昨年12月県議会での佐藤正雄議員の予算特別委員会での質疑を紹介します。
「秘密保護法について」 佐藤 正雄 委員
◯佐藤委員 日本共産党の佐藤正雄である。最初に、特定秘密保護法の問題について質問する。
ことしの7月には、憲法9条の解釈変更で集団的自衛権の行使が容認されたが、それに先立って、昨年12月──ちょうど1年くらいたつが、特定秘密保護法が強行採決された。今月10日に施行されることになっているので、この問題について質問したいと思う。
まず、対象は、福井県の行政機関でいうと警察本部が対象になると思うが、警察本部で適性認定者名簿に登録された職員の方は何名いらっしゃるのか。また、そもそも警察本部が扱う特定秘密があるのかどうか。あるとすれば、その種類と件数をまず尋ねる。
◯警察本部長 特定秘密保護法について、まず、適性認定者名簿に登録された職員数について答えるが、県警察では、現時点において適性評価を実施していないので、適性認定者名簿に登録された職員はいない。
次に、県警察が扱う特定秘密の有無、ある場合、その種類と件数についてである。
特定秘密の指定については、この特定秘密保護法に基づいて警察庁長官が行うこととされている。本県警察に関連する情報が指定された場合には、警察庁から通知、または提供がなされるものと承知しているが、現時点において、警察庁から通知等は受けていない。
◯佐藤委員 それでは尋ねる。警察庁長官が指定を行う、まだ指定されていないので該当は、今のところないということである。あわせて、まだ適性認定者名簿に登録された県警察本部の職員はいないということであるが、登録された職員がいない以上、特定秘密が指定されることはないわけだろうか。
◯警察本部長 この法律では、国の行政機関において適性評価が完了するまでには、法の施行から相当の期間が必要となることを踏まえて、特定秘密の取扱業務を、適性評価を受けて漏えいするおそれがないと認められた者に限るとする法第11条の規定がある。この規定の適用については、法の公布の日から2年を超えない範囲内において政令で定める日までおくらせているところであり、現時点では、適性評価を受けていなくても取り扱うことができるということになる。
◯佐藤委員 ほかの省庁では、実際にそういう登録が始まっている。報道によると、携帯電話の通話記録なども提出を求められたら提出するという誓約書を職員に求めているということであるが、警察としても同様であるか。
◯警察本部長 県警察において、携帯電話の通話記録等の提出があるのかという質問である。
県警察では、政府が定めた特定秘密の指定及びその解釈並びに適性評価の実施に関し、統一的な運用を図るための基準、いわゆる運用基準と申しているが、この運用基準に基づいて適性評価を行うこととしている。
しかし、この運用基準においては、具体的に携帯電話の通話記録の提出を求める誓約書を徴するということは定められていないので、県警察においてこれを徴することは考えていない。
◯佐藤委員 そうすると、日本にはいろいろな公務員の組織があるが、それぞれの組織によって運用が異なるという理解でよろしいか。
◯警察本部長 国のほかの行政機関がどうされているか承知していないが、県警察は、この基準に基づいてやっていくということである。
◯佐藤委員 それでは、これは将来の話になるが、警察本部が得た特定秘密が、仮に福井の県土と県民の安全にとって重大な問題を引き起こしかねないと、そういうときはどうされるのかということである。
福井県知事を初め、県の部長、いわゆる県庁職員は、特定秘密を扱う職員になっていない。そういうことになると、情報はどのように伝達されることになるのか。
◯警察本部長 県等にどのように情報が伝達されるかという話である。
佐藤委員が指摘の情報がいかなるものかは定かではないが、例えば、県内においてテロが発生したときに、知事が行う避難措置のため必要があるといった場合には、県警察から警察庁に対して、その旨を報告して、当該特定秘密の指定を解除していただいた上で、知事や当該情報に基づき必要となる措置に応じた関係部局との情報の共有を図ることが考えられると承知している。
◯佐藤委員 知事に尋ねる。いずれも本会議の質問で尋ねたことであるが、今、県警察本部長の答弁にあったように、指定解除した上で、知事というか、知事部局、県庁に情報がもたらされると、こういう仕組みになっているわけである。だから、一定のタイムラグが生じるということであるが、これは知事が日ごろから言っている危機管理の原則に照らすと、ちょっとおかしいと思わないか。
◯知 事 情報がそういう性質のものであれば、そういう扱いで危機管理は行いたいと思う。
◯佐藤委員 特定秘密保護法が成立したときには、そもそも何が秘密か、それが国民とかマスコミには知らされない。それが今後不用意に漏らした公務員は懲役刑、それを不用意に漏らそうと働きかけたマスコミなり、政治家なりはまた懲役刑ということで、重罰が科されている法律である。
非常に問題があると思っている。今月10日から施行されてまだ日が浅いということで、福井県警察本部では十分体制が整っていないということであるが、こういう法律の廃止を求めて、日本共産党はこれからも頑張っていきたいと思っている。
「福祉行政について」
◯佐藤委員 次の質問に入る。次に、福祉行政について尋ねる。
日本共産党の小池晃参議院議員が、先月18日の参議院の厚生労働委員会で質問に立った。そのときに、安倍政権が公表を見送った医療保険制度の見直し案に数々の国民負担増の計画が盛り込まれている問題で、「老いも若きも負担増の計画だ。国民に隠したまま選挙をするつもりなのか」ということを追求したのである。それに対して、厚生労働大臣は、「閣議決定でも道筋がついている。粛々とやっていく」と述べて、負担増を強行する考えだということを認めた。
見直し案に盛り込まれている内容は、後期高齢者医療の保険料、この特例軽減を中止する。8.5割減額の人の保険料が2倍になる。9割減額の人が3倍になる。健康保険の被扶養者から後期高齢者医療に移された人は5倍から10倍以上にもなると報道されている。
