わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

騙しのテクニック12 古さを知る1(科学的方法1)

2014-06-28 16:15:47 | 騙しのテクニック
古陶磁器を扱う場合、当然、何時ごろ何処で作られたかが問題になります。

鑑定家は、器形や文様の様式、土の種類更には、制作方法の違いや焼きの違いなど、ご自分の経験

から割り出して、判断しているのが普通です。(これらに付いては、順次お話しする予定です。)

しかし、考古学など学術的に研究する場合、客観的なデータとして、科学的方法が取られています。

特に近年、測定器を用いてある程度の制作年代が特定出来る様になり、従来の経験による技法と

あいまって、より古さを正確に(但し誤差はあります)知る事が出来る様になりました。

以下、科学的方法についてお話します。

1) C-14法(放射性炭素法)

   Cは炭素(カーボン)の原子記号です。数字は原子量(重さ)を表します。

 ① 原理

  ) 空気中には炭酸ガスが含まれます。(炭酸ガスは炭素と酸素の結合物です。=CO2)

   炭素にはC-12と、極僅かのC-14(放射性炭素)が一定量存在しています。

   植物は光合成により炭素を吸収し、動物は餌や呼吸と共に体内に取り入れいます。

  ) 生物(有機物)が死ぬ事で、この吸収は停止しますが、C-14は原子崩壊を起こし徐々に

    減少して行きます。C-14の半減期(半分になる期間)は5730年で、規則的に減少します。

    尚、C-12は減少しません。

  ) C-14とC-12の量の比率から、その生命体が何時死んだのかが解かります。

    生命体には、植物や動物の骨、植物や動物から作られた繊維、衣類、麦や米などの炭化物

    (こげ、燃え残り)、植物から採取した物漆、貝殻などが含まれます。

 ②  C-14法の応用。

   陶磁器は有機物ではありません(無機物です)ので、炭素を含みません。それ故直接測定する

   事は出来ません。但し、土器などの場合には、使用時の「こげ」や「吹きこぼれ」など有機物

   が付着してうる場合には、直接測定可能です。

   実際には、以下の間接的な方法で測定しています。

  ) 古陶磁器と共に出土した有機物から推定する。

   a) 発掘品は、ゴミ捨て場(物原、貝塚など)から見つかる事も多いです。そこには、獣や魚

    の骨、木製の日用品の木片、貝殻なども見つかります。同じ地層から出土したこれらから、

    年代が測定されます。

   b) 縄文や弥生式住居跡から、当時使用していた土器などが出土する事は、稀ではありません

     木の実や穀物などの貯蔵用の壷などには、その名残がある場合あります。煮炊き用に

     使われた土器にも有機物の残渣(ざんさ)がある場合、これらも利用できます。

  ) 古陶磁器に添えてある箱、布類から推定する。

    大切に保管されている陶磁器は、布に包まれ、箱に入っているのが普通です。

    箱には書付の紙がある場合もあり、紐もあります。これら植物由来の炭素から年代が推定

    されます。

2) AMS法(加速器質量分析)

  近年、微量の炭素の試料で測定される方法が用いられています。

  従来のC-14法では2~3gの試料が必要でしたが、その千分の一以下の1mg程度で測定可能の

  方法です。しかも一時間と短時間で測定できるのが強みです。

  但し、試料が微量である為、他の影響を受け易いとの事です。又、炭素の無い場合には利用

  出来ません。

  近年、この測定法を用いた結果、弥生時代の始めが定説より、500年さかのぼる(古い)

  事が判明しました。

3) 熱ルミネッセンス法(TL法)

 以下次回に続きます。
  
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 騙しのテクニック11 擦(... | トップ | 騙しのテクニック13 古さ... »

コメントを投稿

騙しのテクニック」カテゴリの最新記事