【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長代行 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

〜季語で一句 17〜

2021年04月14日 21時50分00秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」

俳句大学投句欄よりお知らせ!

 

〜季語で一句 17〜

 

◆『くまがわ春秋』4月号が発行されました。

◆Facebook「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。

◆お求めは下記までご連絡下さい。

 (info@hitoyoshi.co.jp ☎0966-23-3759)

 

「くまがわ春秋」

【季語で一句】(R3・4月号)

永田満徳:選評・野島正則:季語説明

 

 

鷹化して鳩と為る(たかくわしてはととなる)       「春-時候」

                  

西村揚子

  •  

一病を得てよりの夫鷹鳩に

【永田満徳評】

「鷹化して鳩となる」は春の気分とともに、ユーモアを感じる季語。掲句は気難しかった「夫」が「一病を得てより」気安くなったということ。おかしくもある「夫」の変容は、「鷹鳩に」という季語にふさわしい。

【季語の説明】

「鷹化して鳩と為る」は七十二候のひとつ。陽暦では、おおよそ3月16日~20日頃。『呂氏春秋』に「鷹化為鳩」という言葉があり、獰猛な鷹が春のうららかな陽気によって鳩と化すことをいう。実際には起こり得ない幻想的な言葉だが、幻想的な春の気分を表す言葉で、春の陽がもたらす変化を言い表している。

                                   

 

雪代(ゆきしろ)     「春-地理」

 

桑本栄太郎

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雪しろや一週間後上京す

【永田満徳評】

「雪代」は春の到来を感じさせる季語。掲句は、雪国から「上京」し、人生を歩み始めるということ。大地の出発である「雪代」とうまく取合わせられていて、春の四季のスタートを祝う句となっている。

【季語の説明】

春は山間部ではまだ多くの雪が残っている。「雪代」とは雪どけの水のことで、仲春になると、寒気がゆるみ、急に雪が溶けて川や海や野原に流れ出てくることをいう。春ならではの雪の様子を表す季語として、古くから俳句に詠まれている。「雪濁り」は雪代で川や海などが濁ること。ときとして大きな災害をもたらす。

 

 

蒲公英(たんぽぽ)     「春-植物」

 

河辺伸一

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タンポポやふーっと吹いて子離れす 

【永田満徳評】

「蒲公英の絮」は触れたり、吹いたりしたくなるほど、可憐である。掲句は、「子離れ」の決断が蒲公英の絮を「吹いて」行われたという。その行為に意外性があり、それほど深刻ではないところがよい。

【【季語の説明】

「蒲公英」は野原や道端に生え、根際から羽状に深く裂けた葉を放射状に出す。花茎を伸ばし、頂に黄色または白色の舌状花からなる頭状花を開く。花のあと形成される種子は「絮」と呼ばれ、上部に白い毛をつけて風に乗って飛んでいく光景はよく見られる。息を吹きかけて飛ばしたことのある方も多いだろう。

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