俳句大学投句欄よりお知らせ!
〜 季語で一句 37 〜
◆2023年『くまがわ春秋』1月号が発行されました。
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永田満徳:選評・野島正則:季語説明
季語で一句(R5.1月号)
炭(すみ) 「冬-生活」
岩永静代
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語部の不意の沈黙炭火爆づ
【永田満徳評】
最近では炭火焼きする専門店なども増えている。「語部」が囲炉裏端で戦時の話をしているのか。過酷な経験を語り始めた途端に言葉に詰まり、「沈黙」した瞬間の間合いが「炭火爆づ」で切り取られている。
【季語の説明】
「炭」は木材から水蒸気やガスが抜けて炭素のみが残ったもの。加熱した時に発生するガスに火がついて、灰になることなく炭ができる。日本では約30万年前の遺跡からも炭が発見されている。茶道や日本刀の製造や鍛冶場などでも使われ、近年は脱臭効果、水を綺麗にする、土に混ぜて畑に撒くなどの使い方もある。
年の市(としのいち) 「冬-行事」
西村楊子
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「まけまっせ」「もう一声や」歳の市
【永田満徳評】
「歳の市」は現在、商店街の歳末大売り出しのこと。売り手と買い手の声が飛び交う様子を「まけまっせ」「もう一声や」という、ただ声の内容だけで表して、景気のいい「歳の市」を活写しているところがいい。
【季語の説明】
「年の市(歳の市)」は江戸時代初期から始まった歳末行事で、昔は社寺の境内やその脇道などで開催される大市のこと。しめ飾りを始めとする正月飾りや、年始祭に必要な品、お餅、海産物、乾物、衣類、雑貨などの、お正月用品を販売する歳末の行事で、「晦日市」「暮市」「節季市」「詰め市」などとも呼ばれている。
枯木(かれき) 「冬-植物」
杉山 満
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名湯へ残り五キロよ枯木星
【永田満徳評】
枯れ木の間に見える「枯木星」は美しい。「名湯」は山深いところにあるが、「五キロ」が微妙で、遠すぎず近すぎず訪ねるには程よい距離である。「枯木星」を眺めながら、秘湯の道を巡る旅には心惹かれる。
【季語の説明】
「枯木」は立ち枯れの木のことではない。春から夏にかけて緑の葉っぱが茂り、秋に紅葉する落葉樹は気温が下がると、葉が枯れ落ちる。枯れてしまったように見える落葉樹を枯木立という。幹と枝になった枯木は見通しが良くなり、日差しを遮るものがなくなり、周辺が明るくなる。樹木は一定の休眠期間後に新葉をだす。
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