友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

昨日のこと

2007年10月22日 19時59分12秒 | Weblog
 昨日は77歳の姉のお供をして、大阪の帝国ホテルで開かれた「秋川雅史バースデイパーテイ」に出かけた。出かけたといっても、入場チケットは姉のものしかないので、私はパーテイが終わるまで待った。辺りをブラブラ歩き、結局喫茶店に入って2時間つぶした。そのおかげで、途中までしか読めていなかった海堂尊著『チーム・バチスタの栄光』を読み終えることができた。

 この本は、私にアゴタ・クリストフを「おもしろいわよ」と言って紹介してくれた人に、「今はどんな本を読んでいるんですか」と尋ねたところ、「これもおもしろいわよ」と言って貸してもらったものだ。アゴタ・クリストフの作品は展開が速く、一気に読めたが、この本も同じようにどんどんと引き込まれてしまった。アゴタの作品がハンガリー動乱を背景にしたものに対し、この作品は現代の最先端医療を扱っている。

 海堂尊という人を私は全く知らないが、著者名を見ると1961年生まれで、現在勤務医となっている。医師でなければ書けない内容だったので、なるほどと納得できた。これも私は知らなかったが、宝島社などが行っている大賞賞金1200万円の公募小説「このミステリーがすごい!」で、2005年度の大賞に輝いた作品だった。最先端医療の中に潜む、事故なのか殺人なのかそれとも何かと、めまぐるしく頭を切り替えないと付いていけない小説だった。

 読み終わって店を出てくると、すっかり街は暗くなっていた。大阪は難波の方には何度か着たことがあったけれど、天満は初めてだった。ビルは立ち並んでいるが日曜日のためなのか、静かだった。車の往来はあっても歩いているような人は私くらいだ。ホテルで待っていると何人かの人々が降りてきた。どうやらパーテイは終わったようだ。見ているとほとんどが女性だった。後で姉から聞くと、男性は3人ほどしかいなかったそうだ。その男性も夫婦で参加している様子だった。いかに多くの女性フアンが秋川雅史さんを支えているかがわかる。

 しかも、女性たちの年齢は50代から上が圧倒的だ。中には、杖を付き、今にも倒れそうな高齢の方もいたし、体重が百キロはあるのではないかと思われる婦人もいた。皆一様に秋川さんを「かわいい!」と言うそうだから、そう聞いた私は背筋が寒くなるような気がした。フアンというものはありがたいもので、このパーテイには600人もが参加したそうだ。しかもその人たちの多くが、東京に行ったり、北海道に行ったり、秋川さんの行くところへはどこへでも追いかけていくようだ。姉は「インターネットで調べて、行ってるみたいだよ」と言い、私に調べて連れて行って欲しそうな口ぶりだった。

 豪華な帝国ホテルを出て、私と姉は新大阪の駅の地下街で、一杯680円のニシンそばを食べ、1本のビールを二人で分け合って飲んだ。姉と二人だけで旅をするのは今回が初めてだ。姉はもう少し私に話したいことがあったかもしれなかったのに、私は帰りの新幹線ではまた本を取り出して、一人で読みふけっていた。

 家に帰り、姉がお土産にと買ってくれたシュウマイを肴にして、もう一度ビールを飲む。NHK衛星第一で、差別をなくすための授業を放送していた。1968年、アメリカで人種差別をなくすために取り組んだ小学校教師の実践を取り上げていた。小学校3年生か4年生くらいのクラスで、子どもを「青い目と茶色い目」に分け、差別する教育実践だ。差別を受けることの理不尽と苦しみ悲しみを実際に体験することで、差別をなくすという試みだ。

 女性教師は言う。「どこでもうまくいくとは限らないが、なくすためにどうするかを真剣に考えれば誰でもできる」。差別は小さな時から周囲が叩き込んだものだ。差別は実に他愛もないものから生まれるが、差別はさらに差別を生み出していく。差別をあってはならないものと頭で考えてもなかなかなくならない。差別される側になって初めて差別の痛みがわかる。そんなことを彼女は伝えたかったのだと思った。テレビを見ているうちに、ブログに書き込む時間がないことに気付いた。
コメント
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