どこで、いつ、買ったのか覚えが無いが、本棚の端に林真理子さんの『本朝 金瓶梅』があったことを思い出して読んでみた。林真理子さんが日大の理事長になったことで、どんな人なのかと思ったからだ。
読み始めて、とんでもない本だと分かった。林真理子さんが時々、週刊誌などにエッセイを寄せているのをチラッと見たことはあるが、文章を読むまでには至らなかった。日大の再建は難しいのに、この人はそういうことの出来る人なのかと思っていた。
林真理子さんが、どういう小説でデビューしたのかも知らないし、その後の作品についても全く知識が無い。いくつかの文学賞の選考委員を務めている、日大卒の有名人ということで、理事長に担ぎ出されたということくらいしか知らない。
『本朝 金瓶梅』は、男性好みの週刊誌に掲載されているエロ小説と変わらない気がした。登場人物の人間性とか苦悩とか、文学に共通する「人とは何か」を掘り下げるようなものでは全く無かった。
男はひたすら女の身体を求め、女も男との交わりを求め、「あれが出来ないくらいなら、いっそ死んだ方がまし」と言うほど、あれが好きなのだ。「あなただってそうでしょう」と指摘されれば、「はい」と答えるしかないが。
テレビで音楽番組を観ていても、登場する女性の脚や、ピアノを弾く二の腕に目が行ってしまう。そのキレイな素肌を見て、頬ずりしたくなる。これは異常な欲望だと思うのは、自分でまだ制御出来ているからだろう。
林真理子さんは、この本に登場して来る女性たちをどう見ているのだろう。女たちは女遊びばかりする主人公を、恨むことも嫌気することも無く、むしろ女同士でけん制し合う。こんな男社会を憎んでいる様子もない。
この本からは、林真理子さんの思想や信条は分からない。他人事ながら、日大改革は進むのだろうかと思えてならない。
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