っている。このことから天然ガスは中東/アフリカ地域からアジア・太平洋地域へと地域を超えた貿易が行われている様子がうかがえる(域外貿易型、なおガス貿易については次章で詳述)。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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BPエネルギー統計2017年版解説シリーズ:天然ガス篇 (7)

2017-08-07 | BP統計

 

2017.8.7

前田 高行

 

(価格低迷でシェールガス生産増加が止まった米国!)

(4)主な国の生産量の推移(2005~2016年)

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-2-G03.pdf 参照)

 2016年の天然ガス生産量が世界1、2位の米国とロシア、第4、5位のカタールとカナダにオーストラリア(世界10位)及び英国(同20位)を加えた6か国について2006年から2016年までの生産量の推移を追ってみる。

 

  ロシアの2006年の生産量は5,952億㎥であり2008年には6千億㎥を突破した。その後は横ばい状態を続け2014年から2016年の間は5,800億㎥前後にとどまっている。これは同国の輸出先である西ヨーロッパ諸国の景気が2008年のリーマンショックで急激に減速、現在も冷え込んだままであることが最大の要因である。ロシアの天然ガスはパイプラインで西ヨーロッパに送られており、備蓄が効かないパイプライン輸送は末端の需要に左右されやすいと言える。このような状況に対してロシアは中国と天然ガス輸出契約を締結し、或いは極東でLNG輸出基地の増強に取り組むなど極東アジアへの輸出に力を入れている。

 

 米国の場合、天然ガス生産量は2006年以降2015年まで一貫して増加しており、2009年にはロシアを追い抜いて世界一の天然ガス生産国となっている。翌2010年には6千億㎥を突破、その後も急激に増加し、2015年の生産量は7,662億㎥を記録している。これは2006年に比較すると1.5倍の増加となる。このように米国の生産量が急速に増加したのはシェールガスの生産が商業ベースに乗ったことが大きな理由である。しかし2014年以降原油価格が急落、米国内の天然ガス価格もこれに引きずられて値を下げたため(詳しくは後述する「天然ガス価格の推移」参照)、一部のシェールガス生産業者は採算が悪化、生産を中止あるいは削減する動きが出ており、この結果2016年の生産量は過去10年間で初めて前年度を下回ることとなった。

 

 カナダはかつて米国、ロシアに次ぐ世界第3位のガス生産国であり2006年に1,717億㎥であった生産量は年々減少し、2011年にはカタールに抜かれ、2012年には1,411億㎥まで落ち込んだ。その後生産量はわずかながら上向き2016年は1,520億㎥となりイラン、カタールに次ぐ世界5位の生産国となっている。同国は生産した天然ガスの大半をパイプラインを通じて米国に輸出しており、米国の自給率が高まった結果、カナダからの輸出が減少している(後述する「主要国の生産量と消費量のギャップ」および「主要国の天然ガスの自給率」参照)。但しカナダは世界15位の豊富な埋蔵量を有しており(前章国別埋蔵量参照)十分な生産余力があると考えられるため、今後はLNGとして日本など極東向けの輸出に力を注ぐことになろう。

 

 英国は生産量が長期下落傾向にある。同国の2006年の生産量は800億㎥であったが、2016年には半分410億㎥に落ち込んでいる。同国の場合は北海油田が枯渇しつつあり、原油と共に産出される随伴ガスの生産量も減少しているためであり、今後も生産量の低下は避けられない。同国は現在ではカタールからのLNGの輸入が急増している状況である(第4章「世界の天然ガス貿易」参照)。

 

 これに対して最近天然ガスの生産が増加しているのがカタールとオーストラリアである。カタールの2006年の生産量は507億㎥であり、ここに取り上げた6か国の中では5番目であったが、2016年には1,812億㎥に達し2006年に比べ3.6倍に増加している。カタールの場合多くはLNGとして輸出しており、年間77百万トンの輸出体制を整えている。さらに同国はUAEからオマーンに及ぶドルフィン・ガス・パイプランによる生ガス輸出も行っておりこれが生産急増の要因である(後述第4章「世界の天然ガス貿易―カタールの輸出動向」参照)。

 

 オーストラリアはカタールの後を追うように近年ガス田開発と液化設備の建設を行っている。2006年の生産量は392億㎥であったが、2010年には500億㎥、2014年には600億㎥を超え、2016年の生産量は912億㎥と急激に増加している。日本などとの長期契約によりLNGの販売体制を確立、LNGの生産出荷施設も相次いで建設されており今後生産量はさらに増加するものと考えられる。

 

(天然ガス篇生産量 完)

 

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        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601 

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BPエネルギー統計2017年版解説シリーズ:天然ガス篇 (6)

2017-08-06 | 中東諸国の動向

 

2017.8.6

前田 高行

 

(46年間で生産量はアフリカ70倍、中東60倍、北米はわずか1.4倍!)

