釉は一種のガラスと見る事ができます。ガラスの材料である長石や珪石、それにアルカリ類の混合物
は高温度で熔けて、粘りのある液状になります。(尚、化学的には、ガラスは固形であっても液体と
見なされています。)その際、釉の調合の仕方によって、流動性が有る場合と、ほとんど流動性を
示さない物があります。市販されている釉のほとんどは、流動性の乏しい物が多いです。
流動性とは釉が移動して広がる事です。広がる方向は横(左右)方向と下方向になります。
特に問題に成るのは、下方向に流れる場合で、棚板まで流れ落ち固着する事です。
平たい皿の様な作品は、横方向に広がりますが、期待する程は広がりません。
1) 釉が流動性を持つ場合とは。
① 所定の温度より、高い温度で焼成した場合。
本焼きの場合、市販されている釉の焼成温度は、おおよそ、1180、1200、1230、1250、1280、
1300℃等に分類されます。但し、焼成温度はある程度の範囲内で熔ける様に成っています。
当然御自分で調合した釉であれば、任意の焼成温度にする事もできます。
例えば、1180℃と設定されている釉を、1250℃で焼成すれば、程度の差はありますが、ほとんど
の釉は流れます。温度が高ければ高い程、釉は流れ易くなります。
② 釉を厚く掛け過ぎた時。又は、流れ易い釉との二重掛けを行った場合。
) 釉を厚く掛け過ぎた場合は、一般的な釉であれば、流れる事が多いのですが、釉の種類に
よっては流れずに、「あばた」に凸凹に寄り集まる事もあります。特に流れ難く調合されて
いる釉(志野釉など)ではこのタイプになります。
) 結晶釉は流れ易い釉です。
結晶釉に含まれる金属などが、窯が冷えるに従い結晶化を起こし次第に成長し、独特の釉肌を
呈します。結晶を成長させるには、釉に含まれる金属が結晶の核になる部分へ少しづつ移動
する必要があります。その為に、結晶釉には流動性は必須条件になります。
市販されている結晶釉は、流動性が出る様に調合されています。
) 一方又は両方とも流れ易い釉を二重掛けした場合、釉は流れます。
a) 一方だけが流れ易い釉の場合、どちらを先(下)に掛け、どちらを後(上)に掛けるかに
よって色や流れ方が変化します。
b) 流れ難い釉を下にし、その上に流れ易い釉を掛ける場合には、上の釉のみが流れ、釉同士が
混ざり合う事が少ないです。著名な例として、唐津焼きの朝鮮唐津は、飴釉の上に流れ易い
白い釉が掛けられ、白い釉のみが流れています。この流れが一つの見所と成っています。
c) 流れ易い釉を下にし、その上に流れ難い釉を掛けた場合、上の釉も流れます。
更に、釉同士が混ざり合います。その結果は必ずしも中間色が出る訳ではありません。
まったく予想しない色が出る事も珍しくありません。
勿論、二重掛けをする範囲によって流れる範囲も限定されます。
) 両方とも流れ易い釉を重ね塗りした場合、より多く流れ易くなると思われます。
但し結晶釉の場合は、流れ過ぎて結晶化が起こらない可能性もあります。
2) 流動性を持つと、どんな効果があるのか?。
以下次回に続きます。
は高温度で熔けて、粘りのある液状になります。(尚、化学的には、ガラスは固形であっても液体と
見なされています。)その際、釉の調合の仕方によって、流動性が有る場合と、ほとんど流動性を
示さない物があります。市販されている釉のほとんどは、流動性の乏しい物が多いです。
流動性とは釉が移動して広がる事です。広がる方向は横(左右)方向と下方向になります。
特に問題に成るのは、下方向に流れる場合で、棚板まで流れ落ち固着する事です。
平たい皿の様な作品は、横方向に広がりますが、期待する程は広がりません。
1) 釉が流動性を持つ場合とは。
① 所定の温度より、高い温度で焼成した場合。
本焼きの場合、市販されている釉の焼成温度は、おおよそ、1180、1200、1230、1250、1280、
1300℃等に分類されます。但し、焼成温度はある程度の範囲内で熔ける様に成っています。
当然御自分で調合した釉であれば、任意の焼成温度にする事もできます。
例えば、1180℃と設定されている釉を、1250℃で焼成すれば、程度の差はありますが、ほとんど
の釉は流れます。温度が高ければ高い程、釉は流れ易くなります。
② 釉を厚く掛け過ぎた時。又は、流れ易い釉との二重掛けを行った場合。
) 釉を厚く掛け過ぎた場合は、一般的な釉であれば、流れる事が多いのですが、釉の種類に
よっては流れずに、「あばた」に凸凹に寄り集まる事もあります。特に流れ難く調合されて
いる釉(志野釉など)ではこのタイプになります。
) 結晶釉は流れ易い釉です。
結晶釉に含まれる金属などが、窯が冷えるに従い結晶化を起こし次第に成長し、独特の釉肌を
呈します。結晶を成長させるには、釉に含まれる金属が結晶の核になる部分へ少しづつ移動
する必要があります。その為に、結晶釉には流動性は必須条件になります。
市販されている結晶釉は、流動性が出る様に調合されています。
) 一方又は両方とも流れ易い釉を二重掛けした場合、釉は流れます。
a) 一方だけが流れ易い釉の場合、どちらを先(下)に掛け、どちらを後(上)に掛けるかに
よって色や流れ方が変化します。
b) 流れ難い釉を下にし、その上に流れ易い釉を掛ける場合には、上の釉のみが流れ、釉同士が
混ざり合う事が少ないです。著名な例として、唐津焼きの朝鮮唐津は、飴釉の上に流れ易い
白い釉が掛けられ、白い釉のみが流れています。この流れが一つの見所と成っています。
c) 流れ易い釉を下にし、その上に流れ難い釉を掛けた場合、上の釉も流れます。
更に、釉同士が混ざり合います。その結果は必ずしも中間色が出る訳ではありません。
まったく予想しない色が出る事も珍しくありません。
勿論、二重掛けをする範囲によって流れる範囲も限定されます。
) 両方とも流れ易い釉を重ね塗りした場合、より多く流れ易くなると思われます。
但し結晶釉の場合は、流れ過ぎて結晶化が起こらない可能性もあります。
2) 流動性を持つと、どんな効果があるのか?。
以下次回に続きます。