そこで尋ねるが、福井県の後期高齢者医療制度の中で、特例軽減中止により保険料増額となる対象人数は、8.5割減額、9割減額、健康保険の被扶養者から後期高齢者医療に移された人、それぞれ何人になるのか。
また、それぞれの平均の保険料額と、増額となった場合、どの程度保険料が値上げになるのかということをまず尋ねる。
◯健康福祉部長 平成26年10月現在であるが、特例軽減の対象者のうち、まず8.5割軽減の人が2万112名、それから9割軽減の人が1万4,481名、健康保険の被扶養者から後期高齢者医療に移った方が1万8,601名となっている。
また、現在の平均保険料であるが、9割軽減の人と健康保険の被扶養者から後期高齢者医療に移った人は今、月額360円。それから、8.5割軽減の人については月額540円となっている。
福井県後期高齢者医療広域連合の試算では、もし特例軽減が廃止された場合の平均保険料であるが、9割軽減、8.5割軽減が7割軽減となって、月額1,090円になる。健康保険の被扶養者から後期高齢者医療に移った人については、平均で月額2,400円になるという試算をしている。
◯佐藤委員 このように大幅に保険料がアップするのである。これは年金から天引きされていくわけである。だから今、年金が知ってのとおり、昨年、ことし、来年と下がり続けて、さらに、それ以降もマクロ経済スライドが導入されるということであるから、ずっと物価上昇に年金支給額が追いつかず、実質的に下がり続けることになっていくわけである。そういう中で、このような負担増が行われていくのは非常に問題だと思う。
知事に尋ねるが、今申し上げたように、年金は下がっていく。消費税は上がっていく。「消費税増税は社会保障のためである」と言ってはいるが、実態としては、社会保障制度そのものの負担も重くなっているという状況があるわけである。このような高齢者いじめの政策中止を求めるべきではないか。
◯健康福祉部長 後期高齢者医療の保険料であるが、低所得者に対して、収入に応じて7割、5割、2割という軽減、健康保険の被扶養者から移った方については、激変緩和ということで、当分の間5割を軽減するということも、既に法律で定められているわけである。
制度導入当時、これまで負担のなかった健康保険の被扶養者の方に新たに負担が生じるといったことや、75歳以上を他の保険制度から切り離し、制度の導入を円滑に進めるということから、その特例として軽減措置が拡大されているということである。
特例については、国民健康保険の保険料負担との不均衡──年金収入80万円以下の方が国民健康保険であると2,650円であるが、後期高齢者医療になると360円といったようなこと、また、健康保険の被扶養者から移った人とそうでない人との保険料負担の不均衡といった問題もあって、本来の法律上の制度に段階的に戻すことについて、国のほうで検討しているということである。
この制度の見直しについては、現在、社会保障審議会の医療保険部会で議論されているということであって、県としては、この議論の推移を見守っていきたいと考えている。
◯佐藤委員 部長に実務的な話を聞いているのではない。知事に尋ねているのである。年金は毎年下がっていく。後期高齢者医療の保険料は年金から天引きされるのである。だから、年金は下がっていく。その中から額がふえて、さらに天引きされているわけであるから、実質使える可処分所得がぐんぐん減っていくわけである。こういうことでいいのか、知事としてどう思うのかということを尋ねている。
◯知 事 この制度の見直しについては、もちろん高齢者の負担の問題もあるし、国民全体としてこれを若い方、いろんな方が支えている問題があるので、現在、社会保障審議会の医療保険部会において議論されているところである。
県としては、全国知事会としてもそうであるが、この議論の推移を見守りたいという状況である。
◯佐藤委員 どんどん急激に、何もかも負担がふえてくる。収入は減っているわけである。やはり、政府に対し、こういうやり方は見直すべきだということを、福井県知事として知事会の場で要望される考えはあるか。
◯知 事 これは、それぞれ知事会としての委員会があって、そうしたところで実務的な議論をし、全体に知事会としての議論をするわけである。
今申し上げたように、国民全体としての負担の議論があり、そのサービス水準をそれぞれ若い方、あるいは年配の方はどうするかというのがあるので、この問題については、そういう状況で今対応しているということである。
◯佐藤委員 これだけではないのである。次に、医療の問題で尋ねる。
厚生労働省の調査では、2004年度と2012年度との比較で、入院期間が15.01日から13.43日へ短縮されている、治癒率は8.72%から4.3%と半分になっているという調査結果が出されている。
そこで、福井県のデータを尋ねるが、同じ期間の入院期間及び治癒率の福井県内のデータ並びに県立病院のデータを尋ねる。
◯健康福祉部長 今の佐藤委員が示されたデータについては、平成15年に大学病院等から順次、急性期の病院に導入されている包括医療費の支払い制度、いわゆるDPCを評価するために国が行っている調査のデータである。
平成16年度、県内の導入病院が福井大学病院だけだったという状況で、そのときは在院日数として20.82日、治癒率は公表されていない。平成24年度は、県内の対象病院は11病院あるが、在院日数では14.5日、退院時の治癒率は単純平均で2.5%という状況になっている。
それから、県立病院であるが、県立病院がDPCを本格的に導入した平成22年度の在院日数が15.17日、治癒率が0.3%であった。平成24年度では、在院日数が13.82日、治癒率が0.1%ということになっている。
ただ、通常、入院の必要がなくなっても、通院とか服薬を続ける方がたくさんいらっしゃるので、こういった方は「治癒」という項目じゃなくて「軽快」に区分されるということで、両方足すと、平成22年度では84.8%、平成24年度では90.6%と増加している状況である。
