2019年10月4日 福井県議会閉会本会議での佐藤正雄議員の討論を紹介します。
◆福井駅西口市街地再開発支援事業、マイナンバー。県立学校統合。
◯28番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
第54号議案令和元年度福井県一般会計補正予算ですが、豚コレラ緊急対策の追加実施など、県民本位の点は評価いたします。福井駅西口市街地再開発支援事業は、総務教育常任委員会でも指摘しましたが、全体計画の青写真が示されないまま県議会に予算措置を求めるものであり、全体像が見えないままで賛成することは極めて無責任な議決となります。また、市道の廃止など、地元商店街からの不満や批判もお聞きをいたします。何より事業費は300億円とも言われ、そうなりますと福井県と福井市の負担額は100億円にも上ります。100億円もの自治体負担につながりかねないにもかかわらず、それにふさわしい説明が行われていないばかりか、今、福井市内各地の施設の統廃合計画などが出されているという福井市財政が厳しい中で本当に必要なのか、福井市民全体のコンセンサスを得られているとはとても言えない事業であり、反対であります。
第56号議案福井県個人番号の利用に関する条例及び住民基本台帳法施行条例の一部改正は、私立高校授業料等減免補助金交付事務や不妊治療、肝炎治療などの助成事務に、本人の同意なく行政がマイナンバーを活用することになり、反対です。
総務教育常任委員会でも指摘しましたが、今、県職員などへの事実上のマイナンバーカード取得押しつけなどが行われております。マイナンバー利用実績を上げようとする政府の通達によるものです。理事者は「県職員に対しても強制はしない」「非正規職員にはカード取得を勧奨しない」などと答弁しましたが、個人情報の一元管理とその情報のカード化は、事故の際には深刻な被害をもたらすものであり、本人の自由意志を尊重すべきであります。
第60号議案福井県立学校設置条例等の一部改正は、武生商業高等学校と武生工業高等学校の統合、丹南高等学校を鯖江高等学校に統合するものであり、反対です。今、盛んに県内市町でも学校統合の計画がつくられようとしておりますが、地域の核である学校をなくして人口回復へ向かうことはあり得ません。生徒数減少時代の学校のあり方として、統廃合ではなく少人数学級など行き届いた教育の実現を初め、歴史ある地域の学校存続を核にした政策こそ人口減少に歯どめをかける上でも必要であります。
次に、請願処理についてであります。
請願第3号地方財政の充実強化を求める意見書提出に関する請願は、地方を担う人材と財政確保を求めるものであり、採択すべきであります。最近の千葉県の台風被害でも、事態の把握そのものがなかなか進まなかった原因の一つに、市町村合併などによる地域防災拠点である役所の喪失と公務員人材喪失が指摘されております。振り返れば福井豪雨のときには、私が奥越ルートで美山町に駆けつけたとき、美山町役場が泥まみれになりながらも、町長、助役を先頭に、事態の把握と復興に邁進された姿を思い出します。あのときは福井市から美山町への道路は不通となっていたのです。町長からかけられた言葉は「佐藤さん、見てのとおりの大災害です」と、「県会議員さんは1人1億円、国会議員さんは1人3億円持ってきてください」と、そういう言葉でした。今、同様の災害が美山地区を襲ったらと考えるとぞっといたします。巨大災害が連続する時代だからこそ、財源と人材をより住民の近くに配置することが真に強靭な国土づくりとなります。
請願第5号教職員の長時間過密労働解消のため、1年単位の変形労働時間制の導入ではなく、定数の抜本的改善を求めるものであり、採択すべきです。御承知のように福井県は上中中学校での教員過労自殺事件、池田中学校での中学生の校舎での自殺事件を引き起こしております。このようなことは繰り返してはならないと県議会でも真剣に議論し、理事者も努力されております。しかし、現状は中学校の3割の教員が過労死ラインである月80時間以上の勤務をしているという深刻な実態があります。二度と不幸な犠牲者を生まないためにも、国の責任で教員の大幅な定数増を求めるものであり、福井県議会こそ全国に先駆けて採択すべきであります。御賛同をよろしくお願いいたします。
★関西電力原発還流マネー問題意見書討論
◯28番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
関西電力幹部の金品受領問題に対する意見書に賛成の立場から討論いたします。
関電幹部が記者会見で明らかにした調査委員会報告書では、高浜町元助役の森山氏に「発電所を運営できなくしてやる」「お前の家にダンプを突っ込ませる」「娘がかわいくないのか」などと脅され、金品を強要された情景が赤裸々に描かれております。このような脅迫や強要という犯罪行為を歴代幹部社員が長年にわたって受け入れて、税法違反の共犯関係を続けてきた関西電力に社会的使命を担う資格はありません。死人に口なし、みずからをあたかも被害者として描き出そうという姿勢そのものが卑劣であります。お互いがお互いを利用して大きくなっていった、その過程で裏金に手を染めた共犯関係ではありませんか。
長期間、何人もが脅され身の危険まで感じた事実を、警察や検察に告訴告発すればよかったのです。そういう形でうみは出すべきでした。
第一に、国の責任でまず事案の全容解明を行うことが必要です。20年ぐらい続いていたとの報道もあり、退職した幹部も含めた徹底解明と公表が必要です。スーツ仕立券や商品券は使ったが現金には手をつけなかったなどの説明を、まともに信じる国民はいません。直接企業側から関電幹部に渡った分も含め、裏金の流れの全容解明が必要です。
第二に、吉田開発など裏金づくりに関与した企業は、関西電力以外の電力事業者や、福井県や高浜町などの仕事も受注しています。福井県内のほかの電力事業者発注の工事との関係も明らかにすることが必要です。また、県や高浜町の公共事業を通じて税金が関電幹部に還流していたとなれば、税金の私物化でもあり、重大です。福井県も国任せではなく、事態の解明に独自の責任を果たす必要があります。
第三に、マスコミ報道では県庁幹部もいわゆる「森山詣で」を行い、10万円相当を受け取っていた幹部もいたなどと報道されております。関西電力同様、国民から福井県が厳しい目で見られています。杉本知事も調査を行うと表明されましたが、福井県の責任で、いつ、誰が、何を受け取ったのか、行政事務に影響があったのかなかったのかなどを、退職した幹部も含めて調査解明し、県民に公表すべきであります。
第四に、関西電力と県民との関係では、これまでプルサーマルMOXデータ偽装事件、美浜3号機死傷事故など、これまでも信頼関係をなくす事件、事故がありました。今回の巨額の裏金私物化事件、もし第三者によるリークなどがなければ、みずから明らかにすることはなく、森山氏の死去とともに闇に消えていったでしょう。天網恢々疎にして漏らさず。国民、県民を愚弄し、そして社員にはボーナスカットなどを強いながら、この幹部たちの腐敗は断じて許すことはできません。
このような関西電力に、40年超の原発再稼動を初め原発運転の資格はないと強く申し上げて、討論といたします。