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米東部はハリケーン「アイダ」から勢力を弱めた低気圧の影響で記録的な豪雨に見舞われ、2日までに46人が死亡した。
ニュージャージー州のマーフィー知事は同日夕、同州で少なくとも23人が死亡したと述べた。
マーフィー氏によると、死者の半数超は車中で洪水に遭った人だという。
複数の当局者は、多数が安否不明となっていると明らかにした。
引用:
ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は、気象予報が「たった数分であっという間に無意味になった」と気象専門家を批判。市長自身は1日に750~1500ミリの雨が降ると警告していたと述べた。しかし、実際にはセントラルパークで1時間に少なくとも80ミリの雨が降り、観測記録を更新した。
デブラシオ市長は、「文字通りあらゆる状況が悪化するはずだと、情報発信していく必要がある」と述べた。
ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は、「昨夜午後8時50分から9時50分の間に、文字通り天が開いて、ニューヨークの街にナイアガラの滝のような雨を降り注ぐなど、知らなかった」と述べた。
バイデン大統領は、北東部を襲った洪水と、「アイダ」によるルイジアナ州とミシシッピ州の被害、そして西部の森林火災などが「気候危機が迫っていることを思い出させてくれる」と語った。
その上で、道路の現代化や電線、上下水道などの整備に「歴史的な投資」を行うインフラ政策「ビルド・バック・ベター(より良く再建)」を推進するよう連邦議会に働きかけると述べた。
「この災害はあらゆるところで起きている。生きるか死ぬかの事態で、全国民に関係することだ。この時代で最大級の試練だが、対処できると確信している」
今日になってやっと、一昨日のことは本当に起こったことだったんだと思えてきました。
そして誰もにとって本当に突然のことだったんだということも。
うちの家ではテレビは全くついておらず、使うのは毎晩1時間から1時間半、夫と一緒に観るドラマや映画を観るためだけなので、もしかしたらニュースを見落とし続けていたのかなと思ったのですが、
テレビニュースは必ずしっかりチェックしているというお隣さんですら、今回の浸水は寝耳に水だったと言っていたので、一体どうしてこんなことが起こったのかと、みんなが首を傾げていたのです。
確かに気象予報で洪水警報は出ていたのですが、こちらでは大雨が降るたびにビービーとけたたましい音の警報が鳴り、ほぼオオカミ少年化していたので、またか、ぐらいにしか考えていませんでした。
だから地下に降りた息子が水のことを話しても、夫は「ああそれ、強い風と雨が重なったらいつもそうなるので心配しなくてもいいよ」などと聞き流していたのです。
ところがふと気になって玄関ドアを開けたら…そこには見たことの無い風景が広がっていたのでした。
「昨夜午後8時50分から9時50分の間に、文字通り天が開いて、ニューヨークの街にナイアガラの滝のような雨を降り注いだ」
これは決して大袈裟な言い方ではありません。
60分の間に8センチ、そんな異常な量の雨が降ったのです。
寒冷地域なので、窓は二重ガラスで頑丈です。
だからよほどの強い雨でないと降っていることに気がつきません。
110年前に建てられた古いレンガの家は、強風が吹いてきても窓以外はびくともしません。
今回はどこのおうちも、濁った水が地下室の壁のあちこちからジャアジャア流れ込んできたと言います。
うちの場合は壁に空いていた穴と排水口からの逆流でした。
水が濁ったのは地下室の床(というより地面と言った方がいいぐらい汚い)の汚れも混じっていたからで、そこに家猫たちが持ち込んできては食し、そのままどこかに隠した気の毒な犠牲者の残骸なども混じっているわけで、とてもではないけれども素足でズブズブ、という気にはならなかったのですが、そんなことを言ってる場合ではなく、しかもその夜は温水器が浸かってしまっていたので、我々は仕方なく手足を水で洗って誤魔化したのでした。
昨日は一日中発電機の音があちこちで鳴り響いていましたが、夜になると近所の男性たちが集まって、ワインを飲みながら発電機やポンプの話で盛り上がったようです。
軍人のお向かいさんは、手持ちのポンプを使って全て一人で水を抜いたそうで、けれども彼の家の保険では何一つカバーできないと言われたそうな。
別のお向かいさんは、業者に頼んで抜いてもらったらしいのですが、そのポンプがあまり性能が良く無かったようで、かなり長い時間がかかっていました。
何やらお水の中にう○ちがプカプカ浮いていたそうで、普段なら大笑いするところですが、同じ災難に遭っただけに笑えません。
実のところ、そのことが一番心配だったわけで、どれほどの有害物質が混じっていたのだろうとふと考えては、いやいや今はやめておこうと言い聞かせながら作業をしていたのでした。
もう何をしても無駄だ、外の水が引かない限り、家の中は増水する一方なのだから。
お手上げとはこのことで、15分ごとに見に行くたびにじわじわと水かさが増えてきて、ついに温水器の最下部が浸かってしまったのを見た時は、ああまた買い替えだとガックリしました。
このまま増え続けると今度は暖房炉がやられる…。
気持ちがどんどん萎えていきます。
そこに、トイレはもちろん使っていいけど、できたら流さないで欲しいと夫が言うので、どうして?と聞くと、地下に逆流している水がどこからなのかわからない以上、トイレで流したものが直接混ざる可能性だってあるかも知れないと言われ、今度はトイレに行くのが怖くなり…そして停電となった時にはもう気持ちはどん底に…。
でも一夜明けて外を見てみると、信じられないことにすっかり乾いているではありませんか?!
一体あの大量の水はどこから来たのだろうか?
どうやらお向かいさんの裏庭の奥にかなり大きな林があり、その林の中に池があって、その池が増水して流れてきたのと、筋違いの坂道から流れ込んできたのが合体したらしいのです。
それもじわじわとではなく鉄砲水のようにいきなり増水して、各家の地下の窓や壁から流れ込んだようです。
さて、被害が一番少なくて済んだ我が家ですが、60坪ほどの床一面に汚水が溜まり、そこをバシャバシャと歩いた足で1階へ上り、そこでウロウロしてはまた降りて、また上がっては降りての繰り返しだったので、地下と階段と1階の床はかなりヤバいことになっているはずです。
明日は午後から休みだし、天気も良いそうなので、本格的な片付けと1階の床拭きをしようと思います。
町の通りには積もった泥が早くも渇き、車や人が通ると細かい粉が舞い上がります。
1日ですっと引いてしまう浸水でさえこれなのに、土砂崩れや洪水に遭った人たちがどれほど大変だったろうかと、改めて心からの同情を感じました。
ニュージャージー州は今まで、大型のハリケーンが来てもなんとなく外れて、大きな災害には無縁の土地でした。
特に竜巻なんて起こったこともない地域だったのに、今回は巨大竜巻に襲われたところもありました。
もうどこも安心なんて言っていられないようになったんだと、改めて気を引き締めないといけないと思います。
さて、偶然遊びに来てすっかり巻き込まれてしまった息子夫婦も帰り、いつもの二人だけの夕飯を食べながら、次の大雨が来る前にやっておくことを確認しました。
まず発電機とポンプを買うこと。
地下室の壁をシールドすること。
2度も水に浸かったので、過ごせる部屋に改装しようかという気持ちは失せました。
もうこのまま、暗がりからフランケンシュタインがヌッと現れてもおかしくない雰囲気のままでいいから、とにかく水が入りにくいように、そして入ってきてもすぐに対処できるようにしよう。
2度あることは3度ある、にならないようにしよう。
それが学習するってことですよね。