◯佐藤委員 データの取り方がいろいろあるが、少なくとも今の部長の答弁でも明らかになっているのは、全国的なデータで入院期間が13.43日に短縮されているということで、福井県内の病院では14.5日、県立病院では13.82日だということである。全国的なデータでは、治癒率は4.3%へと大きく減っているけれども、福井県内の全病院では2.5%、県立病院では0.1%の治癒率だということで、福井県のほうがある意味では悪いわけである。
だから、治っていないのに退院させられてしまうという問題があるわけである。私どもがいろいろ回っていても、「とにかくお年寄りは早く出ていってください」と、平たく言えば、病院の診療点数が減っていくので、だから、もう病院にとっては「お金にならないから、お年寄りは早く退院していただきたい」ということで追い出されるという話を幾つも聞いているわけである。
福井県内の病院、県立病院がこんなに冷たいようではだめじゃないか。これはどうなっているのか。
◯健康福祉部長 この調査のいろいろなデータについては、国の中央社会保険医療協議会のほうでも評価を行っている。
それでは、入院期間の短縮の問題であるが、これは各病院の努力もあるし、医療技術の進歩で体に負担の少ない内視鏡、あるいは血管治療手術の増加もある。また、早期のリハビリによる機能回復、あるいはがんの化学療法なんかも、入院から通院でもできるようになっているといった原因もあるということで、これは県内でも同じような状況があろうかと思う。
また、治癒率の低下については、高齢者の患者の方が多くなってくると、入院目的は入院の疾患について治療するのであるが、既往症である糖尿病等、そういった基礎疾患は退院後も引き続き通院で診てもらうといったような状況もある。それは先ほども申したが、「軽快」という区分──治さないでほったらかして出したということではなくて、一応、入院するような治療は終えて、通院につなげているといったようなことも、両方をまとめて評価すべきであろうということが国のほうの分析に出ている。これは、県としてもそのように考えているところである。
◯佐藤委員 患者と家族の気持ちは全くそんなことではない。ちなみに、国はどういっているかというと、「医療・介護に係る長期推計」というのを政府が出している。ここでは、さらに入院期間──1ベッド当たりの平均在院日数を2割から3割短縮しようと、こういう推計を出しているわけである。
こういうのはさらに悪くする。悪くするというのは、高齢者患者、高齢者じゃなくても患者に対して、「もう手術が終わったらすぐ退院してください」、「治っていなくても、もう退院してください」ということで、どんどん退院させていく。ベッド数を根本的には削減して医療費を抑制しようということにつながっていくから、これは大問題だと思っているが、今の健康福祉部長の答弁だと、これは問題だと思っていないわけである。
問題だと思っていないとすると、今、国が長期推計で出しているあと二、三割平均在院日数を短縮しようじゃないかという方針も、福井県内の医療機関、県立病院を含めてやられるつもりか。
◯健康福祉部長 入院期間の短縮は、治さないうちに出すというのは本末転倒であるから、問題であるのは当然のことである。それは、入院日数を減らしてでもちゃんと治せるということが一つある。
もう一つ、2025年、団塊の世代が75歳以上になるということから増加しているわけであるけれども、高血圧、糖尿病といった基礎疾患を持つ患者、回復までには時間のかかる患者が多くなってくる。そういった面で現在、急性期を担う病床が現状は多いのであるが、今後は、そういった急性期を脱して、患者を受け入れる回復期の病床、あるいは、在宅のままで身近な地域でリハビリを受けられるといった体制、こういった確保も重要である。医療と介護の連携による地域包括ケア体制を整備するといったようなことで県としては進めているところである。
◯佐藤委員 これ以上、そういう在院日数の短縮に粛々と乗っていくことは、大きな矛盾を来すと思う。現場は何と言っているかというと、医療現場は、「医療度の高い方を在宅へ追い出すということになるとどうなるか」と言うと、「例えば、点滴とか、吸たんなどが必要な患者がいる」と言う。では、「在宅患者をフォローできるか」と言うと、「患者がどんどん在宅に行って、そこをフォローできる看護師さんがそんなにいるわけではない」と言っている。
急増しているサービスつきの高齢者住宅といっても、月12万円から13万円かかる。国民年金とか、収入の低いお年寄りは、そういう施設にとても入れない。在宅に行っても、若い人が仕事をやめて面倒を見るか。そういうような介護離職とかにもつながっていくわけである。こういうことをどんどん強行していけば。
だから、実際に医療度の高い患者さんを在宅へどんどん追い出していくというのは、今、医療現場の声でも紹介したように、地域の実際のそういう体制が整ってないわけであるから、そういう中でどんどん進めるというのは、やはり問題ではないか。
◯健康福祉部長 DPC病院、高度な急性期を担う病院ということで、それ以外に回復病棟を持つ地域の病院がある。そういった面では役割分担というか、まず、急性期でどうしても早く治さないといけない部分は治して、その後、回復については地域の近くの病院の回復病棟で治癒していただく、または、外来でやっていただくという形の連携が重要だと考えている。
例えば、在宅で医療度の高い方を追いやるというような発想にならないように、我々としては、在宅でのそういった医療を受ける方についても、訪問看護、介護といった在宅ケアのサービスを充実した上で、そういったふうに持っていく必要があるだろうと考えている。
◯佐藤委員 充実しないうちには、そういうことはしないでいただきたいと思う。
