ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

心に残ったこと

2008年10月03日 | ひとりごと
2日の副大統領候補同士のテレビ討論会で、1番心に残った瞬間は、バイデン氏が一瞬声に詰まった時でした。
ペイレン氏が、彼女が一般家庭の母親のように、台所のテーブルであれやこれやと心配していると言った後、
彼も、私だってそれは同じ。父子家庭の父親としてキッチンの、と言った直後、言葉が出なくなりました。
討論会の後で、早速旦那に、あれはいったいなんでやったんと聞くと、以下のことを説明してくれました。
(詳しい年号は、わたしがインターネットで調べました)

彼がまさに上院議員として出発しようとしていた1972年のクリスマス前に、彼の家族4人が自動車事故に巻き込まれ、
その事故で、奥さんと赤ん坊の娘さんが亡くなり、幼い息子2人は生き残ったものの、重傷を負ってしまいます。
にも関わらず彼は、息子たちの看病を理由に議員の道を諦めることなく、1973年1月から通常どおり議員としての活動を開始し、
通常、議員になるとワシントンD.C.に移る人が多い中で、彼は毎日1時間半かけて自宅とワシントンD.C.を電車通勤しています。
家には必ず戻り、非常に状態の悪かった息子達2人の看病をしながらの電車通勤、
車に乗らないと、亡くなった奥さんと娘に誓ったのだと思われますが、
それを30年以上も続けている彼の心の強さ、家族への愛情の深さ、それらを彼の笑顔の中に見ることができると思います。
もう一つ、事故が起こった12月18日は、どんなことがあっても彼は仕事を休むそうです。


さて、昨夜の討論会、
ペイレン氏はとてもよく頑張りました。かなりしんどい特訓にも耐え、その結果、深刻な失敗もせずに乗り切りました。
けれども、作り物とそうでないもの、その違いは、どんなにうまく演技しても誤摩化せません。

昨夜は、国の上に立つ人間としての資質、資格などを問われる、とても過酷な会でした。
残念ながら、わたし達は、記憶力の優れた、訓練次第ではうまく話せる、ウィンクや笑顔や真摯な眼差しなども組み入れられる、芸達者なロボット人間を必要としていません。
時には口が滑ったり、言葉に詰まったり、失言癖があったりするけれど、血が通っていて、筋が通っていて、それがどんなに困難であっても、自分で決めたことをずうっと続けることができるヒトを必要としています。

ああいう会は言葉が難しくて、わたしにとっては、ついていくだけで精一杯のハードな時間です。
でも、少なくとも、自分の目と耳で、彼らの体温の違いを感じることができて良かったと思います。

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