私の耳が好きだと・・・
あのひとは言う。
私の髪をかきあげ、耳に触れて、
耳の立ったうさぎみたいだ・・・と笑う。
その可愛い耳が大好きだと・・・と笑う。
こんなに細くて小さな指なのに、ちゃんと関節があって、動くんだね?
なんで、ちゃんと機能するのだろう・・・?
あのひとは、不思議そうに、私の指に触れる。
この指と耳は、私のもの・・・。
誰にも、触れさせないで・・・。
あの人は、そう言って、笑う・・・。
耳の立ったうさぎは、恥ずかしさで、いっぱい・・・。
あのひとの視線にうつむくばかり・・・。
ほら・・・昨日満月が、苦笑いしてる・・・。
うさぎの耳は、真っ赤に染る。
ほら・・・十六夜の月が、少しだけ欠けながら、苦笑いをしている。
お月さまに嗤われてしまった・・・耳の立ったうさぎ・・・。