介護保険も重大な問題である。要介護認定者数3万9,200人のうち、要支援者が8,700人である。数字があれであるが、ざっと22%。こういう方々が今、介護予防支援、居宅介護支援、通所サービス、訪問サービス等々を利用されているわけである。これらの方々が介護保険から外されていくということは大問題だと思う。介護保険料は、年金から天引きされるわけである。さっきは、後期高齢者医療の保険料が年金から天引きされるという話をしたが、介護保険料も年金から天引きなのである。だけど、サービスは受けることができなくなるというのでは大問題だと思う。
そもそも利用状況を見ても明らかなように、要支援者の多くが、関節の機能障害と痛み、心臓疾患などの疾病を抱えて、すれすれの生活を送っているわけである。ホームヘルパーさんの支えで生活の維持、改善がなされているわけである。これらの専門的なサービスを断ち切ることは本当に許されないと思うが、見解を尋ねる。
◯健康福祉部長 先ほどから、今回の見直しも含めて、いろいろな面で見直しの問題を質問していただいているが、基本的に世代間の負担の公平と制度の持続可能性といったことを高めるための社会保障制度改革の一環という側面もあろうかと思う。今回の要支援の問題については、地域の実情に応じて多様な主体の参加をいただいて、効果的かつ効率的な支援を可能にしようといったような側面で実施しようとしているところである。
現在、要支援の方が8,700人ということで先ほど紹介いただいたが、そのうち、今回、市町の一般事業に移行するものは訪問・通所介護というサービスであって、この利用者については4,800人ということになっている。市町の一般事業に移行しても、例えば、認知症の方、あるいは退院直後の、先ほど紹介のあった医療ニーズの高い方などが利用する身体の介護、そういったものは専門的なサービスが必要であるから、引き続き専門家のサービスを受けられるように、提供されることにしている。
ただ、掃除とか買い物といった専門性が必要でない、生活支援的なサービスについては、全国一律の基準での運用から地域の実情に応じて、例えば、シルバー人材センターを使うとか、JAのそういったサービス部門を使うとか、多様な主体で提供するといったことになっている。
県においては、地域でサービス水準に差が出ないように、こういったサービスの担い手の方の育成といったことで、市町を支援していくことを考えている。
◯佐藤委員 結局、専門的サービスが受けられなくなる可能性があるということである。ボランティアであるとか、いろいろ国は言っているが、ボランティアでやる内容と、やはり、そういう専門的な教育訓練を受けたヘルパーさんがサービスするのとは、全く質が違うわけである。ここは、ボランティアのサービスが続くからいいじゃないかということにならないことだけは指摘をしておきたいと思う。
「原子力行政について」
◯佐藤委員 時間がないので、最後の原子力問題で質問する。
知事は提案理由説明で、原子力技術の維持、継承が危機的状況にあることから、新たな研究炉などの整備について、国や大学、事業者等とともに検討を始めることを決定したと述べた。全国に研究炉はあるわけであるが、福井県に新たな研究炉をつくることは、事実上、未来永劫原発推進を続けるということにもつながっていく危険があるのではないかと思うが、知事の見解を尋ねる。
◯知 事 先般開かれた推進会議では、研究用原子炉の新しい規制基準対応とか老朽化により学生とか研究者の実習の場が失われていて、日本の原子力技術に関する危機感とか、安全技術に関する危機感とか、安全運転への影響が多いという意見が出され、国や大学、事業者とともに検討を始めることを推進会議で決めている。
研究用原子炉の必要性については、原子力学会や日本学術会議でも議論が行われていることから、これらの動きと連携しながら検討を進めていくこととしており、どこに何をつくるという、そういう議論までいっているわけではもちろんないわけである。その前段階というか、全体の議論を今進め、どうするかということである。
なお、研究用原子炉は、出力が小さいということ、取り扱う核燃料の量が少ないこと、運転中の水温とか圧力が低いこと、また、崩壊熱除去などに一般の商業炉に比べると余裕のある設計であると、一般に言われている説明である。
原子力が重要なベースロード電源として位置づけられている中で、人材育成のためにこうした問題をどうするかというのは、これから検討すべき課題になるということである。
◯佐藤委員 再稼働を前提、ベースロード電源として原発を推進していくという立場に立てば、そういうことになってくると思うのであるが、原発から撤退することになれば、そういう新たな研究炉の必要性もなくなるわけである。
幾ら原子炉が小さいといっても、核燃料が入ることは間違いない。実際に京都大学にあるが、あれだって使用済燃料とかは、アメリカへ返還しないといけないわけである。厳重な国際的な核管理のもとに置かれているわけであるから、それは小さい、大きいの問題ではないと思う。
それから、再稼働に当たって、一般質問でも聞いたが、住民説明の判断は市町だと知事は言っている。しかし、市町が再稼働を望んでも、知事が「ノー」と言えば再稼働は事実上できないわけである。そういう仕組みではあるわけであるから、県が責任を持って、もっと言えば、知事が責任を持って、きちんと県民、住民に対する説明会というのは主催するべきではないか。
◯知 事 この問題は、原子力発電所の安全、または県民の安全、そして、県民益にかかわることであるので、いろいろな手続とか会議とか、こういう説明等があるが、それぞれその役割に応じて、全体としては安全を確保するのが大事な事柄である。
そこで、福井県としては、住民へのいろんな説明などは市町がこれまでもふさわしく、その実績も上げておられるから、2年前の大飯3、4号機の再稼働でもそうであったが、そのような対応を行うのが一般的であろうということを申し上げたわけである。
◯佐藤委員 知事は一般的と言われたが、一般的でなくて、新規制基準のもとで福井県では初めて再稼働に臨むという局面になってくるわけであるから、県民に対して、しっかりと責任を持って知事が説明するべきではないか。
◯安全環境部長 これまでも答弁しているとおり、県の再稼働の判断であるが、専門委員会、あるいは立地市町、そして、何より県議会の意見を聞いて判断していくと考えている。
