フリット(frit)とは、余り耳にする事も無く、一般に使用される事は少ないですが、釉の文献
を読むと見出す事もあります。尚、楽焼の釉で使用される白玉(しらたま)はフリットです。
フリット(frit)とは、釉の一部(又は全部)の原料を予め熔融しガラス化させた物です。
これを他の釉の原料に混ぜて使用します。
1) フリットを利用する理由。
① 水溶性の釉の原料を釉に入れ易くする効果があります。
釉の原料の内で、炭酸ソーダ、炭酸カリ、硝酸ソーダ、硼素酸、硼砂などや、その塩化物
は水溶性ですので、直接釉の中に入れると素地に吸収され、釉の成分が変化します。
更にそのまま焼成すると、素地が膨らむ等の弊害が発生します。この様な原料をフリット
にし、ガラス化すれば素地に溶け込まなく成ります。
但し、炭酸カルシウム、炭酸および酸化マグネシウムは、水溶性ですが、フリットにする
必要は有りません。上記弊害が無い為と思われます。
② 人間に有害な釉の成分を無害化する。
現在ではほとんど使用されていない鉛化合物などを、フリット化する事で無害にする事が
できます。即ち、ガラスでコーテングする事で、酸などから鉛の溶け出すのを防ぎます。
③ 低温では反応が遅いバリウム化合物などは、フリット化する事で、多量に使用出来る様
になり、焼成温度範囲も広がります。更に釉の発色にも好影響を与えます。
④ 同じ組成の釉であっても、生原料の成分よりも、高濃度にする事も出来、嵩(かさ
=量)も少なくする事が出来ます。その為、生釉よりも薄く施釉する事が可能です。
又、フリット化で化学反応は終了しています。その為、化学的には不活発ですので、
素地や下絵具に対して、安定して使用できます。
⑤ フリットにする事で、釉成分を均一化する事が出来ます。
生原料の粒子の大きさ、比重や形状の違いなどが著しく異なる場合、フリットにする事
で均一化する事が出来、釉の分離沈殿を防げます。更に、均一の発色を促し綺麗な色に
焼き上げる事が出来ます。
⑦ 予め溶融しておく事で、釉の原料からガス成分を取り除く事が可能に成ります。
その為、気泡の発生を抑える事が出来ます。
2) フリットの作り方。
① 坩堝(るつぼ)を800℃程度に余熱し、調合物を入れ温度を上昇させ、原料がわず
かに熔融させる。坩堝の内面に予め珪砂を塗っておくと良い。坩堝の代わりに匣鉢
(さや)を使う場合もあります。その際注意する事は以下の事項です。
ⅰ) 最初から坩堝に入れると、ソーダーやカリ成分は低温で先に熔け、坩堝に吸収さ
れ釉の成分量が変化してしまいます。
ⅱ) 硼砂を多く含む調合物は、加熱と同時に急膨張し、坩堝から溢れ出します。
その為、坩堝に投入する際には、数回に分けて行います。 但し、無水硼砂(焼硼砂)
なら問題ありません。 焼硼砂を作るには、鉄鍋に入れゆっくり加熱し結晶水を蒸発
させい粉状態にします。
② ガラス状態に成ったら、水の中に流れ出させます。
但し、アルカリ成分(塩基)に対し珪酸成分が少ない場合には、幾分水溶性があり、水
に直接投入せずに、磨いた鉄板の上に薄く流し出し、扇風機などで空冷すると良いそう
です。
③ 水に入れると白濁化し軽石状態になり粉砕し易くなります。
3) 陶芸材料メーカーでは、ガラス粉を販売しています。又ガラス釉なる物も市販されて
います。ガラスや板ガラスの粉末も、フリットとして使用できますが、鉛や硼砂などが
入っていますので、使用温度が高くなりますが、上手に使用する事です。特に色ガラス
等は用途によっては、味のある釉を作れる可能性もあります。それ故、挑戦する価値が
あるかも知れません。
以下次回に続きます。
