ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

米国「極めて個人的なIda」事情

2021年09月04日 | 日本とわたし
引用:
米東部はハリケーン「アイダ」から勢力を弱めた低気圧の影響で記録的な豪雨に見舞われ、2日までに46人が死亡した。
ニュージャージー州のマーフィー知事は同日夕、同州で少なくとも23人が死亡したと述べた。
マーフィー氏によると、死者の半数超は車中で洪水に遭った人だという。
複数の当局者は、多数が安否不明となっていると明らかにした。

引用:

ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は、気象予報が「たった数分であっという間に無意味になった」と気象専門家を批判。市長自身は1日に750~1500ミリの雨が降ると警告していたと述べた。しかし、実際にはセントラルパークで1時間に少なくとも80ミリの雨が降り、観測記録を更新した。

デブラシオ市長は、「文字通りあらゆる状況が悪化するはずだと、情報発信していく必要がある」と述べた。

ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は、「昨夜午後8時50分から9時50分の間に、文字通り天が開いて、ニューヨークの街にナイアガラの滝のような雨を降り注ぐなど、知らなかった」と述べた。

バイデン大統領は、北東部を襲った洪水と、「アイダ」によるルイジアナ州とミシシッピ州の被害、そして西部の森林火災などが「気候危機が迫っていることを思い出させてくれる」と語った。

その上で、道路の現代化や電線、上下水道などの整備に「歴史的な投資」を行うインフラ政策「ビルド・バック・ベター(より良く再建)」を推進するよう連邦議会に働きかけると述べた。

「この災害はあらゆるところで起きている。生きるか死ぬかの事態で、全国民に関係することだ。この時代で最大級の試練だが、対処できると確信している」


今日になってやっと、一昨日のことは本当に起こったことだったんだと思えてきました。
そして誰もにとって本当に突然のことだったんだということも。
うちの家ではテレビは全くついておらず、使うのは毎晩1時間から1時間半、夫と一緒に観るドラマや映画を観るためだけなので、もしかしたらニュースを見落とし続けていたのかなと思ったのですが、
テレビニュースは必ずしっかりチェックしているというお隣さんですら、今回の浸水は寝耳に水だったと言っていたので、一体どうしてこんなことが起こったのかと、みんなが首を傾げていたのです。
確かに気象予報で洪水警報は出ていたのですが、こちらでは大雨が降るたびにビービーとけたたましい音の警報が鳴り、ほぼオオカミ少年化していたので、またか、ぐらいにしか考えていませんでした。
だから地下に降りた息子が水のことを話しても、夫は「ああそれ、強い風と雨が重なったらいつもそうなるので心配しなくてもいいよ」などと聞き流していたのです。
ところがふと気になって玄関ドアを開けたら…そこには見たことの無い風景が広がっていたのでした。

昨夜午後8時50分から9時50分の間に、文字通り天が開いて、ニューヨークの街にナイアガラの滝のような雨を降り注いだ

これは決して大袈裟な言い方ではありません。
60分の間に8センチ、そんな異常な量の雨が降ったのです。

寒冷地域なので、窓は二重ガラスで頑丈です。
だからよほどの強い雨でないと降っていることに気がつきません。
110年前に建てられた古いレンガの家は、強風が吹いてきても窓以外はびくともしません。
今回はどこのおうちも、濁った水が地下室の壁のあちこちからジャアジャア流れ込んできたと言います。
うちの場合は壁に空いていた穴と排水口からの逆流でした。
水が濁ったのは地下室の床(というより地面と言った方がいいぐらい汚い)の汚れも混じっていたからで、そこに家猫たちが持ち込んできては食し、そのままどこかに隠した気の毒な犠牲者の残骸なども混じっているわけで、とてもではないけれども素足でズブズブ、という気にはならなかったのですが、そんなことを言ってる場合ではなく、しかもその夜は温水器が浸かってしまっていたので、我々は仕方なく手足を水で洗って誤魔化したのでした。

昨日は一日中発電機の音があちこちで鳴り響いていましたが、夜になると近所の男性たちが集まって、ワインを飲みながら発電機やポンプの話で盛り上がったようです。
軍人のお向かいさんは、手持ちのポンプを使って全て一人で水を抜いたそうで、けれども彼の家の保険では何一つカバーできないと言われたそうな。
別のお向かいさんは、業者に頼んで抜いてもらったらしいのですが、そのポンプがあまり性能が良く無かったようで、かなり長い時間がかかっていました。
何やらお水の中にう○ちがプカプカ浮いていたそうで、普段なら大笑いするところですが、同じ災難に遭っただけに笑えません。
実のところ、そのことが一番心配だったわけで、どれほどの有害物質が混じっていたのだろうとふと考えては、いやいや今はやめておこうと言い聞かせながら作業をしていたのでした。
もう何をしても無駄だ、外の水が引かない限り、家の中は増水する一方なのだから。
お手上げとはこのことで、15分ごとに見に行くたびにじわじわと水かさが増えてきて、ついに温水器の最下部が浸かってしまったのを見た時は、ああまた買い替えだとガックリしました。
このまま増え続けると今度は暖房炉がやられる…。
気持ちがどんどん萎えていきます。
そこに、トイレはもちろん使っていいけど、できたら流さないで欲しいと夫が言うので、どうして?と聞くと、地下に逆流している水がどこからなのかわからない以上、トイレで流したものが直接混ざる可能性だってあるかも知れないと言われ、今度はトイレに行くのが怖くなり…そして停電となった時にはもう気持ちはどん底に…。