~以 上~
「秘密保護法について」 佐藤 正雄 委員
◯佐藤委員 日本共産党の佐藤正雄である。最初に、特定秘密保護法の問題について質問する。
ことしの7月には、憲法9条の解釈変更で集団的自衛権の行使が容認されたが、それに先立って、昨年12月──ちょうど1年くらいたつが、特定秘密保護法が強行採決された。今月10日に施行されることになっているので、この問題について質問したいと思う。
まず、対象は、福井県の行政機関でいうと警察本部が対象になると思うが、警察本部で適性認定者名簿に登録された職員の方は何名いらっしゃるのか。また、そもそも警察本部が扱う特定秘密があるのかどうか。あるとすれば、その種類と件数をまず尋ねる。
◯警察本部長 特定秘密保護法について、まず、適性認定者名簿に登録された職員数について答えるが、県警察では、現時点において適性評価を実施していないので、適性認定者名簿に登録された職員はいない。
次に、県警察が扱う特定秘密の有無、ある場合、その種類と件数についてである。
特定秘密の指定については、この特定秘密保護法に基づいて警察庁長官が行うこととされている。本県警察に関連する情報が指定された場合には、警察庁から通知、または提供がなされるものと承知しているが、現時点において、警察庁から通知等は受けていない。
◯佐藤委員 それでは尋ねる。警察庁長官が指定を行う、まだ指定されていないので該当は、今のところないということである。あわせて、まだ適性認定者名簿に登録された県警察本部の職員はいないということであるが、登録された職員がいない以上、特定秘密が指定されることはないわけだろうか。
◯警察本部長 この法律では、国の行政機関において適性評価が完了するまでには、法の施行から相当の期間が必要となることを踏まえて、特定秘密の取扱業務を、適性評価を受けて漏えいするおそれがないと認められた者に限るとする法第11条の規定がある。この規定の適用については、法の公布の日から2年を超えない範囲内において政令で定める日までおくらせているところであり、現時点では、適性評価を受けていなくても取り扱うことができるということになる。
◯佐藤委員 ほかの省庁では、実際にそういう登録が始まっている。報道によると、携帯電話の通話記録なども提出を求められたら提出するという誓約書を職員に求めているということであるが、警察としても同様であるか。
◯警察本部長 県警察において、携帯電話の通話記録等の提出があるのかという質問である。
県警察では、政府が定めた特定秘密の指定及びその解釈並びに適性評価の実施に関し、統一的な運用を図るための基準、いわゆる運用基準と申しているが、この運用基準に基づいて適性評価を行うこととしている。
しかし、この運用基準においては、具体的に携帯電話の通話記録の提出を求める誓約書を徴するということは定められていないので、県警察においてこれを徴することは考えていない。
◯佐藤委員 そうすると、日本にはいろいろな公務員の組織があるが、それぞれの組織によって運用が異なるという理解でよろしいか。
◯警察本部長 国のほかの行政機関がどうされているか承知していないが、県警察は、この基準に基づいてやっていくということである。
◯佐藤委員 それでは、これは将来の話になるが、警察本部が得た特定秘密が、仮に福井の県土と県民の安全にとって重大な問題を引き起こしかねないと、そういうときはどうされるのかということである。
福井県知事を初め、県の部長、いわゆる県庁職員は、特定秘密を扱う職員になっていない。そういうことになると、情報はどのように伝達されることになるのか。
◯警察本部長 県等にどのように情報が伝達されるかという話である。
佐藤委員が指摘の情報がいかなるものかは定かではないが、例えば、県内においてテロが発生したときに、知事が行う避難措置のため必要があるといった場合には、県警察から警察庁に対して、その旨を報告して、当該特定秘密の指定を解除していただいた上で、知事や当該情報に基づき必要となる措置に応じた関係部局との情報の共有を図ることが考えられると承知している。
◯佐藤委員 知事に尋ねる。いずれも本会議の質問で尋ねたことであるが、今、県警察本部長の答弁にあったように、指定解除した上で、知事というか、知事部局、県庁に情報がもたらされると、こういう仕組みになっているわけである。だから、一定のタイムラグが生じるということであるが、これは知事が日ごろから言っている危機管理の原則に照らすと、ちょっとおかしいと思わないか。
◯知 事 情報がそういう性質のものであれば、そういう扱いで危機管理は行いたいと思う。
◯佐藤委員 特定秘密保護法が成立したときには、そもそも何が秘密か、それが国民とかマスコミには知らされない。それが今後不用意に漏らした公務員は懲役刑、それを不用意に漏らそうと働きかけたマスコミなり、政治家なりはまた懲役刑ということで、重罰が科されている法律である。
非常に問題があると思っている。今月10日から施行されてまだ日が浅いということで、福井県警察本部では十分体制が整っていないということであるが、こういう法律の廃止を求めて、日本共産党はこれからも頑張っていきたいと思っている。
「福祉行政について」
◯佐藤委員 次の質問に入る。次に、福祉行政について尋ねる。
日本共産党の小池晃参議院議員が、先月18日の参議院の厚生労働委員会で質問に立った。そのときに、安倍政権が公表を見送った医療保険制度の見直し案に数々の国民負担増の計画が盛り込まれている問題で、「老いも若きも負担増の計画だ。国民に隠したまま選挙をするつもりなのか」ということを追求したのである。それに対して、厚生労働大臣は、「閣議決定でも道筋がついている。粛々とやっていく」と述べて、負担増を強行する考えだということを認めた。
見直し案に盛り込まれている内容は、後期高齢者医療の保険料、この特例軽減を中止する。8.5割減額の人の保険料が2倍になる。9割減額の人が3倍になる。健康保険の被扶養者から後期高齢者医療に移された人は5倍から10倍以上にもなると報道されている。
