今日は、下記の情報リスクの4原則について考えてみます。
▼ 情報リスクの4原則
(1)自分が利用しやすいニュースや情報は、他人にとっても利用しやすいものだと認識していなければならない。そうしたときは、価格はすでにそれを折り込んでいる。
朝の日経の記事に反応したところで、勝ったり負けたりするだけで効果はありません。ところが、あるニュースがきっかけでその株が長く取引高を増やすケースがあります。最近ではサイバードやインデックスがそうでした。また、分割前のアセットマネージャーがそうでした。中期経営計画で魅力的な事業戦略を提示し、そこから長期に上がりだしたのです。従ってニュースには一過性のものと、そうでないものがあることに注意しなければなりません。株に限っては出来高の継続的な上昇がその1つの目安になるのではないでしょうか。
(2)市場や経済状況については、自分と異なる意見の人や情報を探すこと。
これはマスメディアではなかなか難しい。筆者はたまに第一生命経済研究所の嶌峰義清さんのレポートを見ておりますが、こうした専門家の良質なレポートをいくつかチェックするのがよいかも知れません。
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/shima_index.html ブログにも専門家顔負けのキャリアと知見を持った方が書いているものもあるので、そのような非公式情報も役に立つと思います。
(3)細かい情報に反応せず、意志決定の基本となる大局に目を向けること。
これが大切なのは分かりますが、果たしてどうやってその大局観を身につければよいのか?例えば、今REITが急落しているらしい。これは不動産関係の株式銘柄に対してどう関係しているのか、もっといえば、不動産ビジネスというのは、今後数年にわたってどう動こうとしているのか? 素材インフレの影響が地価にも現れないと不動産ビジネスの旨味はないのか?こういった大局に目を向けないと相場の方向が読めないのですね。不動産について言えば、IT化の一層の進展と団塊の世代の退職でオフィス需要はピークを打つのかどうか?少なくとも少子高齢化で住宅需要は、都心回帰に現れているようにバブル期のような郊外への波及はないでしょう。こうした問題意識を持って、日々の新聞その他の情報を意図的にスクリーニングしながら、問題の根底にある現象に目を付ける以外にはないかも知れません。
(4)頑固であってはならない。意見がおなじ人は、おなじポジションをとっている人が多い。似たようなフレームワークで考えてはいけない。
フレームワーク、つまり意見が出てくる元となる考え方の基本、これが同じであれば似たような結論が出るのは当たり前です。別の意見を探すには、別のフレームワークを探すこととなります。筆者は以前に「相場は複雑系」と書きました。また「テクニカル分析の限界」も書きました。そして、日本の「国家財政が既に破綻」していることも書きました。例えば、最後の点については、何とか説得力のある、国家財政回復のシナリオを提示している論客はいないものかとずっと新聞・専門書その他の記事を探しておりますが、セクター分析がよくできたものはあっても未だ見あたりません。また相場は複雑系といっておりますが、この複雑系という流行語の裏側にある本当の複雑系については、ここ10年くらい前から様々な書物から、また退職後に通っているある研究会での討論から得ているところですが、例えば、「相互作用」という考え方で人と人、人と社会の関係をとらえる社会構築主義のような立場もあることをここ2-3年で知りました。株もまさにこの相互作用のメカニズムで動いてものの、その絡み方があまりに複雑であり、これといった定式を見つけるのが難しいのでしょう。かといって意見を出さないと仕事が成り立たないので、世の論客達は様々なフレームワークをもとにして、自分なりの意見を出しているようです。そのフレームワークを形作っているものまで理解しないと、様々な株を巡る意見に翻弄されるばかりですね。
以下、この項週末に続く。
▼ 情報リスクの4原則
(1)自分が利用しやすいニュースや情報は、他人にとっても利用しやすいものだと認識していなければならない。そうしたときは、価格はすでにそれを折り込んでいる。
朝の日経の記事に反応したところで、勝ったり負けたりするだけで効果はありません。ところが、あるニュースがきっかけでその株が長く取引高を増やすケースがあります。最近ではサイバードやインデックスがそうでした。また、分割前のアセットマネージャーがそうでした。中期経営計画で魅力的な事業戦略を提示し、そこから長期に上がりだしたのです。従ってニュースには一過性のものと、そうでないものがあることに注意しなければなりません。株に限っては出来高の継続的な上昇がその1つの目安になるのではないでしょうか。
(2)市場や経済状況については、自分と異なる意見の人や情報を探すこと。
これはマスメディアではなかなか難しい。筆者はたまに第一生命経済研究所の嶌峰義清さんのレポートを見ておりますが、こうした専門家の良質なレポートをいくつかチェックするのがよいかも知れません。
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/shima_index.html ブログにも専門家顔負けのキャリアと知見を持った方が書いているものもあるので、そのような非公式情報も役に立つと思います。
(3)細かい情報に反応せず、意志決定の基本となる大局に目を向けること。
これが大切なのは分かりますが、果たしてどうやってその大局観を身につければよいのか?例えば、今REITが急落しているらしい。これは不動産関係の株式銘柄に対してどう関係しているのか、もっといえば、不動産ビジネスというのは、今後数年にわたってどう動こうとしているのか? 素材インフレの影響が地価にも現れないと不動産ビジネスの旨味はないのか?こういった大局に目を向けないと相場の方向が読めないのですね。不動産について言えば、IT化の一層の進展と団塊の世代の退職でオフィス需要はピークを打つのかどうか?少なくとも少子高齢化で住宅需要は、都心回帰に現れているようにバブル期のような郊外への波及はないでしょう。こうした問題意識を持って、日々の新聞その他の情報を意図的にスクリーニングしながら、問題の根底にある現象に目を付ける以外にはないかも知れません。
(4)頑固であってはならない。意見がおなじ人は、おなじポジションをとっている人が多い。似たようなフレームワークで考えてはいけない。
フレームワーク、つまり意見が出てくる元となる考え方の基本、これが同じであれば似たような結論が出るのは当たり前です。別の意見を探すには、別のフレームワークを探すこととなります。筆者は以前に「相場は複雑系」と書きました。また「テクニカル分析の限界」も書きました。そして、日本の「国家財政が既に破綻」していることも書きました。例えば、最後の点については、何とか説得力のある、国家財政回復のシナリオを提示している論客はいないものかとずっと新聞・専門書その他の記事を探しておりますが、セクター分析がよくできたものはあっても未だ見あたりません。また相場は複雑系といっておりますが、この複雑系という流行語の裏側にある本当の複雑系については、ここ10年くらい前から様々な書物から、また退職後に通っているある研究会での討論から得ているところですが、例えば、「相互作用」という考え方で人と人、人と社会の関係をとらえる社会構築主義のような立場もあることをここ2-3年で知りました。株もまさにこの相互作用のメカニズムで動いてものの、その絡み方があまりに複雑であり、これといった定式を見つけるのが難しいのでしょう。かといって意見を出さないと仕事が成り立たないので、世の論客達は様々なフレームワークをもとにして、自分なりの意見を出しているようです。そのフレームワークを形作っているものまで理解しないと、様々な株を巡る意見に翻弄されるばかりですね。
以下、この項週末に続く。