中日スポーツ 『取材時に「陰」もしっかり明かしてくれた四位さん 『言葉』も厩舎の持ち味になるはず【本城雅人コラム】』
◇コラム「ぱかぱか日記」
人の感情には陽と陰がある。中でも陰の部分にもっとも人間味が出ると、私は小説を執筆する際はそこを掘り下げていく。スポーツ取材も同様で、陰の部分、悔しさとか不安などを知りたい。とはいえ「後悔」くらいは簡単に話してくれるが、「〇〇だけには負けたくなかった」「正直勝たれたのは複雑でした」とライバル名を出して話してくれることはそう多くはない。そう明かしてくれた数少ない一人が四位さんだった。
あれは1997年の有馬記念のレース後、京都で四位さんと会う機会があった。有馬記念、四位さんはずっとシルクジャスティスを見ていたそうだ。そして「3コーナーで(武)豊さん(マーベラスサンデー)が上がって、(藤田)伸二が内に入れたのを見て、ああ勝たれたと思いましたよ」と心情を吐露した。藤田さんとは同期、四位さんはデビュー時から抜群にうまい騎手だと絶賛され、97年の時点で2人のG1勝利は2つずつ。しかし藤田さんはすでに日本ダービーを勝っていた。そこに今度は有馬記念だ。胸中が複雑だったのは良く分かる。
のちに四位さんも日本ダービーを連覇し、2人とも超一流としてムチを置いた。秀でたライバルが同期にいて、そのライバルを真摯(しんし)に認めて対抗心を燃やした、それも四位さんのすごさなのだろう。
その四位さんが3月1日に厩舎を開業した。普段の四位調教師は横山典騎手のように照れ屋で、レース後のインタビューは苦手なタイプ。だが、すでに新規開業の会見で「一流の厩舎にならないと駄目でしょう」などと本音を語っている。
卓越した理論、調教技術、馬作りへの情熱…。四位厩舎の長所はたくさんあるが、胸の中に隠した「陽」も「陰」もきちんと言葉にして伝えることができる、それも持ち味になるはずだ。それゆえG1馬を作り出した時は、ウオッカで日本ダービーを制した時のような感情が湧き上がりそうだ。
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四位調教師、現役時代を良く知るファンからはとても注目されていると思いますが、正直、もっと大々的に取り上げられても良い個性、才能を持った方なのでは…と感じています。もちろん、結果が全てとは言わないまでも、たくさん勝つこと、良い仕事をすることで注目度が上がっていく世界ですから、ご本人的には『そこは、今に見ていろだぜいっ!』という事なのでしょうけれど(^^ゞ
中日スポーツさんの記事にも、「一流の厩舎にならないと駄目でしょう」とのご発言が載っているように、やるからにはトップをめざすのが四位先生らしさだと思いますし、リナーシェを預かって頂く立場としては、彼女の頑張りが少しでもその後押しになって欲しいと祈るのみです。
正直、リナーシェも今のままでは簡単に貢献できそうもないですが、これからググンと成長してスババッと勝ち上がれば、四位先生と深くて長いコミュニケーションを確立できるかもしれません。そうなった暁には、クラブの近況に「うっせー黙れコノヤロー」的な調教師コメントが載ったりして…ヘ(*゚∇゚)ノ
さすがに先生と呼ばれるお立場になった今、そういうことは起きないでしょうが、とても鋭くて個性的な調教師として活躍されることを期待しています。(リナーシェのこと、くれぐれもよろしくですm(_ _)m)
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