ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

BBC『レイプ・日本の隠された恥』が伝える、日本が抱える何重もの恥と杉田議員のグロテスクさ

2018年07月01日 | 日本とわたし
早くも視聴できなくなりましたね。
文字起こしをしておくべきでした。

今現在(日本時間の7月3日午前7時)では、以下↓で観ることができます。
https://www.dailymotion.com/video/x6neq54

それから、今日、再放送があります。
日本時間の今日、午前7時15分からです。もうすぐですね!
こちら↓で観られます。
http://tvcatchup.com/watch/bbctwo


伊藤詩織ドキュメンタリー「レイプ、日本の隠された恥」Part 1 of 2


伊藤詩織ドキュメンタリー「レイプ、日本の隠された恥」Part 2 of 2


BBCが放送したこのドキュメンタリーに、3人の国会議員が登場しています。
全て自民党です。
3人全員が、強姦をした疑いがある山口氏を擁護しているのですが、その中の一人杉田水脈議員はインタビューを受けていて、恥の上塗りともいえる発言をしていました。




さらに先日はこんなツイートを流していて、こんな見識と常識を持つ人が、国会議員などという立場に居座るべきではないと、強い怒りを感じました。





ドキュメンタリーを見た英国在住の人たちから、この杉田議員の発言に対し、「本当に馬鹿げている」、「正気か?」などという意見がたくさん寄せられています。
中には、「日本に行ってみたいと思っていたが、こんな女性蔑視で人権に対する意識が低いと知って、旅行する気が失せた」というものもありました。

もし上記のツイートでの発言も知られることになったら…。

彼女は国会議員でありながら、司法を理解していません。
司法の判断に従ったならば、司法(裁判所)が発行した逮捕令状を手に、アメリカから帰国してきた山口氏を待ち構えていた高輪署の捜査員は、山口氏をその場で逮捕していたはずです。

ところが高輪署の捜査員は、山口氏を逮捕することはできませんでした。

直前になって、上層部からストップがかかったからです。
決裁したのは、当時、警視庁の中村格刑事部長だった中村格氏。
このことについては、中村氏本人も認めています。
この人は、「菅義偉官房長官の子飼い警察官僚」と言われている人でもあります。

どうして所轄が扱い、証言や証拠を検討し、その結果逮捕状まで出た事件に、それも逮捕寸前の現場に、警視庁刑事部長が介入したのでしょう?
しかもこの事件は、準強姦事件だったのです。

「準強姦」というと、「強姦」よりは軽いのだろうかと勘違いされる方もおられると思いますので、どういう意味合いを持つものかをここに載せておきます。

じゅん‐ごうかんざい
【準強×姦罪】
女性の心神喪失や抵抗ができないことに乗じて、または暴行・脅迫によらず、これらの状態にして姦淫する罪
平成29年(2017)の法改正により、準強制性交等罪に改められた。
[補説]
改正前の刑法第178条第2項が禁じ、3年以上の有期懲役に処せられた。


逮捕を瀬戸際で免れた山口氏。
その後、この事件は不起訴になりました。
理由は、「客観的な証拠が足りない」というものでした。
それを、「不起訴になったのだから山口氏の証言が正しい」と言う国会議員の杉田氏…。

司法が発行した逮捕令状を手に、容疑者を逮捕しようとした捜査員を、所轄とは無関係の警視庁刑事部長が介入して止めたんです。
逮捕状がすでに出ていたんです。
どうしてか?
犯行を実証できたからです。

・詩織さんは山口氏と会食した際、それまで酒で酔いつぶれた経験もないのに突然、記憶を失った。

・事件当日、山口氏と詩織さんをホテルまで乗せたタクシー運転手の証言:
女性は何度か、「駅の近くで降ろしてください」と訴えていた。
男性が「何もしないから。ホテルに行って」と言った。
それで、結局、2人をホテルに連れて行ったのだが、到着しても彼女はなかなか降りようとしなかった。
けれど最終的には、彼女は体ごと抱えられて、座席から降ろされた。

