長女が我が家に来て、年末年始の計画をカミさんと打ち合わせていた。久し振りに母と娘がゆっくりと話し合う姿を見て、やっぱり娘たちの時代になったと思った。以前ならカミさんが圧倒的に主導権を握っていたのに、明らかに長女の方がリードしている。それはよい傾向だと思う。娘たちが子どもの頃は、働くお母さんであったカミさんは強い力で子どもたちを支配していた。
多分、本人はそのつもりではなく、あくまでも子どもたちのためにと思って注意したり要求したりしていたのだが、私はもっと自主性に任せてもいいのではないかと思っていたので、つい、間に入って「そんなに言わなくてもいいじゃないか」と言ってしまう。「そういうあなたの態度が子どもたちに悪影響を与えているのよ。両親の意見が違っては、子供はよくならない」と、今度は私が叱られることになった。
子どもたちは伸び伸びといい子に育った。「人には優しく、自分には厳しく」と私はいつも言い聞かせたが、その通りの大人になってくれた。長女とカミさんは、高校生の頃まではよく対立していたけれど、今では長女の言うことをカミさんの方が受け入れている。母から娘へ、こんな風に関係は変わっていくのだろう。父親はどうなのだろう。私は自分の父やカミさんの父を見てきて、男は心の伝え方が下手なのかも知れないなと思う。
カミさんのお父さんは自分の息子にはなかなか話せないのか、あるいはもう話してきたからか、私に子どもの頃からの「お父ちゃんの物語」を聞かせてくれた。あくまでも自分の半生を語るのであって、私にああせよこうせよということはなかった。けれども聞いていると、何を大事に思っているか、価値観や人生観は何となく分かる。私の思想や心情とは相容れなくても、お父さんの気持ちは理解できた。
母と娘は、女という同種の何かが作用するのだろうか。近頃のカミさんは、長女や次女とはたまた高3の孫娘ともよく電話で話している。男の私としては、仲間はずれという気持ちよりも、逆に、女たちが仲良いことが気持ちよい。男は、男だからという共通性はないし、阿吽の呼吸もない気がする。女同士は助け合って暮らすように出来ているのに、男同士は戦い合うように出来ているのだろうか。そういえば、私の目標は父を乗り越えることだった。出来たのかなあー?