◇稀代のストーリーテラーR・ゴダード
「蒼穹のかなたへ(上/下)」(原題:INTO THE SKY) 著者:Robert Goddard
訳者:加地美知子
1997年8月文春文庫刊
ゴダードはイギリスの作家だ。ケンブリッジ大学卒で歴史学を専攻している。
稀代のストーリーテラーと呼ばれる。かつて高い評価を得ている 「千尋の闇」(上
/下)を読んでそのプロットの重厚さに圧倒されたが、この「蒼穹のかなたへ」
も、登場人物それぞれの人生の交錯が生み出した事件・悲劇が最後に解き明
かされる。もっとも少し慎重に読んでいれば、伏線に気づくのだが・・・。
五十一歳の飲んだくれの中年ダメ男ハリー(とにかく暇さえあればビールを飲ん
でいる)。独身(もっとも英国の男性は中年まで独身でいるのは少なくない)。
収賄の讒言で会社を追われ、昔部下であった国防次官の計らいで別荘の
管理人という名目で怠惰な生活を送っていたが・・・。
そこに鬱病の静養のため別荘に滞在することになった清楚で誠実な娘ヘザー。
実は彼が追われた会社の社長の次女。その女性に誘われて出かけた山で彼
女は忽然と消える。当然警察に疑われ訊問を受けるが、彼女は誘拐されたの
か、殺されのか、はたまた自らの意思で身を隠したのか。証拠不十分で釈放さ
れたハリーは自分の手で真相を探り出そうと、残された彼女が撮った写真を手が
かりにギリシャとイギリスを走り回る。
このあとは省略するが、屈託した人生を送る主人公、その友人である国防次
官ダイサートとそれをとりまく大学時代の同級生の数奇な人生。これらが綾なす犯
罪と醜い家族や夫婦の姿。
=人の善意の恐さを語って尽きない鬼才が展開するゴシック・ロマン=これはこの
本の惹句である。
(この項終わり)
◇「あけぼの山」桜とチューリップフェスティバル
先週の土曜日もまずまずのお天気で、東京の「飛鳥山公園」と「上野恩賜公園」
の桜を堪能したのだが、今週も昨日の土曜日は風も殆どなく、穏やかな花見日和
だった。
三女の家族と一緒に柏市布施にある「あけぼの山公園」へ出かけた。
飛鳥山くらいの小高い丘があけぼの山。
あけぼの山は昔から桜の名所で、子供らをつれて花見に来たのはもう数十年
位前になる。そのころ既に小規模のアスレチックなどもあったが、いまでは近く
農業公園が整備されて風車や花園、芝生地などがあって、多様な遊びができる
ようになった。
(画像をクリックすると大きい画像が出ます。)
山裾には関東三大弁天の一つ「布施弁天」で有名な「紅竜山東海寺」がある。
そこから利根川の堤防までは風車がある公園が広がっていて、今はチューリップ
が花盛り。多勢の家族づれがチューリップを楽しんでいた。
農業公園の一角にはバーベキューガーデンがあって、ボランティアグループで一度だけ
利用したことがあるが、雨に会って余りよい印象が残っていない。昨日と今日の
2日間、「チューリップフェステバル」が開かれていて、模擬店やステージのウェスタンミュージッ
クや舞踊などの催しなどがあり、沢山の人で賑わっていた。福島県の只見町か
らのプレゼントという小さな雪山があって、子供らはそりすべりの順番待ち。
驚いたことに「あけぼの山」の桜はまだ満開状態で、そよ風にたまに花びらが
ちらちら舞うという絶好の花見となった。模擬店で買ってきた岩魚の塩焼き、ソー
セージ、焼き豚に「タケノコごはん」。
あけぼの山
多分今回の花見が今年最後の花見になる。
(この項終わり)
◇パンと紅茶で
雨の日は静物画を描くことが多い。
光が弱く陰影がつけにくいので、少し影を強調して存在感を出す。
これだけ対象物が多いと、視線が分散してしまう。
主役は一体誰だ。
やはり籠の入ったパンか?