そこで尋ねるが、福井県の後期高齢者医療制度の中で、特例軽減中止により保険料増額となる対象人数は、8.5割減額、9割減額、健康保険の被扶養者から後期高齢者医療に移された人、それぞれ何人になるのか。
また、それぞれの平均の保険料額と、増額となった場合、どの程度保険料が値上げになるのかということをまず尋ねる。
◯健康福祉部長 平成26年10月現在であるが、特例軽減の対象者のうち、まず8.5割軽減の人が2万112名、それから9割軽減の人が1万4,481名、健康保険の被扶養者から後期高齢者医療に移った方が1万8,601名となっている。
また、現在の平均保険料であるが、9割軽減の人と健康保険の被扶養者から後期高齢者医療に移った人は今、月額360円。それから、8.5割軽減の人については月額540円となっている。
福井県後期高齢者医療広域連合の試算では、もし特例軽減が廃止された場合の平均保険料であるが、9割軽減、8.5割軽減が7割軽減となって、月額1,090円になる。健康保険の被扶養者から後期高齢者医療に移った人については、平均で月額2,400円になるという試算をしている。
◯佐藤委員 このように大幅に保険料がアップするのである。これは年金から天引きされていくわけである。だから今、年金が知ってのとおり、昨年、ことし、来年と下がり続けて、さらに、それ以降もマクロ経済スライドが導入されるということであるから、ずっと物価上昇に年金支給額が追いつかず、実質的に下がり続けることになっていくわけである。そういう中で、このような負担増が行われていくのは非常に問題だと思う。
知事に尋ねるが、今申し上げたように、年金は下がっていく。消費税は上がっていく。「消費税増税は社会保障のためである」と言ってはいるが、実態としては、社会保障制度そのものの負担も重くなっているという状況があるわけである。このような高齢者いじめの政策中止を求めるべきではないか。
◯健康福祉部長 後期高齢者医療の保険料であるが、低所得者に対して、収入に応じて7割、5割、2割という軽減、健康保険の被扶養者から移った方については、激変緩和ということで、当分の間5割を軽減するということも、既に法律で定められているわけである。
制度導入当時、これまで負担のなかった健康保険の被扶養者の方に新たに負担が生じるといったことや、75歳以上を他の保険制度から切り離し、制度の導入を円滑に進めるということから、その特例として軽減措置が拡大されているということである。
特例については、国民健康保険の保険料負担との不均衡──年金収入80万円以下の方が国民健康保険であると2,650円であるが、後期高齢者医療になると360円といったようなこと、また、健康保険の被扶養者から移った人とそうでない人との保険料負担の不均衡といった問題もあって、本来の法律上の制度に段階的に戻すことについて、国のほうで検討しているということである。
この制度の見直しについては、現在、社会保障審議会の医療保険部会で議論されているということであって、県としては、この議論の推移を見守っていきたいと考えている。
◯佐藤委員 部長に実務的な話を聞いているのではない。知事に尋ねているのである。年金は毎年下がっていく。後期高齢者医療の保険料は年金から天引きされるのである。だから、年金は下がっていく。その中から額がふえて、さらに天引きされているわけであるから、実質使える可処分所得がぐんぐん減っていくわけである。こういうことでいいのか、知事としてどう思うのかということを尋ねている。
◯知 事 この制度の見直しについては、もちろん高齢者の負担の問題もあるし、国民全体としてこれを若い方、いろんな方が支えている問題があるので、現在、社会保障審議会の医療保険部会において議論されているところである。
県としては、全国知事会としてもそうであるが、この議論の推移を見守りたいという状況である。
◯佐藤委員 どんどん急激に、何もかも負担がふえてくる。収入は減っているわけである。やはり、政府に対し、こういうやり方は見直すべきだということを、福井県知事として知事会の場で要望される考えはあるか。
◯知 事 これは、それぞれ知事会としての委員会があって、そうしたところで実務的な議論をし、全体に知事会としての議論をするわけである。
今申し上げたように、国民全体としての負担の議論があり、そのサービス水準をそれぞれ若い方、あるいは年配の方はどうするかというのがあるので、この問題については、そういう状況で今対応しているということである。
◯佐藤委員 これだけではないのである。次に、医療の問題で尋ねる。
厚生労働省の調査では、2004年度と2012年度との比較で、入院期間が15.01日から13.43日へ短縮されている、治癒率は8.72%から4.3%と半分になっているという調査結果が出されている。
そこで、福井県のデータを尋ねるが、同じ期間の入院期間及び治癒率の福井県内のデータ並びに県立病院のデータを尋ねる。
◯健康福祉部長 今の佐藤委員が示されたデータについては、平成15年に大学病院等から順次、急性期の病院に導入されている包括医療費の支払い制度、いわゆるDPCを評価するために国が行っている調査のデータである。
平成16年度、県内の導入病院が福井大学病院だけだったという状況で、そのときは在院日数として20.82日、治癒率は公表されていない。平成24年度は、県内の対象病院は11病院あるが、在院日数では14.5日、退院時の治癒率は単純平均で2.5%という状況になっている。
それから、県立病院であるが、県立病院がDPCを本格的に導入した平成22年度の在院日数が15.17日、治癒率が0.3%であった。平成24年度では、在院日数が13.82日、治癒率が0.1%ということになっている。
ただ、通常、入院の必要がなくなっても、通院とか服薬を続ける方がたくさんいらっしゃるので、こういった方は「治癒」という項目じゃなくて「軽快」に区分されるということで、両方足すと、平成22年度では84.8%、平成24年度では90.6%と増加している状況である。
