市の税務課から送られてきている減免申請書を毎年書いているのに、どう書くのか思い出せない。昨年のコピーが、どこかにあるはずと探してみても見当たらない。完全にボケた。税務課へ出かけて行って、「どう書くのか忘れてしまいました」と、恥を忍んで伝える。
担当者は気さくな人で、「おたすけさんですね。いつもお世話になっています」と言い、昨年のものを持って来てくれた。書きながらまた、ヘンなことを思ってしまった。私たちは収益事業を行っていないので減免申請をしているが、令和3年度の収入は3千円しかない。
事業としても成り立っていない。全く恥ずかしいNPOである。昨年度はコロナ禍で井戸掘りの問い合わせはあったが、依頼はゼロだった。3千円は手押しポンプのピストンの修理代で、修理を請け負ってくれた仲間にそのまま支払ったから、NPOとしては収支ゼロである。
NPO代表を務めている先輩は、「依頼がある限りは続ける」と言うが、80歳前後のジイジばかりでは本当に心許ない。若い人に技術を引き継ぎ、引退した方が良いのだろうが、井戸掘りで生活できる収入は難しいから、どうしても退職した人に頼むより他ない。
井戸掘りのどこが楽しいのかと言えば、「ヨシ、ここで水を汲み上げてみよう」と、吸い管を入れてエンジンを回した時、ザアーと勢いよく水が出てくる瞬間である。ひとりでは出来なくても、仲間と作業した末に辿り着く達成感である。
年老いても少しばかり残っている体力で、成し遂げたことへの喜びは大きい。けれど、誰も怪我をしないうちに、幕を閉じることも大切だ。おそらく今年が最後になるだろう。