俳句大学投句欄よりお知らせ!
〜 季語で一句 (58) 〜
◆『くまがわ春秋』2024年9月号(第102号)が発行されました。
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永田満徳:選評・野島正則:季語説明
季語で一句(R6.9月号)
登山(とざん) 「夏-生活」
桧鼻幹雄
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父と子と登山靴置く枕元
【永田満徳評】
登山用具には登山着・登山帽・登山靴が必要。親子登山を試みる山小屋での様子。登頂の期待を胸に「登山靴」を「枕元」に揃えているのである。同じ趣味を持つ親子の微笑ましさが表現されている。
【季語の説明】
山は崇拝や信仰の対象であったため、昔の「登山」は信仰や修行のために行われた。富士山・御嶽山・立山・白山・石鎚山など霊峰に登った。信仰登山は明治政府の宗教政策により衰退した。現在はスポーツや趣味としての登山が主流で、四季を通じて行なわれる。山開きが行なわれる夏が本格的な登山シーズンである。
向日葵(ひまわり) 「夏―植物」
牧内登志雄
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向日葵の迷路で泣く子ママ呼ぶ子
【永田満徳評】
向日葵畑の迷路を楽しんでいる情景。幼子にとって、向日葵は自分の背丈より高く、どこにいるのか分からなくなる。「ママ呼ぶ子」と表現したところに、母を頼りにする子の様子がうまく捉えられている。
【季語の説明】
「向日葵」は夏を象徴する太陽の花。その名前は花が太陽に向かって向きを変えることから付けられた。しかし、太陽を追って動くのは蕾が花開く時だけである。観賞用として日本へ伝わり、明治に入ると油の原料や飼料として普及した。現在は向日葵の種に含まれる豊富な栄養価は高く、食用として長く重宝されている。
盆波(ぼんなみ) 「秋-地理」
桧鼻幹雄
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盆波や固き漁師の力瘤
【永田満徳評】
筋肉隆々たる海の男のたくましさを詠んだものである。「盆波」という季語がポイント。単なる荒波ではなく、盆波に鍛えられたものであればこそ、「漁師」の「力瘤」の固さは自然そのものの造形美といっていい。
【季語の説明】
土用波のうち、旧暦の盂蘭盆の頃に押し寄せる、風なくして立つ高波を特に盆波という。盂蘭盆は仏教行事で、単に盆ともいい、現代の暦では8月13日から8月16日に行われている。お盆の時期はクラゲの発生などの理由から海に入ってはいけないとされている。盆荒は盆波が押し寄せる海の荒れのことである。
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