◯佐藤委員 データの取り方がいろいろあるが、少なくとも今の部長の答弁でも明らかになっているのは、全国的なデータで入院期間が13.43日に短縮されているということで、福井県内の病院では14.5日、県立病院では13.82日だということである。全国的なデータでは、治癒率は4.3%へと大きく減っているけれども、福井県内の全病院では2.5%、県立病院では0.1%の治癒率だということで、福井県のほうがある意味では悪いわけである。
だから、治っていないのに退院させられてしまうという問題があるわけである。私どもがいろいろ回っていても、「とにかくお年寄りは早く出ていってください」と、平たく言えば、病院の診療点数が減っていくので、だから、もう病院にとっては「お金にならないから、お年寄りは早く退院していただきたい」ということで追い出されるという話を幾つも聞いているわけである。
福井県内の病院、県立病院がこんなに冷たいようではだめじゃないか。これはどうなっているのか。
◯健康福祉部長 この調査のいろいろなデータについては、国の中央社会保険医療協議会のほうでも評価を行っている。
それでは、入院期間の短縮の問題であるが、これは各病院の努力もあるし、医療技術の進歩で体に負担の少ない内視鏡、あるいは血管治療手術の増加もある。また、早期のリハビリによる機能回復、あるいはがんの化学療法なんかも、入院から通院でもできるようになっているといった原因もあるということで、これは県内でも同じような状況があろうかと思う。
また、治癒率の低下については、高齢者の患者の方が多くなってくると、入院目的は入院の疾患について治療するのであるが、既往症である糖尿病等、そういった基礎疾患は退院後も引き続き通院で診てもらうといったような状況もある。それは先ほども申したが、「軽快」という区分──治さないでほったらかして出したということではなくて、一応、入院するような治療は終えて、通院につなげているといったようなことも、両方をまとめて評価すべきであろうということが国のほうの分析に出ている。これは、県としてもそのように考えているところである。
◯佐藤委員 患者と家族の気持ちは全くそんなことではない。ちなみに、国はどういっているかというと、「医療・介護に係る長期推計」というのを政府が出している。ここでは、さらに入院期間──1ベッド当たりの平均在院日数を2割から3割短縮しようと、こういう推計を出しているわけである。
こういうのはさらに悪くする。悪くするというのは、高齢者患者、高齢者じゃなくても患者に対して、「もう手術が終わったらすぐ退院してください」、「治っていなくても、もう退院してください」ということで、どんどん退院させていく。ベッド数を根本的には削減して医療費を抑制しようということにつながっていくから、これは大問題だと思っているが、今の健康福祉部長の答弁だと、これは問題だと思っていないわけである。
問題だと思っていないとすると、今、国が長期推計で出しているあと二、三割平均在院日数を短縮しようじゃないかという方針も、福井県内の医療機関、県立病院を含めてやられるつもりか。
◯健康福祉部長 入院期間の短縮は、治さないうちに出すというのは本末転倒であるから、問題であるのは当然のことである。それは、入院日数を減らしてでもちゃんと治せるということが一つある。
もう一つ、2025年、団塊の世代が75歳以上になるということから増加しているわけであるけれども、高血圧、糖尿病といった基礎疾患を持つ患者、回復までには時間のかかる患者が多くなってくる。そういった面で現在、急性期を担う病床が現状は多いのであるが、今後は、そういった急性期を脱して、患者を受け入れる回復期の病床、あるいは、在宅のままで身近な地域でリハビリを受けられるといった体制、こういった確保も重要である。医療と介護の連携による地域包括ケア体制を整備するといったようなことで県としては進めているところである。
◯佐藤委員 これ以上、そういう在院日数の短縮に粛々と乗っていくことは、大きな矛盾を来すと思う。現場は何と言っているかというと、医療現場は、「医療度の高い方を在宅へ追い出すということになるとどうなるか」と言うと、「例えば、点滴とか、吸たんなどが必要な患者がいる」と言う。では、「在宅患者をフォローできるか」と言うと、「患者がどんどん在宅に行って、そこをフォローできる看護師さんがそんなにいるわけではない」と言っている。
急増しているサービスつきの高齢者住宅といっても、月12万円から13万円かかる。国民年金とか、収入の低いお年寄りは、そういう施設にとても入れない。在宅に行っても、若い人が仕事をやめて面倒を見るか。そういうような介護離職とかにもつながっていくわけである。こういうことをどんどん強行していけば。
だから、実際に医療度の高い患者さんを在宅へどんどん追い出していくというのは、今、医療現場の声でも紹介したように、地域の実際のそういう体制が整ってないわけであるから、そういう中でどんどん進めるというのは、やはり問題ではないか。
◯健康福祉部長 DPC病院、高度な急性期を担う病院ということで、それ以外に回復病棟を持つ地域の病院がある。そういった面では役割分担というか、まず、急性期でどうしても早く治さないといけない部分は治して、その後、回復については地域の近くの病院の回復病棟で治癒していただく、または、外来でやっていただくという形の連携が重要だと考えている。
例えば、在宅で医療度の高い方を追いやるというような発想にならないように、我々としては、在宅でのそういった医療を受ける方についても、訪問看護、介護といった在宅ケアのサービスを充実した上で、そういったふうに持っていく必要があるだろうと考えている。
◯佐藤委員 充実しないうちには、そういうことはしないでいただきたいと思う。
介護保険も重大な問題である。要介護認定者数3万9,200人のうち、要支援者が8,700人である。数字があれであるが、ざっと22%。こういう方々が今、介護予防支援、居宅介護支援、通所サービス、訪問サービス等々を利用されているわけである。これらの方々が介護保険から外されていくということは大問題だと思う。介護保険料は、年金から天引きされるわけである。さっきは、後期高齢者医療の保険料が年金から天引きされるという話をしたが、介護保険料も年金から天引きなのである。だけど、サービスは受けることができなくなるというのでは大問題だと思う。
