古陶磁器を扱う場合、当然、何時ごろ何処で作られたかが問題になります。
鑑定家は、器形や文様の様式、土の種類更には、制作方法の違いや焼きの違いなど、ご自分の経験
から割り出して、判断しているのが普通です。(これらに付いては、順次お話しする予定です。)
しかし、考古学など学術的に研究する場合、客観的なデータとして、科学的方法が取られています。
特に近年、測定器を用いてある程度の制作年代が特定出来る様になり、従来の経験による技法と
あいまって、より古さを正確に(但し誤差はあります)知る事が出来る様になりました。
以下、科学的方法についてお話します。
1) C-14法(放射性炭素法)
Cは炭素(カーボン)の原子記号です。数字は原子量(重さ)を表します。
① 原理
) 空気中には炭酸ガスが含まれます。(炭酸ガスは炭素と酸素の結合物です。=CO2)
炭素にはC-12と、極僅かのC-14(放射性炭素)が一定量存在しています。
植物は光合成により炭素を吸収し、動物は餌や呼吸と共に体内に取り入れいます。
) 生物(有機物)が死ぬ事で、この吸収は停止しますが、C-14は原子崩壊を起こし徐々に
減少して行きます。C-14の半減期(半分になる期間)は5730年で、規則的に減少します。
尚、C-12は減少しません。
) C-14とC-12の量の比率から、その生命体が何時死んだのかが解かります。
生命体には、植物や動物の骨、植物や動物から作られた繊維、衣類、麦や米などの炭化物
(こげ、燃え残り)、植物から採取した物漆、貝殻などが含まれます。
② C-14法の応用。
陶磁器は有機物ではありません(無機物です)ので、炭素を含みません。それ故直接測定する
事は出来ません。但し、土器などの場合には、使用時の「こげ」や「吹きこぼれ」など有機物
が付着してうる場合には、直接測定可能です。
実際には、以下の間接的な方法で測定しています。
) 古陶磁器と共に出土した有機物から推定する。
a) 発掘品は、ゴミ捨て場(物原、貝塚など)から見つかる事も多いです。そこには、獣や魚
の骨、木製の日用品の木片、貝殻なども見つかります。同じ地層から出土したこれらから、
年代が測定されます。
b) 縄文や弥生式住居跡から、当時使用していた土器などが出土する事は、稀ではありません
木の実や穀物などの貯蔵用の壷などには、その名残がある場合あります。煮炊き用に
使われた土器にも有機物の残渣(ざんさ)がある場合、これらも利用できます。
) 古陶磁器に添えてある箱、布類から推定する。
大切に保管されている陶磁器は、布に包まれ、箱に入っているのが普通です。
箱には書付の紙がある場合もあり、紐もあります。これら植物由来の炭素から年代が推定
されます。
2) AMS法(加速器質量分析)
近年、微量の炭素の試料で測定される方法が用いられています。
従来のC-14法では2~3gの試料が必要でしたが、その千分の一以下の1mg程度で測定可能の
方法です。しかも一時間と短時間で測定できるのが強みです。
但し、試料が微量である為、他の影響を受け易いとの事です。又、炭素の無い場合には利用
出来ません。
近年、この測定法を用いた結果、弥生時代の始めが定説より、500年さかのぼる(古い)
事が判明しました。
3) 熱ルミネッセンス法(TL法)
以下次回に続きます。
鑑定家は、器形や文様の様式、土の種類更には、制作方法の違いや焼きの違いなど、ご自分の経験
から割り出して、判断しているのが普通です。(これらに付いては、順次お話しする予定です。)
しかし、考古学など学術的に研究する場合、客観的なデータとして、科学的方法が取られています。
特に近年、測定器を用いてある程度の制作年代が特定出来る様になり、従来の経験による技法と
あいまって、より古さを正確に(但し誤差はあります)知る事が出来る様になりました。
以下、科学的方法についてお話します。
1) C-14法(放射性炭素法)
Cは炭素(カーボン)の原子記号です。数字は原子量(重さ)を表します。
① 原理
) 空気中には炭酸ガスが含まれます。(炭酸ガスは炭素と酸素の結合物です。=CO2)
炭素にはC-12と、極僅かのC-14(放射性炭素)が一定量存在しています。
植物は光合成により炭素を吸収し、動物は餌や呼吸と共に体内に取り入れいます。
) 生物(有機物)が死ぬ事で、この吸収は停止しますが、C-14は原子崩壊を起こし徐々に
減少して行きます。C-14の半減期(半分になる期間)は5730年で、規則的に減少します。
尚、C-12は減少しません。
) C-14とC-12の量の比率から、その生命体が何時死んだのかが解かります。
生命体には、植物や動物の骨、植物や動物から作られた繊維、衣類、麦や米などの炭化物
(こげ、燃え残り)、植物から採取した物漆、貝殻などが含まれます。
② C-14法の応用。
陶磁器は有機物ではありません(無機物です)ので、炭素を含みません。それ故直接測定する
事は出来ません。但し、土器などの場合には、使用時の「こげ」や「吹きこぼれ」など有機物
が付着してうる場合には、直接測定可能です。
実際には、以下の間接的な方法で測定しています。
) 古陶磁器と共に出土した有機物から推定する。
a) 発掘品は、ゴミ捨て場(物原、貝塚など)から見つかる事も多いです。そこには、獣や魚
の骨、木製の日用品の木片、貝殻なども見つかります。同じ地層から出土したこれらから、
年代が測定されます。
b) 縄文や弥生式住居跡から、当時使用していた土器などが出土する事は、稀ではありません
木の実や穀物などの貯蔵用の壷などには、その名残がある場合あります。煮炊き用に
使われた土器にも有機物の残渣(ざんさ)がある場合、これらも利用できます。
) 古陶磁器に添えてある箱、布類から推定する。
大切に保管されている陶磁器は、布に包まれ、箱に入っているのが普通です。
箱には書付の紙がある場合もあり、紐もあります。これら植物由来の炭素から年代が推定
されます。
2) AMS法(加速器質量分析)
近年、微量の炭素の試料で測定される方法が用いられています。
従来のC-14法では2~3gの試料が必要でしたが、その千分の一以下の1mg程度で測定可能の
方法です。しかも一時間と短時間で測定できるのが強みです。
但し、試料が微量である為、他の影響を受け易いとの事です。又、炭素の無い場合には利用
出来ません。
近年、この測定法を用いた結果、弥生時代の始めが定説より、500年さかのぼる(古い)
事が判明しました。
3) 熱ルミネッセンス法(TL法)
以下次回に続きます。
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