2,長野県と沖縄県との交流の意義について
【中川】知事は長野県と沖縄県との間で連携協定を結ぶとしていますが、その目的は何でしょうか。太平洋戦争末期、沖縄においては地上戦が戦われ沖縄県民の4人に1人が亡くなっています。沖縄での地上戦は松代大本営建設の時間稼ぎであったのではないかと言われています。一昨年、那覇にある第32軍司令部の保存活動をしている皆さんが、松代大本営に見学に来て、交流をしています。その際、信濃毎日新聞と琉球新報が行ったアンケートによると、両県民の約8割が二つの壕を「保存・活用した方がよい」と答えています。一方、司令部のあった32軍壕について長野県民の46%が「全く知らない」と回答し、松代壕について沖縄県民の62%が「全く知らない」と答えています。連携協定で重要なことは、互いの歴史と文化の交流を基礎に置くことが必要と思いますが知事の考えをお聞きします。
【知事】沖縄県との間では、お互い海と山など、個性の強い、対極の強みを持った県同士だと考えております。コロナ禍でなかなか往来が難しい状況が続きましたが、しかしながら、そうした中にあっても、チャーター便の就航をはじめ、観光商談会や物産展、食材提案会の開催、子どもたちの交流等、様々な分野での交流・連携を進めてきました。
こうした中、今月沖縄県を訪問させていただき、玉城知事と会談をいたしました。年度内に交流連携協定を締結しようということで合意をしたところでございます。
この協定締結の目的でありますけれども、双方がしっかり交流・連携していく上での目的、あるいは、内容、こうしたものを明確化いたしますとともに、将来にわたって交流・連携の取組が継続的に行われるようにするものでありまして、この連携協定を契機に共に発展していく道筋をしっかりつけていきたいと思っております。
協定には、将来の定期便運航を目指した観光誘客をはじめ、産業振興に資する取組、地球環境の保全に関する取組のほか、ご質問にありましたような、互いの歴史や文化も学ぶことができるよう、修学旅行の相互誘客、あるいは、大学生同士による平和学習を含むこども・若者の交流についても盛り込むことを検討しているところでございます。
今後、沖縄県との調整を進め、協定を締結することにより、沖縄県との交流・連携をより一層強化し、双方にとってメリットが大きい関係性を構築していきたいと考えております。
【中川】1月28日沖縄県が主催し、長野県も共催して「沖縄・長野大学生平和交流プログラム」が企画されたと聞きましたが、どのような交流が行われ、どのような成果や課題があったのでしょうか。参加した学生たちから「もっと学びあいたい」という声が上がっています。引き続き、沖縄戦や松代大本営などの歴史に学び、現代の基地問題を考え、未来を共につくりあげていくために、学生や若者の沖縄との交流を支援していったらどうかと思いますが、どのように考えていますか。
【健康福祉部長】県では、県出身戦没者の慰霊碑である沖縄「信濃の塔」の改修整備を機に「信濃の塔」の周知と、戦争の記憶や平和の継承を目的に、県内の大学等と連携した「平和学習会」の開催、県戦没者追悼式への高校生や大学生の参画などを進めてきたところでございます。
沖縄県では、沖縄戦の実情や歴史的教訓を正しく次世代に継承し、平和を希求するためのワークショップを県内外で行う「沖縄平和啓発プロモーション事業」を実施してきたことから、今回本県より共催を打診いたしまして、両県の若い世代による、平和をテーマにした交流が実現したところでございます。
オンラインによる交流会では、両県の大学生による平和活動の報告、「平和へのアクション」をテーマにした意見交換などを行い、参加者から「同世代の人たちと戦争の記憶を伝えていかなければならないという思いを共有できた」との感想をいただくなど、平和への思いの次世代への継承に向けて一定の成果を得られたところでございます。
学生や若者の沖縄との交流の支援についてのご質問でございますが、今回、初めての取組として行ったものであり、このような交流を継続的に進めていくことが今後の課題であると考えております。引き続き、様々な工夫をしながら取組を進めてまいります。
【中川】昨年暮れに沖縄戦などで亡くなった方の名前を刻む沖縄県糸満市の「平和の礎」に、少なくとも50人を超える長野県出身者の方の刻銘がないことが、沖縄県の遺骨収集ボランティアのかたの調査で分かったという報道がありました。沖縄県は、毎年申請を受け付けており、昨年は広島、香川、佐賀、鹿児島の28人が追加刻銘をしています。戦争の記憶を風化させない一つの取り組みとして、より積極的に呼びかけてはいかがでしょうか。以上2点は健康福祉部長への質問となります。
【健康福祉部長】沖縄県が設置しております「平和の礎」でございますが、本県では、ご遺族からの申請に基づき沖縄県に報告しており、沖縄県において審査の上、認定された戦没者のお名前を刻銘することとなっております。
これまで追加刻銘につきましては、市町村や県遺族会等と連携をいたしまして、広報誌等で広く周知を図ってきたところですが、様々なご事情から、刻銘を希望されないご遺族もおられるところでございます。
希望されるご遺族がもれなく申請していただけるよう、SNSなど新たな手段も活用して、引き続き周知に努めるとともに、沖縄戦に関する研究成果や他県の例も参考にしつつ、新たに明らかとなったご遺族に対しては、今後とも積極的に呼びかけを行ってまいります。
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