でも一夜明けて外を見てみると、信じられないことにすっかり乾いているではありませんか?!
一体あの大量の水はどこから来たのだろうか?
どうやらお向かいさんの裏庭の奥にかなり大きな林があり、その林の中に池があって、その池が増水して流れてきたのと、筋違いの坂道から流れ込んできたのが合体したらしいのです。
それもじわじわとではなく鉄砲水のようにいきなり増水して、各家の地下の窓や壁から流れ込んだようです。

さて、被害が一番少なくて済んだ我が家ですが、60坪ほどの床一面に汚水が溜まり、そこをバシャバシャと歩いた足で1階へ上り、そこでウロウロしてはまた降りて、また上がっては降りての繰り返しだったので、地下と階段と1階の床はかなりヤバいことになっているはずです。
明日は午後から休みだし、天気も良いそうなので、本格的な片付けと1階の床拭きをしようと思います。
町の通りには積もった泥が早くも渇き、車や人が通ると細かい粉が舞い上がります。
1日ですっと引いてしまう浸水でさえこれなのに、土砂崩れや洪水に遭った人たちがどれほど大変だったろうかと、改めて心からの同情を感じました。

ニュージャージー州は今まで、大型のハリケーンが来てもなんとなく外れて、大きな災害には無縁の土地でした。
特に竜巻なんて起こったこともない地域だったのに、今回は巨大竜巻に襲われたところもありました。
もうどこも安心なんて言っていられないようになったんだと、改めて気を引き締めないといけないと思います。

さて、偶然遊びに来てすっかり巻き込まれてしまった息子夫婦も帰り、いつもの二人だけの夕飯を食べながら、次の大雨が来る前にやっておくことを確認しました。
まず発電機とポンプを買うこと。
地下室の壁をシールドすること。
2度も水に浸かったので、過ごせる部屋に改装しようかという気持ちは失せました。
もうこのまま、暗がりからフランケンシュタインがヌッと現れてもおかしくない雰囲気のままでいいから、とにかく水が入りにくいように、そして入ってきてもすぐに対処できるようにしよう。
2度あることは3度ある、にならないようにしよう。
それが学習するってことですよね。
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米国「ハリケーンアイダ」事情

2021年09月03日 | 米国○○事情
浸水の写真なので、ちょっとばっちい写真を載せます。
この記事は食事などをしながら読まない方が良いと思われます😅

昨日は朝から雨が降ったり止んだりが1日中続くという予報が出ていて、ちょっと困ったなあと思っていました。
昨日からレイバーデイにかけて6連休を取った息子とお嫁ちゃんのTちゃんが、引っ越しと資格試験が終わったのでとうちに来ることになっていたので、お祝いのご馳走のための食材を買いに出かけなければならなかったからです。
外に出ると雨は止んでいて、グッドタイミ〜ング!と鼻歌を歌いながら出発。
車で30分ほどの所にある日本食材のお店と、そこから15分ぐらいの所にある韓国食材のお店を梯子して、その間も降っても小雨程度だったので、な〜んだ、この程度の雨だったら1日中でも別にいいかも、などと思っていました。
家に戻り、腕まくりをして料理開始。
二人がうちにやって来る前にできるだけ済ませておきたかったので、時計を睨みながら細々と動き続けました。
お料理の大部分ができた頃に二人が到着。
それから少し経って夫も帰宅したので、みんなで乾杯して夕飯が始まりました。
雨も風も昼間よりはかなり強くなっていたけど、それでもまあ今までにも大雨が降ったことは何度もあるので、特に心配もせず、みんなで話に花を咲かせていたのですが、デザートを食べ終わった頃に長男がふと、地下にある何かを見に降りたその時…。
「ちょっと来てみて、水が入ってきてるみたいやで」
その声が始まりでした。

みんなでどれどれ?と下に降りて見ると、確かに水が入ってきています。
110年前に建てられたまま、何も手が加えられていない我が家の地下室の壁は、レンガと大きな岩でできています。
どこかに穴でも空いているのか、強風が伴う大雨が降ると必ず、床面に水がうっすら溜まることがあるのです。
まあ大丈夫だろうとぞろぞろと上に戻り、念のために外はどうかと玄関のドアを開けると…。
え?!

パトカーとこの水の量を見てまず絶句…。


恐々歩道に出てみると…こんなのは見たことがありません。

横庭はいつの間にか池に変身していました。

これは尋常じゃないとやっと気づいた我々が、もう一度地下に戻ってみると、

卓球台の下に敷いていたゴム製のマットがぷかぷかと。
「サーフィンみたい」と陽気なTちゃんと、写真用のポーズを要求するわたし😅


10年前のちょうど同じ頃、わたしたちが引っ越してきた翌年の夏にも似たような浸水があって、その時に温水器が浸かって使い物にならなくなったので、夫が買ったポンプらしいのですが、いや、小さいよ😭

どうやら水が噴き出てくる穴を見つけたよう。

塞ぐための道具作りを始める息子。

試してみる。

どうも十分ではない様子。

それではと、今度は廃棄タイヤからチューブだけを取り外し、

それをグルグルにして詰め込んでみると、

完全に止めることができて、男たちはハイタッチを交わし、すると別の場所からボコボコと水が噴き出してきて、そこで一旦諦めることに。
ばっちい写真でごめんなさい!
でも右下にあるのは例のブツではありませんのでご安心を。
ちゃんと説明するともっと気持ちが悪くなるので内緒で言います。これは家猫たちが狩りをして食した動物の残骸です。すみません!めっちゃグロテスクで!


結局どんどん水嵩は増し、10年前のちょうど同じ日に取り替えたボイラーの下の部分まで水に浸かってしまいました。も水に浸

とりあえず普通のシャワーは諦めて手足を洗うだけにしました。
そしてトイレは小なら流さず大なら流す。
とにかく地下の水がどこから出てきたものかがわからないので、せめて家の中だけでも水を使う量は極力減らさなければなりません。
想像すると気持ちが悪くなるので、できるだけ考えないことにしました。

夜中の3時ごろに停電になり、そのまま朝に。
台風一過のようなピカピカの晴天です。
しかも道、乾いてるし?!
でもやっぱり確かに浸水していたのでした。
道路の中央に止まったまま動けなくなった車、カーブしようとして流されてしまった車などが目に入ります。

息子がたまたま偶然に来たのも、このMIYATAが呼んだのかもしれません。
ジャジャ降りの中、車に水が入らないようにと、ジャッキであげたようです。
彼がいなかったら絶対にMIYATAはご臨終でした。

池だった庭も、

MIYATAの修理用ツール。

戦果の跡が、

うちの住所は1から始まります。
この通りの1番目に建てられたのですが、坂道の下から1番目というのが災いの元なのです。
緩やかな下り坂の終着点がうちの辺りで、そこからまた少し上がるので、ちょうど底の浅い谷間になるのです。


眠れずにいた夜中の3時に停電になり、ああ、また1週間は待たなければなと暗い気持ちになって、冷凍冷蔵食品を袋に入れて、夫の診療所の冷蔵庫に移し替えたり、お酒のロック用の氷の大袋を小分けして、電気の消えたうちの冷蔵庫をできるだけ冷やそうとしたり、長期停電には慣れっこなので、淡々とやるべきことをしてから食事をしていると、
あ、ついた!
なんと、わずか16時間で電気が復活しました。
なんてありがたいんだろう😭
それからはひたすら片付けと掃除です。
地下室の水は粗方引いて、夫と二人で箒で穴の方に水を誘導したりしましたが、まだまだ掃除ができる状態ではありません。
なので地下は放っておいて、一階の床掃除と、濡れては拭き、また濡れては拭きしたタオル類の洗濯に取り掛かりました。
どうやら今回の浸水は、わたしたちだけではなく、誰にとっても本当に突然のことだったようです。
みんな普通に食事をしたりテレビを観ていたというのです。
一体どうしてあれほどの水がどこからやってきたのか?
なぜ十分な警告が為されなかったのか?
いつもならうるさいほどに前々日から警告が繰り返されるのに、どうしてすっかり浸かってしまってから警告が出たのか?
みんながみんな首を捻っているのです。
うちの地下は放ったらかしですが、ご近所さんはどこも部屋仕様に改装していて、そこに1メートル以上の水がいきなり壁のあちこちからジャアジャアと流れ込んできたのですからたまりません。
本当にショックだっただろうと思います。
今日は朝から晩まで、発電機の音とポンプから吸い出されてきた水が道路脇を流れる音が聞こえてきました。
それでもまだ、水は30センチほど残っているそうです。
消防は30センチ以上だったら大きなポンプで吸い出してくれますが、それ以下だったら来てくれません。
来てくれるにしても、被害が大きかったら順番待ちでなかなか来てもらえません。
なので民間の会社に頼むのですが、中にはろくな道具も無くて、作業がなかなか進まないところもあるようです。

初めにびっくりして大騒ぎしたので、心配をかけることになってすみませんでした。
水はほぼ引き、停電も直り、なんともう動いてくれないだろうと観念していた温水器が稼働してくれました!
なのでお湯も使えます。
心配してくれたみなさん、本当にお騒がせしました。
明日はもう少し落ち着いて、このハリケーンの詳しい話をここに追加しようと思います。

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