月刊『くまがわ春秋』7月号!
〜特集「あれから一年」に寄稿す〜
◆2021年7月4日発行の『くまがわ春秋』7月号が発行されました。
◆その特集「あれから一年」に「出水の故郷から-俳句」と題する俳句並びに自注自解を寄稿しました。
◆ 編集子より「被災者だけの声・感覚だけでは不十分だ」ということでしたので、直接に被災した訳ではないのですが、お引き受けしました。
◆実は、熊本地震の折にも、いち早く、熊本地震に関する特集「クローズアップ 熊本大震災」を組んだ月刊「俳句界」(2016) 7月号に寄稿し、「震災の記録」として残しています。
【俳句と自注自解8句】
出水の故郷よりー俳句
永田満徳
二〇二〇年(令和二年)七月四日、未明から朝にかけて、熊本県南部で集中豪雨が襲い、球磨川が氾濫し、土砂崩れや浸水被害が多数発生した。人吉市街地の浸水高は昭和四十年代にあった二つの水害よりもはるかに高かった。
一夜にて全市水没梅雨激し
人吉市は、市街地を中心に広範囲にわたって浸水や冠水が発生した。一夜明けた五日、高校まで過ごし、見聞きしていた市内の景観は一変していた。
梅雨出水高さ誇りし橋流る
私の実家のある永野町と人吉市内を結ぶ橋が西瀬橋。市内に出るには必ずこの橋を渡らなければならなかった。西瀬橋の高さは幼少時の記憶によると、途方もなく高く感じられた。今でも夢に見るが、その夢で決まって出てくるのは橋の欄干から覗き込んだ、息を飲むほどの高さである。
身一つもて元気と出水の故郷より
洪水で自宅と納屋が全壊した上村雄一氏のことが気掛かりでいると、Facebook「月刊『くまがわ春秋』ファンクラブ」に、その第一報「元気です」がもたらされた。のちに、上村雄一氏はその投稿は七月七日のことであり、「避難所生活3日目で友人のタブレットを利用して投稿したものです。避難所はまだ混乱の最中で、避難者が増えている時点です。」と語っている。
携帯の出水警報つぎつぎに
近年では携帯やテレビに大雨洪水警報が出るようになった。これはこれで、大変有益な情報であるが、大雨に対する注意が身近になって、けたたましく警報が鳴ると不安になる。
雨音にけふも出水の悪夢かな
水害後、梅雨の時期でもないのに、少しでも長雨になると、水害が起こるのではないかと心配するようになった。
球磨川の水位情報梅雨激し
熊本市内の私の家は高台にあって、崖崩れの心配はあっても水害の恐れはない。しかし、故郷を離れて、四十数年になっても、故郷・人吉の情報はわが身のことのように感じられる。
むごかぞと兄の一言梅雨出水
人吉在住の兄は水害被害にあった家屋の復旧を手伝った。被害状況や被災復旧を含めて、水害は言葉に言い尽くせないほど悲惨で過酷であったようで、「むごか」という一言以外にその多くを語らない。
前触れはいつも雨音夏出水
五年前の熊本地震と同じように、一度、大水害が起こると、また起こるのではないかと思うこの頃である。
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