4) 歪や変形の美とは?
本来ならば、作品が歪んでいる事は、不良品であり傷物と見なされてもおかしくありません。
但し、陶芸の作品では、別の意味を持ちます。陶器だけには言える様ですが、磁器については
歪みの美を見出す事は少ないです。又、ある意味作品の歪みは、我が国のみで評価される物で
あり、西洋や中国、朝鮮などでは、必ずしも評価の対象に成らない様に見えます。
① 歪んだ作品を見ると、どの様に感じるのか?
歪ませる事で機能的要素を持たせる場合と、機能的要素を伴わない歪みがあります。
) 機能的とは、作品を持ち易くしたり、取り扱いし易くしたりする事です。
作品が握り易くする為や、滑り止め等の機能を持たせたり、容積を少なくする為に歪ませる
事などがこれに当たります。即ち、実用的に歪ませる訳です。
) 機能的な効果ではなく、別の(美的)効果を持たせる為に、歪ませる事も多いです。
特に抹茶々碗の例はこれに当たります。その歪ませる効果とは、以下の事が挙げられます。
a) 作品に動きが出る。
左右対称の姿では、静止した(止まった)感じがします。動きがあ事は、見る人の意識を
集中し、注意を引き、何かが起こりそうな予感を与える事にもなります。又、動きがある
事は、作品の軽さも演出します。実際の重さよりも軽く見せる効果もあります。更に、
不安定で「危うさ」を感じさせる事にもなります。作品を鑑賞する祭、不安定性も意味の
あるものになります。例えば、上部の量に対し、下部が極端に狭い場合や、細い時更には
細長い時など、かなりの「危うさ(際どさ)」を感じ、激しい心の動きを伴います。
b) 作品に面白みや趣(おもむき)を与える。
轆轤挽きした作品は綺麗な円形になります。常に同じ形状の作品では、変化が少ないです。
特に織部の沓茶碗などは、極端に捻じ曲げられ異様な形に見えますが、この「ひょろけた」
感じが出て、面白みを与える事が特徴になっています。
又、抹茶々碗の口縁の高さを凸凹にするのも、趣を増す行為です。五峰、五山、山(の)道
などと称されるもので、山々や山道を連想させる働きがあります。これを見立てと言います。
c) 作品を歪ませるのみで無く、高台も歪んだ形にする場合があります。割り高台、三日月高台
など、作品を手に持った場合や、見た目にも一般的なの輪高台とは別の趣を与えます。
5) 窯の中でも、作品は歪みます。
一般に制作時に故意又は、偶然に歪む事が多いのですが、高い温度で焼成中に作品が歪む事も
多いです。原因は、高い温度(1200℃以上)では、素地の粘土がやや軟らかくなる為です。
赤土など鉄分を多く含む土は、比較的低い温度で軟らかくなりますが、白っぽい土は高温にも
耐えますが、作品の形状によっては、影響を受けます。
① 板皿など平たい作品では、歪む事が多いです。特に高台を付ける祭には注意が必要でう。
即ち、作品の一部を「宙ぶらりん」の状態にした時には、多くの場合下に垂れ下がります。
② コーヒーカップの様に、持ち手(把手)を付ける場合や、作品の片側に錘を「ぶら下がる」
状態の形状では、その錘の方向に作品が引っ張られ、口縁が楕円形になる場合も珍しくは
有りません。取り付ける位置が、口縁に近いほど歪みも大きくなります。
③ 焼成する事で、轆轤挽きで付けた癖が戻り、変形する事もあります。
即ち、轆轤挽きでは素地は、「らせん状」に捩れながら上に伸びていきます。その為、焼成で
その捩れが戻る方向に、変化(変形)する訳です。
④ 焼成中に作品が歪むと、隣の作品に「くっ付いて」しまいます。特に施釉した作品では致命傷
に成る場合がありまうので、その危険性がある場合には、隣との隙間を大きく取る事です。
最後に、歪ませ様と無理に歪ませる事は、多くの場合見苦しくなる場合が多いです。
例え人為的に歪ませるとしても、あくまでも、自然に歪んだ様に見せ掛ける事が大切になります。
以上で「歪みと変形の美とは?」の話を終わります。
本来ならば、作品が歪んでいる事は、不良品であり傷物と見なされてもおかしくありません。
但し、陶芸の作品では、別の意味を持ちます。陶器だけには言える様ですが、磁器については
歪みの美を見出す事は少ないです。又、ある意味作品の歪みは、我が国のみで評価される物で
あり、西洋や中国、朝鮮などでは、必ずしも評価の対象に成らない様に見えます。
① 歪んだ作品を見ると、どの様に感じるのか?
歪ませる事で機能的要素を持たせる場合と、機能的要素を伴わない歪みがあります。
) 機能的とは、作品を持ち易くしたり、取り扱いし易くしたりする事です。
作品が握り易くする為や、滑り止め等の機能を持たせたり、容積を少なくする為に歪ませる
事などがこれに当たります。即ち、実用的に歪ませる訳です。
) 機能的な効果ではなく、別の(美的)効果を持たせる為に、歪ませる事も多いです。
特に抹茶々碗の例はこれに当たります。その歪ませる効果とは、以下の事が挙げられます。
a) 作品に動きが出る。
左右対称の姿では、静止した(止まった)感じがします。動きがあ事は、見る人の意識を
集中し、注意を引き、何かが起こりそうな予感を与える事にもなります。又、動きがある
事は、作品の軽さも演出します。実際の重さよりも軽く見せる効果もあります。更に、
不安定で「危うさ」を感じさせる事にもなります。作品を鑑賞する祭、不安定性も意味の
あるものになります。例えば、上部の量に対し、下部が極端に狭い場合や、細い時更には
細長い時など、かなりの「危うさ(際どさ)」を感じ、激しい心の動きを伴います。
b) 作品に面白みや趣(おもむき)を与える。
轆轤挽きした作品は綺麗な円形になります。常に同じ形状の作品では、変化が少ないです。
特に織部の沓茶碗などは、極端に捻じ曲げられ異様な形に見えますが、この「ひょろけた」
感じが出て、面白みを与える事が特徴になっています。
又、抹茶々碗の口縁の高さを凸凹にするのも、趣を増す行為です。五峰、五山、山(の)道
などと称されるもので、山々や山道を連想させる働きがあります。これを見立てと言います。
c) 作品を歪ませるのみで無く、高台も歪んだ形にする場合があります。割り高台、三日月高台
など、作品を手に持った場合や、見た目にも一般的なの輪高台とは別の趣を与えます。
5) 窯の中でも、作品は歪みます。
一般に制作時に故意又は、偶然に歪む事が多いのですが、高い温度で焼成中に作品が歪む事も
多いです。原因は、高い温度(1200℃以上)では、素地の粘土がやや軟らかくなる為です。
赤土など鉄分を多く含む土は、比較的低い温度で軟らかくなりますが、白っぽい土は高温にも
耐えますが、作品の形状によっては、影響を受けます。
① 板皿など平たい作品では、歪む事が多いです。特に高台を付ける祭には注意が必要でう。
即ち、作品の一部を「宙ぶらりん」の状態にした時には、多くの場合下に垂れ下がります。
② コーヒーカップの様に、持ち手(把手)を付ける場合や、作品の片側に錘を「ぶら下がる」
状態の形状では、その錘の方向に作品が引っ張られ、口縁が楕円形になる場合も珍しくは
有りません。取り付ける位置が、口縁に近いほど歪みも大きくなります。
③ 焼成する事で、轆轤挽きで付けた癖が戻り、変形する事もあります。
即ち、轆轤挽きでは素地は、「らせん状」に捩れながら上に伸びていきます。その為、焼成で
その捩れが戻る方向に、変化(変形)する訳です。
④ 焼成中に作品が歪むと、隣の作品に「くっ付いて」しまいます。特に施釉した作品では致命傷
に成る場合がありまうので、その危険性がある場合には、隣との隙間を大きく取る事です。
最後に、歪ませ様と無理に歪ませる事は、多くの場合見苦しくなる場合が多いです。
例え人為的に歪ませるとしても、あくまでも、自然に歪んだ様に見せ掛ける事が大切になります。
以上で「歪みと変形の美とは?」の話を終わります。