高齢者住宅にいる父の顔を見に行ってきた。
特にここ最近、父は非常に弱ったと思う。
週に一度は父の所へ行っているが、行くたびごとに、また一段と弱ったという感じがする。
思えば二ヶ月くらい前、「調子はどう?」と父に聞くと、父は力なく「もうだめだ。おしまいだ」と言ったことがあった。
身体がどんどん弱っていくことを、父自身が一番わかっていて出た言葉だろうと思う。
その時、私は父に「まだまだ大丈夫。先生は、身体はどこも悪いところはないと言っていたでしょう。あとは足を弱らせないように、なるべく歩くようにしないとね」と言った。
しかし、父が目に見えて弱ってきたのは、あの頃からかもしれない。
あれほどおしゃべりだった父は、もうほとんど自分から話すことはない。
私が何か聞くと、それに対して、うなずいたり手を振ったりして合図をするだけ。
テレビを観るわけでもなく、ひたすら布団の中に横たわったままで一日を過ごしている。
しかし、できる限り自分の足で歩くという施設や病院の方針で、歩行器を使って、食堂まで、まだなんとか自分の足で行っているようだ。
ところがこの前、私が行った時、父はなかなか起き上がることができず、仕方なく食事を部屋まで運んだことがあった。
その時、父はようやく起き上がって、ベッドに腰掛けて、食事を自分で食べたのだったが、これは歩くのも難しくなってきたのかなと思った。
そして、今回もまた父のベッドの横に食事のお膳が置いてあった。
「ついに自力で食堂へ行けなくなったのか」と心配になって、布団の中で目をつぶっている父に聞こうと思ったが、父はいびきをかいて寝ていた。
しばらく様子を見ていたが、父は一度も目を開けることがないので、帰ろうと思って、父の耳元で「帰るね」と声をかけたら、うなずいて返事をしてくれた。
「聞こえていたのか」と、それから色々話しかけると、すべてにうなずいて返事をしてくれたが、結局一度も目は開けなかった。
今までこんなことはなかった。
声をかけると、必ず目を開けてくれた。
それにしても、目を開けずにうなづくだけの父の姿には不安が募った。
帰る時に、看護師さんにお話を聞くと「普段は、まだ自分で歩いて食堂まで来ています。今日はたまたま食事のタイミングがずれてしまって、部屋に食事を運びました」とのことだった。
それを聞いてすこし安心したが、看護師さんに「ところで、今日はなにかお菓子などを持ってきましたか」と聞かれた。
父は甘党なので、行くたびに少しだけお菓子を差し入れていたが、最近の父は、まったくお菓子を食べなくなっていたので、もう差し入れはしていなかった。
「いえ、なにも持ってきていません」と答えると、「それはよかった。もしも誰も見ていない所で食べて、のどに詰まらせてしまっては大変なので」と言われた。
これを聞き、「もう飲み込む力も弱っているのだな」と思った。
もうあまり時間は無いのかもしれない。
母の時もそうだったが、今、生きている父の姿をしっかりと目に焼き付けておこうと思いながら、父に会いに行く今日この頃だ。
特にここ最近、父は非常に弱ったと思う。
週に一度は父の所へ行っているが、行くたびごとに、また一段と弱ったという感じがする。
思えば二ヶ月くらい前、「調子はどう?」と父に聞くと、父は力なく「もうだめだ。おしまいだ」と言ったことがあった。
身体がどんどん弱っていくことを、父自身が一番わかっていて出た言葉だろうと思う。
その時、私は父に「まだまだ大丈夫。先生は、身体はどこも悪いところはないと言っていたでしょう。あとは足を弱らせないように、なるべく歩くようにしないとね」と言った。
しかし、父が目に見えて弱ってきたのは、あの頃からかもしれない。
あれほどおしゃべりだった父は、もうほとんど自分から話すことはない。
私が何か聞くと、それに対して、うなずいたり手を振ったりして合図をするだけ。
テレビを観るわけでもなく、ひたすら布団の中に横たわったままで一日を過ごしている。
しかし、できる限り自分の足で歩くという施設や病院の方針で、歩行器を使って、食堂まで、まだなんとか自分の足で行っているようだ。
ところがこの前、私が行った時、父はなかなか起き上がることができず、仕方なく食事を部屋まで運んだことがあった。
その時、父はようやく起き上がって、ベッドに腰掛けて、食事を自分で食べたのだったが、これは歩くのも難しくなってきたのかなと思った。
そして、今回もまた父のベッドの横に食事のお膳が置いてあった。
「ついに自力で食堂へ行けなくなったのか」と心配になって、布団の中で目をつぶっている父に聞こうと思ったが、父はいびきをかいて寝ていた。
しばらく様子を見ていたが、父は一度も目を開けることがないので、帰ろうと思って、父の耳元で「帰るね」と声をかけたら、うなずいて返事をしてくれた。
「聞こえていたのか」と、それから色々話しかけると、すべてにうなずいて返事をしてくれたが、結局一度も目は開けなかった。
今までこんなことはなかった。
声をかけると、必ず目を開けてくれた。
それにしても、目を開けずにうなづくだけの父の姿には不安が募った。
帰る時に、看護師さんにお話を聞くと「普段は、まだ自分で歩いて食堂まで来ています。今日はたまたま食事のタイミングがずれてしまって、部屋に食事を運びました」とのことだった。
それを聞いてすこし安心したが、看護師さんに「ところで、今日はなにかお菓子などを持ってきましたか」と聞かれた。
父は甘党なので、行くたびに少しだけお菓子を差し入れていたが、最近の父は、まったくお菓子を食べなくなっていたので、もう差し入れはしていなかった。
「いえ、なにも持ってきていません」と答えると、「それはよかった。もしも誰も見ていない所で食べて、のどに詰まらせてしまっては大変なので」と言われた。
これを聞き、「もう飲み込む力も弱っているのだな」と思った。
もうあまり時間は無いのかもしれない。
母の時もそうだったが、今、生きている父の姿をしっかりと目に焼き付けておこうと思いながら、父に会いに行く今日この頃だ。