今日の福井新聞論説、足羽川ダム事業費倍増に苦言。「県議会の議論も活発だったとは言えない」とチクリ。事業費が1200億円も増え、2500億円となり、大騒ぎした新幹線建設事業費増額の県民負担額より大きいのに、県も県議会も手ぬるいのではないか、という趣旨でしょう。その通りです。費用対効果、どこ吹く風、では行政管理、議会としてのチェック機能を果たしているとはいえません。
ダム事業費倍増 地元負担の軽減に努めよ | 政治・行政 | 論説 | 福井新聞ONLINE (fukuishimbun.co.jp)
もともと西川知事のもとで総事業費1000億円以内に抑制するように求められてスタートした足羽川ダム事業は、知事らの頭の中にはB/Cの発想もあったのかもしれません。それだけに異例の事業費抑制を確約させるなどした経緯もありました。その協議記録は国と県に公文書として保管されているはずです。
私は当時、県議として「巨大ダムは本当に必要か」「1軒あたり200万円もの税金投入❢」と住民の皆さんに問題点を広報紙で指摘し、専門家集団による調査とシンポなども開催しました。そういう立場で主張したのは議会の中でも私だけでしたが・・・。
ひきつづき県民の監視が求められます。
当時の福井新聞、私の議会広報紙より
■福井新聞論説
ダム事業費倍増 地元負担の軽減に努めよ 2023年8月16日 午前7時30分
【論説】池田町で建設を進めている足羽川ダムの完成が3年遅れ2029年度にずれ込み、事業費も約1200億円増の約2500億円に膨らんだ。国土交通省は工程や事業費の想定の甘さについて、真剣に受け止める必要がある。
国直轄の足羽川ダムは04年の福井豪雨を機に必要性の機運が高まり、07年に河川整備計画が策定された。国内最大級の洪水調節専用の流水型ダムで、河川改修効果と合わせて福井豪雨級の大雨にも対応できるという。
事業費の増額は、掘削現場の地盤が想定よりも軟弱だったため、追加工事が必要になったことが大きい。加えて物価上昇、工期の延長に伴う工事用プラントなど仮設備の維持費が重なり膨らんだ。工期の延長は、建設現場への完全週休2日制の導入、ダム本体左岸や工事用道路ののり面の崩落による対策工事が原因という。自然が相手の事業でありやむを得ない面はあるだろう。
ただ、事業費の増額は19年に続き2度目。前回は工事単価や人件費の増額、消費税増税などを理由に、当初計画の約960億円から約1300億円に増額している。さらに倍近くに増加すると聞くと、簡単には納得できない。
事業費が大幅に膨らんだり、完成が遅れたりするダム事業は他地域でも見られる。鳥海ダム(秋田県)は今年、28年度の完成予定が4年遅れ、事業費が資材価格や人件費の高騰で約890億円増え約1990億円になることが明らかになった。
設楽ダム(愛知県)は昨年、地すべり対策などの影響で工期が8年延び完成が34年度にずれ込み、事業費も約800億円増の約3200億円に膨らんだ。水没地域の補償交渉、地質調査、資材運搬用の道路造成など工程が多いダム建設は、工期が数十年になる場合もあり、社会、経済情勢の変化を受けやすい。事業費に見合った効果が得られぬケースもあり、柔軟な計画変更が必要だろう。
足羽川ダムの今回の事業費増額に伴う県の実質負担は約160億円。20年の北陸新幹線金沢―敦賀の開業遅れに伴う追加建設費の実質負担より大きい。県は国交省に対し、国土強靱(きょうじん)化予算の活用などできる限りの地元負担軽減を求めているが、中央要請まで行った新幹線の事業費増額時と比べるとあっさりとした印象だ。県議会の議論も活発だったとは言えない。
県民の安全につながる事業であり、コストを削減すればいいというわけではないだろう。ただ、あらゆる手段を使い地元負担の軽減に努めるべきだ。これ以上の完成遅れや事業費増額がないよう、工事の進捗(しんちょく)管理の徹底も求められる。