・ホテルの防犯カメラ:
山口氏は、詩織さんを抱えて引きずっていた。

その他、ベルボーイの証言やDNA鑑定の結果を踏まえ、捜査を担当した高輪署は、山口氏の逮捕状を請求し発行されたのです。

何か大きな力が関与して、捜査を握り潰したのではないか。
そういう疑惑がある重大事件です。
その大きな力が何なのか、誰なのか、それを突き詰めていかなければなりません。
この山口氏は、安倍首相に最も近しい記者として知られていました。
『総理』という、安倍首相を大いに持ち上げる本の著者でもあります。
安倍首相がどのように考えていようが、この山口氏が、日本の最高権力の恩恵を受けているという特権意識を持っていることは、彼の言動からはっきり見て取れます。




そして同日、このツイートも流れました。

 
「このドキュメンタリー番組制作の裏には、韓国の慰安婦団体がいる」

こういう意見を、国会議員である人が公言するという異常さに、背筋が凍る思いがするのですが、
でもこの人が、あの人と懇意にしていることを考えると、然もありなんと思えるのです。
あの人とは、はすみとしこ氏で、ドキュメンタリーの映像の中に登場しています。

さてこの、はすみとしこという人を知っていますか?
シリア難民の幼い女の子の写真を真似た中傷イラストを描き、注目を集めた漫画家です。


彼女は、在日の方たちに対しても、このような中傷イラストを描いています。


そしてこれは、詩織さんに向けて中傷したものです。




ドキュメントの中でも堂々と紹介されていて、唖然としました。

その人と並んで、楽しげに拍手したり笑ったりしている杉田議員。


はすみ氏は杉田議員の応援イラストを描いているのですね。





準強姦事件を政治がもみ消し、それを司法とメディアが無視する。
そして、セカンドレイプと呼ばれる被害者への攻撃と中傷が続く。

なんともグロテスクな社会であることよ、と思います。

英紙ガーディアンは先日28日に、
『Japan's Secret Shameは、見るのがとても大変なドキュメンタリーだ。
痛ましく、不愉快で、動揺させられる。
このドキュメンタリーはそれに加えて、勇敢で必要な、極めて重要な作品である』
と伝えています。

Japan’s Secret Shame review - breaking a nation’s taboo about rape
https://www.theguardian.com/tv-and-radio/2018/jun/28/japans-secret-shame-review-breaking-a-nations-taboo-about?CMP=share_btn_tw


このドキュメンタリーは、アラブでも放映されました。
レイプ被害を訴えるために、男性ばかりの捜査員の前で、人形を相手に事件現場の再現をして見せなければならないという非情さ、
レイプ被害者を受け入れる際の、思いやりや人権擁護という観念の欠如が甚だしい現場の様子が、今後も世界のあちこちで伝えられていくことになるでしょう。

さらにこの事件は、執行寸前の逮捕状が取り消された、非常に特殊なものです。
執行に関わっていた警察官の方々も、何が起きたかわからないと言っていました。
不起訴だから終わり、では済まされないし、しっかりと検証していかなければならないと思います。

検察審査会で不起訴相当という判断がなされた後、山口氏は自民党議員やお仲間と並んで、シャンペンで乾杯していましたね。


不起訴相当というのは、被疑者を無実だと認めるものではありません。

重大犯罪であるレイプ事件について、自国の報道機関が無視を決め込み、海外で放映されたドキュメンタリーで知ることは、正常ではありません、異常です。
あのドキュメンタリーはだから、何重もの恥を報じました。
程度の低い国会議員、司法への政治の介入、事件のもみ消し、性犯罪被害者への誹謗中傷、圧倒的に遅れている性犯罪被害者の人権擁護…。

日本の大手メディアさん、
海外でもどんどん報道されていくであろうこのドキュメンタリーの、海外番組視聴者の杉田議員に対する反応は、すごい勢いですよ。
これ、すごくいいネタではありませんか?

遅れはとってもまだ間に合います。
ぜひ取り上げてジャンジャン報道してください。

日本人の常識を歪め、間違ったメッセージを吹聴する輩を、野放しにしてはいけません。
日本人の常識はここ↓にあるのですから。


こういうものが可決される国が、続々と現れる今の時代に、これ以上恥をかかないためにも、小さくてもいいから何かしましょう。
コメント
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