4) ゼーゲル式の計算。
① 式の計算に当たり、その目的は二通りあります。
) 一つは、2軸座標(Al2O3-SiO2図)の任意の一点のゼーゲル式を求める物です。
2軸座標より、予め釉の状態(透明。乳濁、マット等)が予想可能ですので、その釉を作る時に
役立ちます。
) 他の目的は、既存の釉の配合例(重量比)から、その配合例のゼーゲル式を求める事です
釉の配合例は多くの書籍や、インターネット等で一般に流布している物が多いです。
しかしそのまま真似をしても必ずしも、希望する釉に成る訳ではありません。
むしろ色々の条件(焼成環境など)によって、思わぬ結果に成る 事の方が多いです。
そこでこの釉を改良して、自分の窯に合う釉に改良したい場合には、ゼーゲル式から予測を
立てて改良する事が望ましいかも知れません。 その様な場合に役立つ方法です。
② ゼーゲル式の計算は、初心者にとってかなり面倒な事です。
ゼーゲル式は、割合スッキリした数式で示されますが、実際この数式に釉の材料の量(モル)
を当てはめる為には、計算が必要になります。
この計算方法は、初心者にとってかなり手強いです。なぜなら、必要な原料が純粋の形で存在
せず、必ず何かの複合材又は化合物であったり、水分(結晶水など)や炭酸成分(炭酸ガス
として排出)を含んでいる為、それらを除外して計算する必要がある為です。
③ 成分の確認。
ゼーゲル式は成分の解かった素材を使いますので、成分が不安定な物や不明な物は使えません
それ故、木灰類を使う釉には、この式は向いていません。
) 釉を構成する三要素は必ず取り入れる必要があります。
即ち、媒熔剤(Ka、Na、Ca、Mg、Ba等)とアルミナ(Al2O3)、シリカ(SIO2)です。
但し、これらの成分を純粋な形で入手する事は困難です。多くの場合他の元素との複合や
化合物として存在します。
) 同じ成分を含む原料は複数あります。
どの原料を使うかは自由ですが、手に入り易い物やその成分が判明している物を使う必要が
あります。ほとんどの原料は陶芸材料店等で手に入りますし、書籍などでその成分比
(構成比)を知る事が可能です。
) 一般に使われる釉の材料は、各種のアルカリ類(媒熔剤)と長石類(正長石、カリ長石、
福島長石)とそれに珪石が多いです。アルカリ類と二酸化珪酸(珪石)は、比較的純粋な原料を
入手可能ですが、長石には、アルミナ成分以外にアルカリ類とシリカ(SiO2)成分を含んで
いますので、この成分も勘定に入れて計算しなければ成りません。
前置きが長くなりましたが、先ず2軸座標のある一点のゼーゲル式を求める方法についてお話
します。尚、この件に付いては、以前にもお話していますので、重複しますがご了承下さい。
又、以前に掲載した話も参照して下さい。
参照: 釉薬の調合(Sk-8の釉薬を作る1) 2008ー12-20 釉薬の調合と釉を掛ける
以下次回に続きます。