(3)地域別生産量の推移(1970~2016年)

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-2-G02.pdf 参照)

 1970年に1兆㎥弱であった天然ガスの生産量はその後一貫して上昇を続け、1991年に2兆㎥、そして2008年には3兆㎥を突破し、2016年の生産量は3.6兆㎥弱を記録した。1兆㎥から2兆㎥になるまでは20年かかったが、次の3兆㎥に達するには17年しかかかっていない。このように天然ガスの生産は近年飛躍的に増加しているのであ る。石油の場合、第二次オイルショック後しばらく需要が前年を下回りオイルショック前の水準に戻るまで10年以上の歳月を要していることと比べ(前章石油篇「生産量推移」参照)天然ガスの生産拡大には目を見張るものがある。

 

 地域毎の生産量の推移にはいくつかの大きな特徴が見られる。1970年の世界の天然ガス生産は北米と欧州・ユーラシアの二つの地域で全世界の95%を占めており、残る5%をアジア・大洋州、中東、中南米及びアフリカで分け合っていた。しかし北米は1970年に6,590億㎥であった生産量がその後は微増にとどまり、世界に占めるシェアも67%(1970年)から27%(2016年)に低下している。欧州・ユーラシア地域の生産量は1970年の2,816億㎥から急速に伸び、1981年に北米を追い抜き、1980年代後半には全世界の生産量の半分を占めるまでになった。しかし同地域の生産量も90年代以降伸び悩んでおり、2016年の世界シェアは28%にとどまっている。現在も北米と欧州・ユーラシアの二地域が世界の天然ガスの主要生産地であることに変わりは無いが、その合計シェアは55%であり、1970年の95%から大きく後退している。

 

 この二地域に代わりシェアを伸ばしているのがアジア・大洋州と中東である。アジア・大洋州の場合、1970年の生産量は158億㎥でシェアもわずか2%しかなかったが、2016年の生産量は37倍の5,800億㎥に増加、シェアも16%に上昇している。また中東も生産量は1970年の107億㎥から2016年には59倍の6,378億㎥、シェアは18%に上がっている。アジア・大洋州或いは中東の生産量は1990年以降急速に増大しているが、特に中東ではここ数年加速された感がある。その理由としては生活水準の向上により地域内で発電用或いは家庭用燃料の需要が増加したことに加え、これまで先進国市場から遠いため困難であった輸出が、液化天然ガス(LNG)として市場を獲得しつつあることをあげることができる。

 

 過去45年間の伸び率で言えばアフリカ地域が最も大きい。同地域の1970年の生産量は31億㎥に過ぎず世界の生産量に占める比率は1%以下であったが、1990年代には1千億㎥を突破、2016年の生産量は1970年の70倍弱の2,083億㎥に達し、全世界に占める比率も6%に拡大している。

 

 世界的にみると天然ガスの年間増加率は平均3%前後と石油生産の伸び率を上回っており、石油から天然ガスへのシフトが進んでいる。天然ガスは石油よりもCO2の排出量が少なく地球温暖化対策に適うものと言えよう。この点では今後クリーンエネルギーである原子力或いは再生エネルギーとの競合が厳しくなると考えられる。但し原子力は安全性の問題を抱え、再生エネルギーもコストと安定供給が弱点である。その意味で天然ガスは今後世界のエネルギー市場でますます重要な地位を占めるものと考えられる。

 

(続く)

 

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今週の各社プレスリリースから(7/30-8/5)

2017-08-05 | 今週のエネルギー関連新聞発表

8/1 経済産業省 「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」を開催し「エネルギー情勢懇談会」を新たに設置します 

8/1 BP Second quarter 2017 results 

8/3 石油連盟 内閣改造について(会長コメント) 

8/4 国際石油開発帝石 平成30年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結) 

 

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BPエネルギー統計2017年版解説シリーズ:天然ガス篇 (5)

2017-08-03 | BP統計

 

2017.8.3

前田 高行

 

2.世界の天然ガスの生産量

(欧州・ユーラシアと北米で世界の天然ガスの55%を生産!)

(1)地域別生産量

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-2-G01.pdf 参照)

 2016年の世界の天然ガス生産量は年産3兆5,516億立方メートル(以下㎥)であった。これは石油換算では年産32億トンであり、またフィート換算では日産3,427億立法フィートである。

 

 生産量を地域別にみると欧州・ユーラシアが1兆㎥と最も多く全体の28%を占めている。これに次ぐのが北米(9,484億㎥、27%)であり、これら二つの地域だけで世界の55%に達する。その他の地域は中東6,378億㎥(18%)、アジア・大洋州5,799億㎥(16%)、アフリカ2,083億㎥(6%)、中南米1,770億㎥(5%)であった。

 

 各地域の生産量と埋蔵量(前章参照)を比較すると、中東は埋蔵量では世界の43%を占めているが生産量では18%に過ぎない。これに対し北米は埋蔵量シェアが世界全体の6%にとどまるのに対して、生産量のシェアは27%に達しており、埋蔵量と生産量のギャップが大きい。その他の地域の埋蔵量シェアと生産量シェアは欧州・ユーラシアは埋蔵量シェアが30%、生産量シェアは28%とほぼ均衡している。その他の地域の両者の比率は、アジア・大洋州が9%(埋蔵量)対16%(生産量)、中南米4%対5%、アフリカ8%対6%である。このことから天然ガスを他の地域に輸出できるポテンシャルが高いのは中東地域であると言えよう。

 

(他を圧倒する米国とロシア!)

