5) 2軸座標のある一点のゼーゲル式を求める方法。
ゼーゲル式は RO・ n Al2O3 ・ m SiO2 で表わされます。
即ち、ROが1モルに対し、 Al2O3 が nモル、 SiO2が mモルです。
2軸座標の一点を指定すれば、n、mの数値が自動的に決まります。
但し良い釉を作るとすれば、 0.1 < n < 0.6 、 1 < m < 6 の範囲内にある事です。
尚、Al2O3 の1モルは102gで(2x27+3x16)、SiO2の1モルは 60.1gです。
① 釉の材料を選ぶ。
一般的に使用される材料は、正長石(カリ長石、福島長石)、珪石、それに、媒熔剤として、
石灰、酸化亜鉛(亜鉛華)、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、バリウム等です。
尚、媒熔剤として、3種類以上を選ぶとより効果的です。
② 計算は長石の割合から取り掛かると、都合が良いです。
基本的には、どの材料から取り掛かって良いのですが、長石はアルミナ成分、シリカ成分の他
媒熔剤のカリを含む為、調合時に他に影響を与えます。そこで他に影響を与える物質を先に
決る事は、二重手間を省く事になります。
) 正(カリ)長石は次の様な化合物(化学式)です。 K2O・Al2O3・6SiO2。
長石の1モルは556.8gで、内訳はK2O=94.2g、Al2O3=102g、6SiO2=
360.6gです。即ち長石556.8g中に、Al2O3が1モル(102g)ある事になります。
・ nモルの、Al2O3を取る為には、長石がnX556.8g必要に成ります。
・ 尚、ソ-ダ長石の化学式は、Na20・Al2O3・6SiO2 1モルの重量524.5gです。
) SiO2の計算。 二酸化珪素は珪石からとります。珪石はアルミナやアルカリ類(媒熔剤)
を含まず。100%のシリカ(SiO2)と見て良いでしょう。
それ故、必要量はmx60.1gです。但し、上記計算より、長石からnX360.8gを得て
いますので、追加する量はその差 mx60.1ーnx360.8gとなります。
) 媒熔剤1モルの計算。長石よりカリ成分を得ています。その量は、nx94.2gで、他から足す
必要はありません。媒熔剤は3種は必要なので、便宜上CaCO3(炭酸カルシウム)とZnO
(亜鉛華)を使う事にします。カリ成分はnモルですので、他の成分は1-nモルとなります。
a) 石灰石の計算。石灰石はCaCO3ですが、CaOとCO2の化合物と見る事もできます。
即ち石灰石の1モルは、100.1gで、CaOの1モルが56gと CO2の1モルが44.1gの
合計になります。 CaOの必要量をeモルとすれば重量は、ex56gとなりますが、
石灰石ではex100.1g加える事になります。 但し e<1-nで無ければ成りません。
b) ZnOの計算。 必要なモル数は (1-n)-e と成ります。
ZnOの1モルは81.4gですので、必要量は(1-n-e)x81.4gとなります。
c) 以上まとめると、次の値となります。
正長石: nx556.8g、 珪石: mx60.1ーnx360.8g、
媒熔剤: KaO= nモル: 長石に含まれている為追加不要。
CaO=eモル; 石灰石でex100.1g
ZnO=(1-n-e)モル: 亜鉛華で(1-n-e)x81.4g
6) 既存の釉の配合例(重量比)から、その配合例のゼーゲル式を求める。
以下次回に続きます。