ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

菅さん、理想を語る前にやらなければならないことがあります。原発を止め、核の呪いを解いてください!

2017年03月29日 | 日本とわたし
「まうみちゃん、明後日の火曜日に、コーネル大学で、菅直人元首相の講演会があるんだけど、一緒に行かない?」
という紀子さんからのお誘いがあったのが、日曜日のお昼すぎ。

「うーん…火曜日は生徒が多い日だし、急にキャンセルはできないから、すごーく残念だけど無理だと思う」
という返事をしたその8時間後に、火曜日の生徒二人(姉妹)から、キャンセルの連絡が入りました。

これはもう、行けということだなと思うことにして、残りの4人の生徒たちに、木曜日か土曜日にレッスンを移動してもらえないだろうか?と尋ねたところ、
月曜日になってぼちぼちと、変更オッケーですよという返事が返ってきました。
火曜日の朝、クィーンズからやってきた明子ちゃんを乗っけて、まずは紀子さんの家に。
そこからイサカというニューヨーク州にある大学町まで、紀子さんの車に乗っけてもらって行く。
紀子さんのご主人ジャンの家族は、なんと全員がコーネル大学の出身者で、だからイサカはとっても特別な町なのです。
今回は、イサカ在住の、ジャンの愛娘でお医者さんのフランチェスカの家に、わたしたち3人全員は泊めてもらいました(彼女は本当に美しく、愛らしく、聡明で親切で、わたしはいっぺんでファンになりました)。

行きはずっと、濃霧とゲリラ雨の中を運転する羽目になったのですが、紀子さんちに行く時も、そこからイサカに行く時も、どちらもまるでキツネかタヌキに騙されたようなことが起き、
頭の中で?マークを点滅させつつも、女3人かしまし娘(古っ!)、話に花を咲かせまくりながらの楽しい道中になりました。

フランチェスカに送り迎えをお願いして、まずは腹ごしらえ。
大学のキャンパスも霧の中。





会場に着きました。




今回の講演は、菅氏著作の『東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと』(幻冬社新書)の、2015年のドイツ版に引き続き、アメリカでの英語版がコーネル大学出版から刊行されたことで行われました。

わたし自身、2012年に刊行されたこの本を読んだ後、『レベル7・福島原発事故、隠された真実(東京新聞原発事故取材班)』を読み、本当にやりきれない思いでいっぱいになったのですが、
この講演で、これらの本の内容以上のものは、多分聞けないであろうと覚悟はしていました。

スピーチは始まりの挨拶以外は全て日本語で行われ、その翻訳文が舞台の真ん中に表示される、という方法で進行したのですが、
正直言って、菅氏はずっと原稿を読み続けるだけだったので、まるで著作者による本読みの会のような感じになり、主題が主題だけに、なんとも言えないフラストレーションが募りました。







質疑応答の時間では、質問をしたい人が大勢立ち、次々と質問を投げかけたのですが、質問者の英語を日本語に、菅氏の日本語を英語に訳していく過程で、答が的外れになったり、十分でなかったりして、
質問をした人たちの中には、答に対して不満な表情を隠さない人も少なくありませんでした。






わたしも立ちました。


あの事故当時の現場の様子を、それぞれ違う視点から書かれた文章を読んできて、やはりあの時、自民党の世襲議員ではなく、少なくとも東京工業大学の応用物理学を学んでいた(原子力とは全く関係が無かったとしても)菅氏が総理であったことはよかったと思っています。
そして彼は、原発を停止させた、たった一人の首相です。

だからこそ、再生エネルギーの開発に力を注ぐことはもちろん必要だし大切だけど、
今尚、汚染を垂れ流し続けている事故原発の収集や、避難を強いられるばかりか、来月には汚染地に帰させられようとしている被害地の人たちへの対策、
異常に高い汚染土(再利用上限値を8000ベクレル)を、公園や緑地の造成に使おうという悪魔的政策、なし崩し的に再稼働を推し進める政府の姿勢、
これらの事項を棚上げしたまま、人任せにしたままでは、原発を止めたただ一人の首相としての行動としては情けないのではないか、
稼働原発をまずゼロにする。
日本での原発事業を廃止する。
核融合などの、核物質を使用せねばならない研究を中止する。
核兵器禁止条約の運動に、日本を参加させる。
これぐらいの覚悟を示すだけの、価値ある存在として、立ち上がって欲しい。
理想を語る前に、あなたにはしなければならないことがあるのではないですか?

