◇ 『遮断―警視庁失踪課・高城賢吾』 堂場瞬一 2011.10 中央公論社刊(中公文庫)
おなじみの警視庁失踪課シリーズ。刑事高城賢吾とその部下の活躍。今回はIT技術者のインド人
の行方不明と厚生労働省の審議官の失踪を軸に話が展開する。
上司の阿比留真弓、部下の明神、醍醐、森田、六条(なんと厚労省審議官はこの六条の父親なの
だ)、田口。かれらのキャラクターはよく出来ているとは思うが、余り際立たせると嫌味にもなる。
たまたま同時期に発生し失踪課の扱いとなったこの二つの失踪案件は関連があるのかないのか。
事件なのかはたまた単なる失踪なのか。
そのうち審議官の家に1億円の身代金が要求されたてきた。インド人技術者は殺人事件となる。
同時に二つの事件を発生させ、その関連から話を展開させていくのは小説の手法としてはよく使う
手だが、今回はどうもむりやり仕立てた感が強く必然性が弱い。そもそも厚生労働省審議官が扱う
高度人材確保促進自体施策として有効性を問われるしろもの。
今回の作品はあまり高く評価できない。
(以上この項終わり)