ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

表現とわたし

2008年10月13日 | 家族とわたし


朝起きてキッチンに行くと、いつものように、旦那が裏口の階段の踊り場で朝の運動をしていました。
ん?でもなんかちょっと様子が……そぉっと覗き見したら……カメラで景色を撮ってます。

昨日の夕飯時の乾杯直前に「ちょっと待った!これをカメラで撮ってから」と言って待たせたわたしに、旦那と息子は非難囂々。
K「なんでそんなことすんの?」
B「え?知らんのか。あんたのおかあさん、この頃ブログにハマりまくってて、こんなことばっかやってるねんで」
しっ!黙れ、おしゃべり。二重まぶたのこと、記事に書いたってバレたらヤバいやん。
K「そんなことして何の意味あるん?」

写真を無事(焦って撮ったので今イチでしたが)撮り終え、そんなことよりまあ食べましょ、と乾杯。
食事後、わたしはお茶碗を洗いながら考えたのでした。
ほんまに、わたしはなんでこんなことをしてるのかなあ。

もともと、自分の中にある、目に見えない何かを、表現することに興味がある方です。
版画だったり絵だったり、作文だったり演奏だったり、心と強くつながっている何かが、自分の内側から外側に流れ出していく過程が楽しいし、
表現した自分を、どんな形であれ、受け取ってもらえたら、もっともっと楽しい。

旦那の母親は素晴らしい陶芸家です。
彼女はもともと優秀な化学者でしたが、結婚を機に専業主婦に転向、子育てが一段落してから陶芸を学んだ人です。
彼女の家には、彼女の作品がいろんなふうに飾られ、彼女の作った食器は子供達家族も皆が重宝しています。
一度、おかあさんとこんな話をしました。
「おかあさんは、自分の表現した物をこうやっていつでも見たり使ったりして楽しめるからいいなあ」
「わたし達だって、まうみのピアノをいつも楽しませてもらってるわよ」
「けど、わたしの表現はその時その瞬間だけで、あとは煙のように、ちょっとの間そこに漂って消えてしまうもん」
「だからこそ、人の心に深く残る表現でもあるのじゃないの?それに、人には思い出すという能力があるものね」

それからしばらくして、わたしはひょんなことから物語を書き始めました。
何も無い所から、言葉を一つ一つ作り出し、文章にし、何度も何度も練り直し、音読し、そしてまた書き直す。
同じ白黒画面を目の前にして、鍵盤のかわりに文字キーを叩き、何時間も座り続けるのは得意中の得意です。
なんの問題もありませんでした。
書き上げた物語を、おずおずと友人知人に送り、読んだ感想を聞かせてもらう時の興奮ったらありません。
感想には良いこともあり批判もあり、それぞれいろんな意見がありましたが、どれも皆、とてもありがたいものでした。
やっぱり形になって残るっていいなあ。

おかあさんは60代からいろんな分野のマッサージ師としての資格を取り始め、今は脳のマッサージの勉強をしています。
少し前は内蔵でした。
直接手で触れられないそれらを、どんなふうにしてマッサージするのか、とても不思議で興味深い分野です。

さて、話をもとに戻します。
わたしのブログに関わる時間がだんだん長くなってきたのと、家族の話を公共の場にされていることで、
旦那は近頃、なんとなく放っとかれているような、居心地が悪いような気持ちになっていたんだと思います。
なので、表現とわたしについて、少しゆっくりと話を聞いてもらいました。
納得したようなしてないような、けれどもとりあえず「わかった」と言ってくれました。

そして今朝、自分がいつも太極拳をしながら見ている景色を撮っている旦那を発見。
ありがとね。






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2 コメント

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素敵な言葉 (かめさんさん)
2009-02-15 12:02:31
まうみさんもお姑さんも素晴らしい女性ですね。自分自身のやりたいことをしっかり持っている人はどういういう分野でも自分の可能性を信じてるから頑張っていけるんだなぁ、と。
そして旦那さまの御理解があって、こうして私達がまうみさんの楽しいブログを読むことができて嬉しいです。
これからもとっても楽しみにしてますので、頑張って下さい。まうみさんのブログを読んでいると元気がでてくるような気がします。
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ありゃりゃ、 (まうみ)
2009-02-15 12:51:06
かめさんさん、記事をさかのぼって読んでくださっているのでしょうか?ありがとうございます!嬉しいです!

やりたいことを見つけるために、旦那は実に36年かかりました。わたしは7才の誕生日の1週間前に、おかあさんは22才で1度断念してから41才で、
みんなそれぞれ違うので、見つけ方も、いつ見つかるのかもみんな違います。だからおもしろいのかなあ……。

うちにもひとり、20才ですが、やりたいことを見つけたいひとがいます。
なにひとつアドバイスのできないわたしだけれど、「無我夢中で自分を見つめてみ。まず自分っていったいどんなひとなのか、分からんでもええからじっくり見てみ」と言いました。

やりたいことが見つかると、暮らす意欲がわいてくるし、なによりも言い訳をしなくなります。
みんなに見つかるといいなあ。
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