というようなことを、質問形式で伝えたかったのですが、残念ながら質問者が多く、また答える側もテキパキとしていなかったので、半数の質問者は打ち切られ、閉会となりました。

著作のサイン会。


会場を外から。


不完全燃焼のままモヤモヤしていたので、コーネル大学名物の滝を見にいくことにしました。
コーネル大学のキャンパス内には湖や滝があり、全米一美しいとも言われていると聞いたことがあります。
ただ、勉強がとても大変で、追いついて行けず、それを悲観した学生が自殺の場所として選ぶのも多いという、そんな辛い現実も抱えています。






ネットが張り巡らされているのは、自殺防止のため。










迎えに来てくれたフランチェスカも一緒に、ジャズの生演奏をしているレストランに入り、女子トークに花を咲かせながら楽しく食事をいただき、
早朝出発に備え夜はしっかり睡眠を取り、イサカの町のオーガニック食品が豊富で安いという紀子さんお気に入りのスーパーで、あれやこれやを買い物し、
再び紀子さんの運転でニュージャージーまで戻り、お手製のビーフシチューとザワークラウトのランチまで頂いて、女子会一泊旅は終わったのでした。

******* ******* ******* *******

旅の道中で、高浜原発差止を命じた、あの素晴しい判決が、高裁で覆されてしまったことを知りました。
暗澹たる気持ちになりました。
一体どこまで堕ちれば気がすむのか。

そして今日、あと2時間ほどで、伊方原発運転差止に対する、広島裁判の判断が下されます。
もし、運転を認めない仮処分が出されれば、伊方原発は直ちに停まります。

以下は、昨日、守田敏也氏がメールで伝えてくださった情報です。
ギリギリで申し訳ありませんが、裁判所前に行くことが可能な方は、ぜひこの集会に参加してください!


【仮処分決定日は3月30日 是非お立ち会いください】
伊方原発広島裁判原告団、応援団、支援者のみなさま

伊方原発3号機運転差止仮処分命令申立事件の広島地裁判断日(決定日)が、きたる3月30日と決定しました。
午後3時に、広島地裁民事執行センターで、決定文が手渡されます。

昨年3月11日、広島・長崎の原爆被爆者を中心とする、伊方原発広島裁判原告団に選出された4名(広島市民3名、松山市民1名)は、
現在運転稼働中の、四国電力伊方原発3号機の運転差止を求めて、仮処分命令を出すように、広島地裁に申し立てました。
その後、実質5回の審尋期日を経て、今回の判断にいたるものです。
(「仮処分審尋期日のいきさつ」をご参照ください)
http://saiban.hiroshima-net.org/karishobun/index.html

もしこの判断で、運転差止仮処分命令の決定が出れば、四国電力は、現在運転稼働中の伊方原発3号機の運転を、ただちに止めなければなりません。
3月30日の判断日当日は、午後2時半から、広島地裁前で集会を開いて、決定文を受け取る代理人弁護士の諸先生方や、仮処分申立人を激励し、受取に送り出します。
また、「決定」あるいは「却下」のお知らせは、決定文受け取り後、直ちに、地裁前で「旗出し」によってお知らせします。
また、広島弁護士会館で、午後4時ごろから記者会見を開催、記者会見終了後報告会を開きます。
みなさま、当日広島地裁前にお集まりいただき、この歴史的瞬間にお立ち会いください。

伊方原発広島裁判応援団事務局 原田二三子

*****

伊方原発3号機運転差止仮処分命令申立事件
2017年3月30日広島地裁仮処分判断日

当日スケジュール
広島地方裁判所前
御案内チラシ裏面の、「お願い」をご一読ください。
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/20170330.pdf

14:30   広島地裁前集合(河合弘之弁護士スピーチ)
14:50   決定文受取人グループ地裁へ移動開始、参加者は送り出し(受取人グループは広島地裁民事執行センターへ移動)
15:00   決定文受取り
15:05ごろ 旗出し
15:07ごろ 河合弘之弁護士による報告スピーチ
15:10ごろ スピーチ終了、広島弁護士会館へ移動(弁護団、原告団、申立人によるプレス対応)


記者会見会場(広島弁護士会館 3F大ホール)
12:00   開場 ※12時には開場いたします。遠方よりお越しの方などで早めに到着された方は、こちらにお越し下さい。
14:00   広島地裁前移動
15:30ごろ 広島地裁前終了、広島弁護士会館3Fへ移動
16:00ごろ 記者会見開始
17:00ごろ 記者会見終了
17:05ごろ 報告会開始
17:30   報告会終了

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