そもそも利用状況を見ても明らかなように、要支援者の多くが、関節の機能障害と痛み、心臓疾患などの疾病を抱えて、すれすれの生活を送っているわけである。ホームヘルパーさんの支えで生活の維持、改善がなされているわけである。これらの専門的なサービスを断ち切ることは本当に許されないと思うが、見解を尋ねる。
◯健康福祉部長 先ほどから、今回の見直しも含めて、いろいろな面で見直しの問題を質問していただいているが、基本的に世代間の負担の公平と制度の持続可能性といったことを高めるための社会保障制度改革の一環という側面もあろうかと思う。今回の要支援の問題については、地域の実情に応じて多様な主体の参加をいただいて、効果的かつ効率的な支援を可能にしようといったような側面で実施しようとしているところである。
現在、要支援の方が8,700人ということで先ほど紹介いただいたが、そのうち、今回、市町の一般事業に移行するものは訪問・通所介護というサービスであって、この利用者については4,800人ということになっている。市町の一般事業に移行しても、例えば、認知症の方、あるいは退院直後の、先ほど紹介のあった医療ニーズの高い方などが利用する身体の介護、そういったものは専門的なサービスが必要であるから、引き続き専門家のサービスを受けられるように、提供されることにしている。
ただ、掃除とか買い物といった専門性が必要でない、生活支援的なサービスについては、全国一律の基準での運用から地域の実情に応じて、例えば、シルバー人材センターを使うとか、JAのそういったサービス部門を使うとか、多様な主体で提供するといったことになっている。
県においては、地域でサービス水準に差が出ないように、こういったサービスの担い手の方の育成といったことで、市町を支援していくことを考えている。
◯佐藤委員 結局、専門的サービスが受けられなくなる可能性があるということである。ボランティアであるとか、いろいろ国は言っているが、ボランティアでやる内容と、やはり、そういう専門的な教育訓練を受けたヘルパーさんがサービスするのとは、全く質が違うわけである。ここは、ボランティアのサービスが続くからいいじゃないかということにならないことだけは指摘をしておきたいと思う。
「原子力行政について」
◯佐藤委員 時間がないので、最後の原子力問題で質問する。
知事は提案理由説明で、原子力技術の維持、継承が危機的状況にあることから、新たな研究炉などの整備について、国や大学、事業者等とともに検討を始めることを決定したと述べた。全国に研究炉はあるわけであるが、福井県に新たな研究炉をつくることは、事実上、未来永劫原発推進を続けるということにもつながっていく危険があるのではないかと思うが、知事の見解を尋ねる。
◯知 事 先般開かれた推進会議では、研究用原子炉の新しい規制基準対応とか老朽化により学生とか研究者の実習の場が失われていて、日本の原子力技術に関する危機感とか、安全技術に関する危機感とか、安全運転への影響が多いという意見が出され、国や大学、事業者とともに検討を始めることを推進会議で決めている。
研究用原子炉の必要性については、原子力学会や日本学術会議でも議論が行われていることから、これらの動きと連携しながら検討を進めていくこととしており、どこに何をつくるという、そういう議論までいっているわけではもちろんないわけである。その前段階というか、全体の議論を今進め、どうするかということである。
なお、研究用原子炉は、出力が小さいということ、取り扱う核燃料の量が少ないこと、運転中の水温とか圧力が低いこと、また、崩壊熱除去などに一般の商業炉に比べると余裕のある設計であると、一般に言われている説明である。
原子力が重要なベースロード電源として位置づけられている中で、人材育成のためにこうした問題をどうするかというのは、これから検討すべき課題になるということである。
◯佐藤委員 再稼働を前提、ベースロード電源として原発を推進していくという立場に立てば、そういうことになってくると思うのであるが、原発から撤退することになれば、そういう新たな研究炉の必要性もなくなるわけである。
幾ら原子炉が小さいといっても、核燃料が入ることは間違いない。実際に京都大学にあるが、あれだって使用済燃料とかは、アメリカへ返還しないといけないわけである。厳重な国際的な核管理のもとに置かれているわけであるから、それは小さい、大きいの問題ではないと思う。
それから、再稼働に当たって、一般質問でも聞いたが、住民説明の判断は市町だと知事は言っている。しかし、市町が再稼働を望んでも、知事が「ノー」と言えば再稼働は事実上できないわけである。そういう仕組みではあるわけであるから、県が責任を持って、もっと言えば、知事が責任を持って、きちんと県民、住民に対する説明会というのは主催するべきではないか。
◯知 事 この問題は、原子力発電所の安全、または県民の安全、そして、県民益にかかわることであるので、いろいろな手続とか会議とか、こういう説明等があるが、それぞれその役割に応じて、全体としては安全を確保するのが大事な事柄である。
そこで、福井県としては、住民へのいろんな説明などは市町がこれまでもふさわしく、その実績も上げておられるから、2年前の大飯3、4号機の再稼働でもそうであったが、そのような対応を行うのが一般的であろうということを申し上げたわけである。
◯佐藤委員 知事は一般的と言われたが、一般的でなくて、新規制基準のもとで福井県では初めて再稼働に臨むという局面になってくるわけであるから、県民に対して、しっかりと責任を持って知事が説明するべきではないか。
◯安全環境部長 これまでも答弁しているとおり、県の再稼働の判断であるが、専門委員会、あるいは立地市町、そして、何より県議会の意見を聞いて判断していくと考えている。
~以 上~