尖閣諸島や竹島や北方領土やミサイルの発射や、税関や反日運動や日本商品の高い評価や、いろいろな外国との諸問題に対して、「民主党政権は弱腰外交だ」とか、毅然とした態度が取れない根本原因は軍事力を行使できない平和憲法があるとか、明日の衆議院選挙の公示を前に外交問題がうるさくなってきた。私の友だちも前に紹介した知的な高齢の女性も、「弱い日本」に対して憤りを持っている。
『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』を読むと、外交を動かしているマグマは経済問題だと思った。江戸末期に外国と結んだ不平等条約を跳ね返すために、日本は世界大戦まで進んでしまったが、政府がその先頭に立っていたとはいえ、多くの国民がこれを支持していたことも事実だ。外交で最後にものをいうのは軍事力という基本は今も変わらない。軍事力だけが突出していても経済力が伴わないと、かつてのソ連のように崩壊していくこともある。軍事力と経済力を備えたアメリカが世界を支配しているのはだから当然である。
しかし今、アメリカだって財政赤字から脱却できないし、アメリカだって国際世論を無視できない。アメリカの財政問題は、経済の自己運動を政治がコントロールすることは無理だと言っているようにも見える。そもそも資本主義社会は新しい時代に入ってきているのだと言う経済学者もいる。第1次世界大戦の反省から人類は国際連盟を作り上げた。しかし、それでも第2次世界大戦を防ぐことは出来なかった。その反省に踏まえて、国際連合に発展したが、未だに個々の紛争の解決には至っていない。先日、国連はアメリカの意向に反してパレスチナに国家としての地位を与えた。
日本のように、戦争放棄を憲法に掲げた国家はそれを御旗にして、新しい世界作りを声高に主張して国際世論の中心になっていくべきだと私は思うけれど、自民党の安倍さんや維新の石原・橋下さんは「強い日本」を強調している。石原さんは原発による「核保有」は外交の強力なバックになるとさえ言う。石原さんの発言を聞いていると、まるで子どもと同じだなと思う。腕白小僧は腕力で子どもたちを支配し、「ウン」と言わせてきた。大人というものはもっと賢いものだと子どもの頃は思っていたけれど、少しも変わらない。
「人類は進歩しているよね」と誰かが言っていたけど、実際に進歩しているのだろうか。それでも社会の仕組みは時代を反映して変わってきているのだから、それに合わせて人類もやはりどこかで変わってきていると思う。今日は井戸掘りがうまくいった。私たちも技術的に少しは進歩したのだろうか。確信が持てないでいるが‥。