父が逝去したのは、私が高校3年の時で、寒い1月の初めだった。父の隣りで妹が寝ていたのに、どうして異変に気が付かなかったのかと妹を責めてしまった。急いで医者に来てもらったが、「手遅れです」とのことだった。母が亡くなったのと同じ54歳だった。
その1ケ月ほど前、父が女の人を家に連れて来た。妹と私に、「おまえたちのお母さんになってくれる人だ」と言う。東浦の人で、名古屋の南山大学に通う息子さんがいると説明する。その女性は母に似て、ちょっと小太りで品のいい人だった。私と妹の為か、その女性の為か、分からない。
「今度、息子さんに会わせる」ことになっていた。けれど実現しない間に、父は旅立ってしまった。父はいつも本を読んでいるか、小さなスケッチブックに挿絵を描いたりしていた。どこでいつ、あの女性と知り合ったのだろう。東浦には父が勤めていた学校がある。そんな関係で知り合ったのだろう。
その女性は50代前半だろうから、女性としての魅力があったのかも知れない。母が亡くなる前、母が風呂から上がり床に入るとすぐ、父は母の布団に潜り込み、母の喘ぎ声が聞こえてきた。母が妊娠することの無い年齢になっていたので、父はその行為に溺れていたのだろう。
先輩は、「真似事でもいいから、最後の恋がしたい」と言う。「もう一度、女性の身体を抱きたいという煩悩に駆られている」とも吐露する。さもありなん。男はいつまで経っても男のようで、修行などで消し去ることが出来ないのだ。権力欲はさらに強く、韓国でもアメリカでも危機的な事態にある。
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