私の住む北名古屋市に、二科会の作家がいる。その彼に招待状をいただき今日、県美で行われている「二科展」を観て来た。作家の鳥居規之さんとの付き合いは古く、亡くなられったお父さんとの親交から始まり、それが縁で市民グループの活動に彼にも参加してもらった。
デザインの部の彼の作品は、これまでの立体から屏風絵に変わっていた。いつもながら手を抜かない、凝った作品であることには変わりないが、一目見ただけでかなり神経を使っている作品だと分かる。題は屏風絵らしく『山水花鳥及鯉之圖』と遊び、洒落に満ちている。
A4の紙を屏風の形にまで貼り、鉛筆で描いたと言うから実に根気のいる仕事だ。彼のデッサン力が活き、これまでにない出来栄えになっている。これなら買い上げたいという人が出て来るかも知れない。「そうなるといいですが‥」と微笑む。
中部二科の重鎮となった堀尾一郎さんも受付にいたが、十分に話す機会が無かった。堀尾さんとは教員採用の同期で、赴任校は彼が起工業高校で私が愛知工業高校であった。私が江南団地に住んだことから、一宮の彼の家に招待されて行ったこともある。既に展覧会で入賞していた人だったのに、偉ぶることは全くなかった。
何時から今の「ガラス絵」を描くようになったのか、昨年の展覧会で聞いた時、二科の先人である北川民次さんに手ほどきを受けたと言っていた。漫画家の鳥山明さんは起工業高校の教え子のようだ。人の縁は、本当にどこにあるか分からない。縁があっても見いだせない場合もあるから、人柄によるのかも知れない。
努力を続けた人に、神は微笑んでくれるのだろう。「いつの間にかボスになちゃったよ」と笑う堀尾さんは、しっかり作風も確立し、誰から見ても二科の重鎮である。同期があんなに頑張っているんだ、おまえも頑張れよと自分を振り返るが、なかなかそうはいかない人生もあるよなと自覚する。
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