私の部屋は北側にあり、西側のルーフバルコニーに向かって、およそ150×150センチの窓がある。昨日の夕方、その窓枠の下のところから蟻が部屋の中へ行列を作っていた。部屋にエサを探しに来たのだろうか、私は急いでテッシュを濡らして一掃した。
けれども蟻は、先遣隊の犠牲に構わず隙間から入り込んでくる。蟻の行列は一方通行のようだが、必ず何匹かは逆戻りして頭を突き合わせている。昆虫記にあったように、情報を伝達し合っているのだ。だったらここが危険なところだと知らせてやれば、蟻は侵入を止めるだろう。
入ってくる蟻を半殺しにして、隙間の前に並べておいた。思ったとおり、隙間から出てくる蟻は仲間の死骸を確かめたり、半殺しでも生きている仲間を咥え込んだりしている。今朝見ると、窓枠の下の犠牲になった蟻は1匹もいなかった。
私は平和主義者だが、自分の部屋を蟻に侵入されて傍観できるほど寛容ではない。自分の部屋はキレイにしておきたいのだ。ウクライナへのロシア軍の侵攻は人間同士の戦争だから、侵攻を阻止するには戦うしかないという主張も分かるが、それでは犠牲者が増すばかりだ。
先遣隊の蟻を殺して死骸を並べて警告し、蟻の侵攻は収まった。蟻はこれ以上の犠牲を出さない選択が出来たのに、人間の方がそれが出来ないのは蟻よりも劣るのだろうか。ルーフバルコニーにたくさんの鉢を置き、草花を育てているのだから、蟻がどこかに巣を設けているのは仕方ない。カマキリやヤモリもいる。それぞれがそこそこに生きていけるならそれでいい。カミさんが「今晩は名古屋で食事よ」と言う。