(2)国別生産量

(表http://bpdatabase.maeda1.jp/2-2-T01.pdf 参照)

 次に国別に見ると、天然ガス生産量第1位は米国の7,492億㎥/年(723億立法フィート/日、6.9億トン/年)であり、全世界の生産量に占める割合は21%に達する。第2位はロシア(5,794億㎥、シェア16%)であり、この2カ国の生産量が飛び抜けて多い。

 

 この2カ国に続くのがイラン(2,024億㎥)、カタール(1,812億㎥)、カナダ(1,520億㎥)であり、米国或いはロシアのほぼ1/4である。6位から8位は中国(1,384億㎥)、ノルウェー(1,166億㎥)、サウジアラビア(1,094億㎥)であり、以上8か国が生産量1千億㎥を超えている。9位以下はアルジェリア(913億㎥)、オーストラリア(912億㎥)、マレーシア(738億㎥)。

 

 これら上位各国の生産量を昨年と比較するとオーストラリアが対前年比21%と顕著な増加を示している。同国は近年大型のLNGプロジェクトが次々と稼働を始めており、近い将来現在のカタールをしのぐ世界最大のLNG輸出国になると予測されている。このほかイラン(+11.2%)、サウジアラビア(+6.8%)も生産が伸びているが、両国の場合は生活水準の向上により発電・造水装置などの燃料用としての国内需要が強いことが理由と考えられる。

 

 一方上位10か国の中でロシア・カナダの2か国だけは需要が前年を下回っている。特にカナダは前年比6.2%と大幅に減退している。これは米国国内でシェールガスの生産が増加したためそれに見合うパイプラインによる対米輸出が減少したためである。カナダでは構造的な対米輸出の減少に対処するため太平洋沿岸に天然ガス液化設備を新設、アジア向けのLNG輸出を模索している。

 

(続く)

 

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BPエネルギー統計2017年版解説シリーズ:天然ガス篇 (4)

2017-08-02 | BP統計

  

2017.8.3

前田 高行

 

1. 世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)

(埋蔵量を食いつぶし始めたカタール、シェールガス開発が頭打ちになった米国!)

(5)主な天然ガス資源国の過去16年間の埋蔵量の変化

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-1-G04.pdf 参照)

 2016年末の天然ガス埋蔵量上位7カ国(イラン、ロシア、カタール、トルクメニスタン、米国、サウジアラビアおよびUAE)について2000年~2016年までの埋蔵量の推移を見ると、イランの場合2007年までは埋蔵量27tcm(兆立方メートル)前後を上下していたが、2010年に30tcmを突破してロシアを追い越し2016年末の埋蔵量は世界一の34tcmである。ロシアは2000年から2009年まで世界一の埋蔵量(31tcm)を誇っていたが現在は世界2位である。しかし両国の差は5%程度とわずかである。

 

 世界第3位の埋蔵量を誇るカタールは2001年に埋蔵量を14tcmから26tcmに大幅に上方修正したが、その後は新規開発を凍結するモラトリアム宣言を行った。その結果、ここ数年は埋蔵量が徐々に減少し始めた。このため同国は今年4月にノース・ガス田の開発再開を宣言している。

 

 イラン、ロシア、カタール3カ国の埋蔵量はその他の国を圧倒しているが、近年トルクメニスタンの伸長が著しい。同国の埋蔵量は2007年まで2tcmにとどまっていたが、2008年の7tcmから2010年には10tcmを突破、2016年末の埋蔵量は18tcmに達し過去8年間で9倍に増加しており、比較した7カ国の中では飛び抜けた増加率である。

 

 イランとトルクメニスタンは2007年以降共に埋蔵量が急増している。しかしイランは米国の経済制裁により国際石油企業との協同事業が進まず自前の技術で探鉱開発を行っており同国の技術が時代遅れのものであることは周知の事実である。このような状況下で埋蔵量が増加しているのは石油篇で述べたと同様、イラン政府が政策的に埋蔵量の水増しを行っている可能性が否定できない。これに対してトルクメニスタンの場合は外国民間企業との全面的なタイアップにより国内で探鉱作業を行った成果であり埋蔵量の数値は信頼性が高いと考えられる。

 

 米国も2006年以降埋蔵量が増加する傾向にあり2010年には2006年比1.4倍の8.6tcmに達し、サウジアラビア(7.9tcm)を上回り、2015年は10.4tcmと過去最高の水準に達している。その後2015年、2016年の埋蔵量は8.7tcmに低下している。このことは2014年まではシェールガス開発が盛んに行われていたが、その後価格の下落により消費が伸びる一方、開発意欲が停滞していることを示している。

 

(天然ガス篇埋蔵量完)

 

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