わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

騙しのテクニック10 二度焼き 4

2014-06-26 20:34:10 | 騙しのテクニック
前にもお話した様に、再焼成で後赤絵以外では、全面的に釉を熔かし直しますので、上手に焼けば、

風化や古色は全て無くなります。但し、胎土、造形、釉、文様はそのまま本物ですので、見慣れない

人では、二度焼きを見破る事は困難と言われています。

二度焼きされる作品は、温度が上昇せずに焼き損じた発掘品や、焼成中に大きな割れや傷付いた

作品群、物原(ゴミ捨て場)からの発掘品などであり完品はありません。そのままでは、ほとんど

価値がありませんので、二度焼きや補修によって、商品価値を高める事が出来ます。

6) 二度焼きのまとめ。

  二度焼きの特徴には以下のものがあります。

 ① 「カセ」や「染み」が無く、釉に光沢があり、真新しい感じになります。

   又、表面に「摩れ」や「擦り傷」も全く見られません。

   但し、この状態では新作と見られますので、人工的な古色が着けられています。

   それ故、人工的な古色付けを見破る必要もあります。

 ② 釉に「ニュウ(ひび)」が無く、その下の胎土に細い「ニュウ」が見える。

   但し、「窯傷」と呼ばれる、焼成前や素焼中に発生した傷の場合にも、同様な現象が起こり

   ます。両方の「ニュウ」を比べると、前者の場合が直線的なのに対し、後者はやや蛇行して

   いる場合があります。又、窯傷の場合には、軟らかい内に出来た為、底割れや欠けた部分が

   「スパット」綺麗に成っていない場合が多いですので、傷の状態で判断できる事も多いです。

 ③ 「欠け」や「ホツ」の周囲の全体が、熔けた釉で丸味を帯び、鋭利な角部分が出ていません。

 ④ 釉が黒ずみ、汚れた感じがします。これは、元の作品が不燃性の物質が残っていたからです。

   更に、複数個の大小の泡状の突起が、表出する場合があります。

 ⑤ 後絵では、現代人が好む兎(うさぎ)、水鳥、魚、桜、家、人物、舟などの文様が多いです。

 ⑥ 後絵の絵付けが「ぎこちなく」熟練した職人が描いた感じがなく、当時の絵付けと微妙に

   雰囲気が異なります。

 ⑦ 自然にこびりついた土銹(どしゅう)が無い。特に貫入に入り込んだ土銹や釉の表面に半透明

   状の薄い幕の土銹も無く、綺麗な状態の物は、二度焼きと思って間違い無い様です。

 ⑧ 二度焼きの場合、新たに釉を補充する場合と、補充しない方法があります。

   補充すると、オリジナルの釉と同じ成分にする必要がありますので、一般には補充しない事が

   多いです。補充しない場合、二度焼きの際、釉が若干素地(特に陶器の場合)に吸収される為

   透明釉がやや褐色になる場合があります。又、陶器の場合は「ニュウ」がより大きく広がり

   まので、「ニュウ」が埋まる事はありません。「ニュウ」を隠す為には、釉を追加しています。

 ⑨ 上絵付けの作品の再燃焼(二度焼き)は、磁器の作品がほとんどです。それ故、貫入も少なく

   比較的古色や汚れは付き難いですので、昔の絵の具を使い、絵柄も当時の模様を使った場合、

   上絵を追加しても、ほとんど見破る事は困難との事です。

   注: 当ブログでは、「二度焼き」を再焼成の意味で使っています。本来この言葉は、上絵付

    けの際の錦窯で焼成する事を指す言葉との事ですので、当ブログの上絵の「二度焼き」

    は「三度焼き」が正式な言葉となります。

以下次回に続きます。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 騙しのテクニック9 二度焼... | トップ | 騙しのテクニック11 擦(... »

コメントを投稿

騙しのテクニック」カテゴリの最新記事