こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

むのたけじさん、2015年6月7日長野市での訴え

2016-08-21 17:30:28 | 政策・訴え・声

安倍内閣が企てている戦争のできる日本への道をぶっ壊すために私の言葉が役に立つならば、20分どころか、20時間でも、200時間でもしゃべり続けたい。
私は21歳から今日までジャーナリスト・評論家と言われる仕事を80年続けて、いろんな場面、いろんな集会を見てきました。そして、今日ここまでの皆さんの、この会場に満ちているムードを感じて、安倍内閣の戦争回復計画は必ず打ち壊されると確信します。そのエネルギーを象徴しているのが、この会場に集まった長野県民の皆様のハートの熱の高まりです。お互いに頑張り通しましょう。
私は、従軍記者として戦場を経験してまいりましたが、戦場に行ったとたんに、人間の全身を襲う恐怖があります。相手を殺さなければ、自分が殺される、自分が生きようとすれば、相手を殺さなければならないという、この絶望的な恐怖の心理は、三日続いて四日目には壊れます。同情感もすべてなくなります。それゆえに戦場の悲劇、略奪、暴行、火をつけると、こういう状態が5000年前に人類が戦争を始めてから、ずうっと続けられてきました。
戦争を支持する人々、例えば安倍晋三という人は誰も言わなかった積極的平和主義という言葉を用いました。積極的な平和主義って何でしょう。「安倍晋三よ、消極的平和主義というのはあるのか」、明らかに自分の政策は、すでに集団的自衛権の行使なんぞという言葉で持ち出されたように、憲法9条の戦争放棄、軍隊を持たない、兵器を持たないという、今の体制をなし崩しにして元の軍国日本への体制へ戻ろうとする企みです。そのために積極的平和主義という言葉を使っている。私たちは、それを決して許すことはできません。
あの15年戦争の間、私は新聞記者として日本の国内のあちこちを見ました。申し上げますが戦争になれば、戦場だけではありません、国内を銃後と言って軍隊と同じように命令と服従の論理で締め付けてきます。そして、食い物がない、配給制度になる、少し変わったことを言えば、国民に非ず非国民と言って疎外します。軍隊のいる場所だけでなしに家庭も職場も学校も非常につらい場所に追い込まれます。そして、問題を起こしたくないために「見ざる、聞かざる、言わざる」の、自分で自分にコントロールをかけるようになります。
そして、もっともつらい思いをするのは誰か、子どもたちと女たちです。なぜならば13歳未満の子どもは、戦争のために何の役にもたちません。15歳以上になれば少年兵とか軍需工場の援助とかありますけでも、それ以下の子どもは邪魔者扱いされます。だから3月10日の東京大空襲の後、東京の子どもは富士山麓へ学童疎開という形で追い払われました。私は新聞記者としてそこへ取材に行きました。そしたら子どもたちは、うわーて寄ってきた。見ればもう食い物は足りなくて、かさぶた、目もくしゃくしゃ、そして私に抱きついて言うのです。「東京から来た新聞記者さん。私たちはお母さんと一緒におれば一番安心です。それなのに、なぜこんな山間の町に送られたのでしょうか。新聞記者さん、東京に帰ったらすぐ文部省や大人たちに言ってください。僕たちみんなが東京に帰りたがっていることを。そして、その僕たちの願いをかなえさせてくれるというなら、子どもたち全員で富士山のてっぺんまで今登ってお見せします。」
何のための戦争なのか。子どもたちはまるっきり見当もつかない苦しみで、もだえている。私は80年間文書を書く仕事をやってきて、ポロポロ涙をこぼしながら書いたのは、この子どもたちの言葉を記事にするため有楽町の新聞社で字を書いているときでした。
こういう戦争がどうして人間の喜ぶ社会をつくることに役立つでしょうか。女たちは、今では女性の兵隊もおりますが、戦争は男どもでした、何千年の間。夫、兄弟を戦場へ送った後、後を守って苦しみながら軍需工場への応援などに駆り出されたり、あるいは敵に空中から攻撃されて火事が出たら消す訓練をさせられながら、必死になって歯を食いしばっている。
私は農村の農家へ行きました。そこの主人が戦死したという通知が来ました。奥さんは納戸に入って、おーいおーいと泣いています。ところが集まってきた在郷軍人、やくざのお偉方、そういう連中は、泣くおかみさんを「そういう軟弱な弱い心じゃだめだ。私の夫はお国ためと天皇のため見事に死にましたと言って、けなげにこういう言葉を言いなさい。新聞記者がそこにいるじゃないか。」私はその時に天皇体制で本当のことを書けないならば、そこに制約があるとしても、ウソは決して書かないとその時決意したものです。
それが戦争なんです。もう終わりの言葉を言わなければなりませんが、これだけのことを聞いても、豊富な時代を持つ子どもたちに悲しみを与え、命の母である女性たちにうそつきの美辞麗句を言わせる戦争、どうして私たちはもう許すことができるでしょうか。
本当に腹を決めて、がんばろうじゃありませんか。おしまいに長野県の皆様に申し上げます。戦争を無くすために、男と女とは本気で愛し合おうじゃありませんか。もし男どもが女性たちを本気で愛したならば、どうなるか。この愛する女たちを未亡人にはできない。自衛隊でも軍隊でもいかんぞ。そういう決定をするでしょう。女性たちは、愛する夫、愛する恋人を、死亡率の高い戦場にはやらない。絶対、戦争反対だ。こうなれば男女の協力によって戦場に行く人間は、ほとんどいなくなるじゃありませんか。
よく戦争を無くすなんてそういう大きなことを言って、できるはずがないといいますが、本日、ただいま男と女が真剣に愛の花を咲かせたら、長い年月をかけず、数日にして戦争のできない国家体制が作れるんじゃありませんか。
私は、今日のこの集会は、全国各地であっちこっち同じような集会が催うされているはずです。私も何か所か別のところでも呼ばれましたが皆さんの集会に来たいからここへきましたけれど、きっと、きっと長野県の皆さんの今日の集会が、日本の過ちを防ぐうえに大きな力を発揮したと振り返る時が来ると思います。お互いにきっちりと腕と腕を組んで、戦争のない平和な社会、世の中を実現するためにとことん頑張り通しましょう。
よその県からこの集会に呼んでいただいたことありがたく御礼申し上げます。100年も生きていたから、こういう喜び方。皆さん長生きしてくださいよ。戦争で殺されるな、戦争を殺せ。がんばろう。(文責:中川博司)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

むのたけじさんが亡くなった。

2016-08-21 11:02:32 | 憲法・平和・沖縄
2015 6 7NO!戦争する国 長野県民大集会 むのたけじさん
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋の足音

2016-08-21 10:55:35 | 季節風物

たわわに実るリンゴ、一つだけ駆け足のやつがいる。


ある日の夕方の松本城。涼しげにお堀に映る。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする