友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

人には添うてみよ。馬には乗ってみよ

2012年02月27日 19時14分52秒 | Weblog

 大学の先生夫妻は今朝、西安・敦煌の旅に出発した。旅の話が楽しみである。私が高校生の時だと思うが、井上靖氏の『蒼き狼』が話題になっていた。モンゴルの王、ジンギスカンの物語で、父親が雑誌で読んでいたのを覚えている。モンゴルの大草原やゴビ砂漠の雄大さを勝手に想像していた。西安から敦厚へ、そして楼蘭へと行ってみたいと思っていた。

 

 大学を卒業する時、トヨタ自動車などに掛け合って、シルクロードの旅を写真とスケッチで表現する計画を立てたけれど、誰ものってくれずボツに終わった。私が学生の頃は、中国もロシアも自由に行くことは出来なかったから、無謀な思いつきだった。

 

 映画『敦煌』は、敦煌の遺跡がどのようにして守られたのかを描いたものだったが、史実はともかくとして、敦煌を訪ねてみたい気持ちを大きくしてくれた。経典を必死で守ろうとする僧たちが印象的であったし、ウルグイの王女はとても美しかった。西域ではトルコ人やイラン人が活躍していたというが、西洋人の女性を見た時、当時の男たちはどう思ったのだろう。

 

 それにしても、中国は広い。私は重慶と成都しか行ったことはないけれど、地図で見れば随分奥地の山の中だ。けれども重慶も成都も平地で、高い山など見なかったように思う。高いところに平地があるとは思っても見なかったけれど、アメリカのロッキー山脈にある街に行った時も、そこはだだっ広い平地で周りに山はなかった。

 

 知らない街へ行くのは緊張すると言う人もいるけれど、私はどちらか言えば好きだ。知らない人の知らない歴史や知らない生活に触れることは心が躍る。テレビでアフリカの原住民の生活を紹介していたけれど、彼らの財産といえばナベくらいだった。家も、草木で作ったもので、移動する時は持って行かなかった。その日に食べるものを猟してくるか、採ってくる。男の最大の賛美は猟がうまいことだ。女たちは日長、男たちが持って帰る獲物を待っている。獲物が手に入らなければ、木の根や果物でお腹を満たす。そんな彼らの生活の傍まで文明は押し寄せているが、文明の機器で欲しい物は無いのかという問いに、「何もいらない。移動するのに邪魔になる」と言う。

 

 世界各地に人はいて、それぞれに生活している。若い時はそんな知らない世界を見て来たいと思っていたが、やはり歳を重ねると「知ったところでどうにもならない」と思うようになった。人はもっと知り合えば、戦争もしないですむだろう。だから若い人はどんどん海外に出かけて欲しいし、海外から友人を招いて欲しい。三国志のふるさと、成都はきれいな街であった。公園はキレイに整備され、人々が太極拳を行っていたり、若い男女が手をつないで歩いていた。古い寺院や廟も残されていて、訪れる人も多かった。

 

 訪れて初めて知ることもある。人もまた話してみて初めてよさを知ることもある。「人には添うててみよ。馬には乗ってみよ」と昔から言うではないか。

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