◇上野・鈴本の新春寿寄席
今東京には4つの定席寄席がある。上野・鈴本演芸場、新宿・末広亭、池袋・池袋演芸場、
浅草・浅草演芸ホールだ。
わが障害者施設支援ボランティアグループでは、先ず寄席で新春初笑いをした後近くで
酒席を設け新年会をというのが恒例になっている。
昨年は浅草演芸ホール。今年は上野・鈴本で新春初笑いを、御徒町の「越後屋」で新年会
を催すことになった。
鈴本演芸場は客席290ほどだが、今日は80名の団体が中央のいい席を独占していた。
開演間もなくで満員だった。
正月興業は出し物も多く、時間も早い。値段も高い(大人2,800円シニア2,400円)。
一ノ席は1月日から10日まで。11日から20日までが二の席である。
12:00に開場し、開演は12:30から。開場と同時に演芸場前の高座で呼び込み太鼓が打ち
出される。
前座ではさっき太鼓を打っていた敏助が若いに似ずなかなか立派な高座を務めた。
出演者は日替わりで、今日は先ず二つ目は鈴々舎風車。次いで、柳家小さん、柳亭市馬、
林家正蔵、金原亭馬生、林家正雀、鈴々舎馬桜、柳家喜多八、主任は鈴々舎馬風。
桂才賀の代わりに出た林家正蔵(9代目)は襲名前はこぶ平で、ちっとも貫禄がない。歳を
経てますます父親の三平に似てきた。それはかまわないが先代の正蔵を知っている眼には
何とも頼りない。
紙屑屋、小言念仏など江戸古典落語のあと馬風が落語とも思えない噺で笑わせる。
もっとも友達のケーシー高峰から「絶対にガンで死なない方法を教える」と言われて3万円
払ったという話は、おととしもやっていた。少しは新ネタを考えないと(ただ払った金は1万円
が3万円になっていた。)。
持ち時間は30分はあるがその3分の1は美空ひばりの歌真似。それも1~2フレーズだけ
やるので何10曲にもなる。下手な歌でないので一応楽しんだが、噺家でこんなに歌をやる
のはほかにいないだろう。
オオサンショウウオみたいな顔貌で、それを売りものにしている。整形を頼んだら「やっても
無駄です。せいぜい野村沙知代くらいにしかなりません。」と言われたとか。(本気にするぜ!)
この合間に色ものとして傘回し(翁家勝丸)、奇術(ダーク広和)、漫才(大空遊平・かほり、
ロケット団)などが入るが大したことはない。
しかし三味線漫談として出演した三遊亭小円歌はよかった。歳の頃なら40前半の歳増。
長身のすらりとした姿で、艶っぽくて、三味線で都々逸や新内節、サービスで「やっこさん」
など踊られると、久しくきれいどころの出る宴席から遠ざかっている男どもにはたまらない。
「三下がり」の意味や、志ん生や〇〇〇の寄席の出囃子をやって見せてくれたりして、なか
なかよかった。
「こちらを向いた流し眼がたまらなかった。」と某氏は感じ入っていた。(もっとも小円歌の方
は「今日は私好みの男は一人もいない。」と言っていた。)
さて、そのあとは「越後屋」で新年会。
かねて悪徳商人越後屋と悪代官を懲らしめる黄門さまの寸劇を仕立てて、施設慰安訪問
をやるかという無謀な企画をしたことがあった。既にキャスティングは決まっている。
越後の肴で越後の酒飲ませる「越後屋」はその悪徳商人と全く関わりがないが、寝た子が
起こされて大いに盛り上がり、今度の懇親旅行では一場面を試しにやってみようとなった。
実に楽しみである。
正月興行の落語を聞くとその年1年は無病息災だという。そのせいか一ノ席は毎年満員の
盛況とか。
笑いはとりあえずその時間は人を幸せな気分にする。
体内ホルモンか免疫物質かなんだか知らないが、活発になるのだろう。笑いのもたらす
疫学的効果は知られている。
今日は何となく寿命が1年くらい伸びた気分。
来週は浅草演芸ホールへ行くので更に1年は伸ばせる。
(以上この項終わり)