それにしても紙の質感はいつ描いても難しい。ガラスのカップとソーサーも。
ガラスの質感と、ガラスを通過した透過光線や液体の扱い。表現方法をもっと
勉強せねば。
(以上この項終わり)
◇新宿御苑の桜
今年の花見の時期は天候不順で、桜も戸惑っている。昨7日は新宿の天ぷら
の老舗「つな八」で昔の職場の同期会があった。「つな八」は創業80年とのこと
であるが、われら同期の連中が会社に入ったのは今から49年前の昭和36年
(19969年)。来年は50周年で既に半世紀になると思うと感無量である。
後は坂道を転げ落ちて、マーケット崩壊の傷跡が今なお癒えないいままの70代。
当時15人いた仲間も一人減り、2人抜け、ついに8人になってしまった。
会食の後「新宿御苑」の桜を見る会へ移行。新宿御苑は環境庁の所管で、大
人の入園料は200円。70歳以上の高齢者割引もない。都営なら多分タダだろ
う。
今日の都心は寒々しい霧雨の降る、まるで3月上旬のような陽気で、桜の下で
シートを敷いて宴をともくろんだ人たちも何んとも盛り上がらない風情であった。
飛鳥山の桜が600本、上野恩賜公園が1200本というが、ここは400本の割
に園内が広いせいか、飛鳥山よりも多いような気がする。桜は主力の染井吉野
のほか大島桜が結構多い。桜の種類を記した札が樹に掛けてあり勉強になる。
「関山」という桜は未だ堅い蕾のまま。「」という桜は既に花が終わって実を付け
ていた。
小彼岸桜と大島桜
枝垂れ桜 修善寺寒桜
今週末には三女の家族と「あけぼの山農業公園」の「チューリップフェスティバル」に
出かける予定。もしかすると最後の桜が楽しめるかもしれないし、既に葉桜に
なっているかもしれない。
(以上この項終わり)
◇花見のはしご(飛鳥山公園と上野公園)
<飛鳥山公園の桜>
不安定な陽気で、小寒い日や雨の日が続いて、桜の開花もどうかと思ってい
が、東京では平年より早い開花という話で、近くの並木の花も3分咲きになった
ので、それではと花見に出かけた。
近場で花見と言ったら六高台(松戸六実)、松戸常盤平、あけぼの山公園、清
水公園、柏の葉公園、江戸川堤、麗澤大学構内など選り取り見取りである。人
によっては東京理科大構内も良いとか。
妻は明後日清水公園に行くし、私は7日に新宿公園に行くので、今日は東京
北区の「飛鳥山公園」に出かけた。
「飛鳥山」は徳川家光が権現様を祀って、吉宗の時に大いに整備され、江戸
の庶民の花見の名所になった。だが有名な花見の名所も桜の時期に訪ねるの
は初めて。
飛鳥山は京浜東北線上中里辺りから王子駅まで線路に沿って細長く伸びる
台地で、古墳などもある。
王子駅を降りて道を渡ればすぐ飛鳥山で、細い道を上っていくが土曜日で花
も見頃とあって大変な混雑で、歩行者も渋滞している。大した上りではないがお
年寄り向けにケーブルが走っている。「アスカルゴ」飛鳥山とエスカルゴを組み
合わせたものか。
[画像をクリックすると大きい画像で見ることが出来ます。]
相も変わらず桜の下は花より団子組がしっかり場所取公園になっている。
それでも山にある桜は平地の道路脇の並木とはまた違って、結構変化があ
って面白い。
公園の外れには「渋沢栄一史料館」がある。その前に渋沢記念庭園があり、
そこには栄一が喜寿の祝いに当時の清水組(今の清水建設)社長から貰った
という「晩香蘆」(バンガローをもじったとか) という凝った洋館と、栄一が門下
生の団体「竜門社」から、80歳のお祝いと、男爵から子爵に昇爵したお祝いに
贈られたという論語関係の書籍を集めた図書館の建物がある。
いずれも国の重要文化財である。
<上野恩賜公園の桜>
まだ1時ころで、このままではもったいないと、ちょっと足を延ばして上野恩賜
公園の桜を見に行った。飛鳥山の桜は600本。上野は1200本と規模が違う。
それにしても腹が空いたので何処かで昼食をと思ったが、どこも満員で行列
を作っている。こんなことなら今朝作った筍ご飯をおにぎりにして持ってくればよ
かった。と思ったが後の祭り。
上野の桜は清水堂下から国立博物館前の噴水までがメインストリート。今日
は桜が満開、しかも土曜日ということもあって道路は超満員。押すな押すなの
盛況で、とてもまともには歩けない。
老若男女ごったまぜで、外国人も多い。さすが花見のメッカで、桜の下での宴
会はもちろん、桜がないところでも花より団子組が酒宴を開いている。
勿論花は古木で、道に覆いかぶさるように両側から迫り、夜桜はさぞや風情
があるだろうと思わせる。
実は不忍池の弁天島までの桜並木は、湖水に映る桜花の情緒的な姿が
なかなかいいのだが、今日はここまで。
(この項終わり)