2) 鶴首花瓶(花入)
鶴首とは、鶴の首の様に細長い花瓶です。首の太さに決まりはありません。本体の器に対して
細く長いと言う事で、本体(器)が太ければ、首も若干太くなっても鶴首と言います。
あくまでも相対的な事ですので、一輪挿しの様に極端に細い場合もあります。
① 轆轤挽きによる制作。
小さな作品であれば、一塊の土を一気に挽き上げて。制作する事も可能です。
やや大きな、又は肩の張った作品の場合には、本体と首の部分を別々に作り、接着する方法を
とります。前回取り上げた砧形と同様に肩の張った場合には、土が軟らかいと、首を支える事が
出来ませんので、別々に作り接着します。
) 一塊の土から作る。
土殺しや底作り、土を伸ばす筒上げなどは、今までお話して来たと同じですので、省略します。
但し、筒の肉厚は極端に薄くしてはいけません。薄いと径を細くする事は出来ないからです。
a) 鶴首だからと言って、最初から細くする訳ではありません。筒上げでは、手首が入る程度の
太さにしておきます。手の入る状態で胴部を膨らませます。但し、胴が手の入らない程度に
細い時には、「柄コテ」を内から当てて膨らませます。
b) 筒状の土を膨らませると、高さは低くなりますし、逆に細くするに従い、高さが増しますので
首用にどの位土を残すかを決めておく必要があります。
c) 首を徐々に細くする。
手首の入る筒を細くしますが、一度に細くは出来ません。なぜならば、径を細くする事は
肉厚が厚なる事でもあります。肉厚が徐々に厚くなる状態で、更に径を細めると撚(よ)れ
が発生します。撚れが出来た土は、まともに轆轤挽きができません。
d) 肉厚に成った筒は薄く上に伸ばす必要があります。それ故、高さは徐々に高くなる事に
なります。細くする方法は、径が大きい時には、両手で抱え込んで細くしますが、細くなるに
従い、親指と人差し指の間で、更に細くするには、親指、人差し指、中指の第一関節の
三点(両手で六点)で絞めて細くします。極端に細くする場合には、親指と人差し指の
指先(四点)で締め上げて細くします。ては必ず下から上に移動させます。
いずれも、土の逃げ場を作らないか、逃げ場が出てしまう場合には、逃げ場の隙間を
一定間隔にします。
e) 首を「なだらか」に細くする場合と、急激に細くする場合があります。
前者の場合には、緩やかな撫ぜ肩に成りますが、後者の場合には、角張った肩に成り
易いです。尚、急激に細くする場合には、「なだらか」な形にした後、若干乾燥させてから、
「竹へら」などを使い、細く形を整える様にすると、上手くいきます。
f) 径を細くする場合、轆轤の回転を早めにする事です。更に水切れが起きない様に常に
手(指)は濡らせておく必要があります。
g) 轆轤挽きが終了したら、必ず底の内側にに溜まっている水は柄の付いたスポンジで
吸い出します。これを怠ると底割れを起こします。
) 分割して作る。
一塊の土から、本体の径が大きく、鶴首部が細い場合にするには、緩い傾斜の肩にしな
ければ成りません。即ち、一気に細くする事ははなはだ難しい作業となります。
そこで、本体と首部を別々に轆轤挽きした後、接着する事になります。
本体は亀板の上で作ると、手間が省けます。
a) 本体(器)の肩の傾斜部をなだらかにする方法に、風船作りの方法を応用します。
即ち、完全に閉じた器を作ります。
b) 筒状に引き上げた土の胴を、所定の寸法に膨らませ後、上部を徐々に細めます。
形としては円錐形になります。頂点を完全に閉じます。
c) 空気の逃げ道さえ無ければ、頂点を下に押し込み、高さを低くすると共に、轆轤挽きでは
難しい幅の広い蒲鉾形やアーチ形にする事ができます。 この状態で乾燥させます。
但し、ある程度乾燥させたら、首を付ける頂点付近を針で穴を開けて、空気を逃がします。
これは、乾燥と共に土が縮まり、空気圧が上昇し、弱い処が破裂するのを防ぎます。
d) 首を轆轤挽きします。
細い首だからと言って轆轤挽きでは、根元から細くは出来ません。
轆轤上では径を大きくとり、徐々に細めていきます。必要の高さより、かなり高く作り、必要な
長さの所で、切り取り取ります。
) 組み立てる。
a) 本体側の中央部に穴を開けます。穴の大きさは、轆轤挽きした首の最下部の内径にあわせ
ます。
b) その穴の周辺に刻みと「ドベ」を付け、首の真下も同様に、刻みと「ドベ」を塗ってから圧着
します。 繋ぎ目よりはみ出した「ドベ」等は、筆などを使い、綺麗にふき取ります。
) 鶴首の底削りには、首が全体入る位の、背の高い「湿台(シッタ)」が必要です。
以下次回に続きます。
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