を読むと見出す事もあります。尚、楽焼の釉で使用される白玉(しらたま)はフリットです。
フリット(frit)とは、釉の一部(又は全部)の原料を予め熔融しガラス化させた物です。
これを他の釉の原料に混ぜて使用します。
1) フリットを利用する理由。
① 水溶性の釉の原料を釉に入れ易くする効果があります。
釉の原料の内で、炭酸ソーダ、炭酸カリ、硝酸ソーダ、硼素酸、硼砂などや、その塩化物
は水溶性ですので、直接釉の中に入れると素地に吸収され、釉の成分が変化します。
更にそのまま焼成すると、素地が膨らむ等の弊害が発生します。この様な原料をフリット
にし、ガラス化すれば素地に溶け込まなく成ります。
但し、炭酸カルシウム、炭酸および酸化マグネシウムは、水溶性ですが、フリットにする
必要は有りません。上記弊害が無い為と思われます。
② 人間に有害な釉の成分を無害化する。
現在ではほとんど使用されていない鉛化合物などを、フリット化する事で無害にする事が
できます。即ち、ガラスでコーテングする事で、酸などから鉛の溶け出すのを防ぎます。
③ 低温では反応が遅いバリウム化合物などは、フリット化する事で、多量に使用出来る様
になり、焼成温度範囲も広がります。更に釉の発色にも好影響を与えます。
④ 同じ組成の釉であっても、生原料の成分よりも、高濃度にする事も出来、嵩(かさ
=量)も少なくする事が出来ます。その為、生釉よりも薄く施釉する事が可能です。
又、フリット化で化学反応は終了しています。その為、化学的には不活発ですので、
素地や下絵具に対して、安定して使用できます。
⑤ フリットにする事で、釉成分を均一化する事が出来ます。
生原料の粒子の大きさ、比重や形状の違いなどが著しく異なる場合、フリットにする事
で均一化する事が出来、釉の分離沈殿を防げます。更に、均一の発色を促し綺麗な色に
焼き上げる事が出来ます。
⑦ 予め溶融しておく事で、釉の原料からガス成分を取り除く事が可能に成ります。
その為、気泡の発生を抑える事が出来ます。
2) フリットの作り方。
① 坩堝(るつぼ)を800℃程度に余熱し、調合物を入れ温度を上昇させ、原料がわず
かに熔融させる。坩堝の内面に予め珪砂を塗っておくと良い。坩堝の代わりに匣鉢
(さや)を使う場合もあります。その際注意する事は以下の事項です。
ⅰ) 最初から坩堝に入れると、ソーダーやカリ成分は低温で先に熔け、坩堝に吸収さ
れ釉の成分量が変化してしまいます。
ⅱ) 硼砂を多く含む調合物は、加熱と同時に急膨張し、坩堝から溢れ出します。
その為、坩堝に投入する際には、数回に分けて行います。 但し、無水硼砂(焼硼砂)
なら問題ありません。 焼硼砂を作るには、鉄鍋に入れゆっくり加熱し結晶水を蒸発
させい粉状態にします。
② ガラス状態に成ったら、水の中に流れ出させます。
但し、アルカリ成分(塩基)に対し珪酸成分が少ない場合には、幾分水溶性があり、水
に直接投入せずに、磨いた鉄板の上に薄く流し出し、扇風機などで空冷すると良いそう
です。
③ 水に入れると白濁化し軽石状態になり粉砕し易くなります。
3) 陶芸材料メーカーでは、ガラス粉を販売しています。又ガラス釉なる物も市販されて
います。ガラスや板ガラスの粉末も、フリットとして使用できますが、鉛や硼砂などが
入っていますので、使用温度が高くなりますが、上手に使用する事です。特に色ガラス
等は用途によっては、味のある釉を作れる可能性もあります。それ故、挑戦する価値が
あるかも知れません。
以下次回に続きます。
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