読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

戦慄の超絶サスペンス

2011年01月07日 | 読書
フィップ・マーゴリンの「野生の正義」原題:Wild Justice)
                著者:Phillip Margolin 訳者:加賀山卓郎     2001年6月刊 早川書房

 先にフィリップ・マーゴリンの作品「黒い薔薇」の読後感をご紹介した。作者は大学卒後2年間平和部隊
(日本のJICAの海外青年協力隊のようなもの)に参加したのちにニューヨーク大学で法律の学位を取得
した。弁護士の資格を取り、取り扱った死刑訴訟はすべて勝訴しているというつわもの。
デビュー作は「封印された悪夢」であるが「葬儀屋の未亡人」、「暗闇の囚人」、「炎の裁き」、「女神の天秤」
など出せばヒットの10割打者との声もある。

 登場人物は弁護士、警官、保安官、外科医師、病院事務局長、研修医、検察官、裁判官、マフィアの親玉
殺し屋、麻薬の売人・・・。
 監禁・拷問・惨殺・解剖・臓器売買・・・。これでもかとばかりに凄まじい場面が繰り広げられる。何しろ生首
や切り取られた手首が何度も出てくる、近くの森からは暴行・凌虐された9体もの死体が掘り出されるなど
とにかく情景が凄まじい。
 最後にどんでん返しがある。(といっても物慣れた読者には何となくわかってくるが…。)主人公は女性弁護
士であり、法律手続きや法廷場面もあるが、単純なリーガルサスペンスではない。むしろ連続殺人鬼はだ
れか。犯人探しをめぐるストーリー展開の面白さが中心である。

 最後まで息をつかせない。「葬儀屋の未亡人」の方が面白かった気もするが、読者を眠らせない作家の一
人とされるF・マーゴリンの面目躍如というところである。

  

  (以上この項終わり)

  
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする