鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

解体②

2015-09-24 06:41:58 | Weblog
 
以前の職場であったビルの解体現場を通る。

3階と2階は、既に無きものとなり、空間だけが、虚しくそこに在った。
あとは、1階と隣接するもう1棟の事務所が、解体されるのを待っている。

駐車場だった場所には、瓦礫の山だ。

粉々になった建屋の切片が山と積まれている。
これらを回収すれば、更地になるものあと僅かで、そのあとは、私の知らない建物が経つのだろう。

相方と初めて出会った場所でもある。
もう・・・ずっとずっと大昔の話だ。

私は、初めての面談のときのことを、はっきり覚えているのに、相方は、思い出すことも出来ないらしい。

そう・・・彼にとって、私は、沢山いた部下のひとりで、かつ、派遣に出されたひとりにすぎないのだから。

私は、あの頃と何の変りもない。
変化もないし、進歩もない。

一体、何のための時間だったのか・・・。

積み重ねた時間は、灰燼と帰す。
あのビルと同じく、粉々に解体されて、ビルは、姿を消し、私は、その今はなき、その姿を思い出すだけである。

私の記憶には、あるのに、現在は、もう存在しない。

・・・だから、もう何もない。

あるのは、瓦礫のように山積した過ぎた時間の残骸の思い出ばかりである。

この場所は、他のひとのものになったのだから。

そして、もうこの場所に、私が戻ることも・・・ない。