20180126 国民保護法図上訓練〜訓練部分
20180126 国民保護法図上訓練2〜緊急対処事態対策本部設置
20180126 国民保護法図上訓練@松本〜緊急事態警戒本部会議
2017年12月19日
長野県知事 阿 部 守 一 様
長野県危機管理部長 池 田 秀 幸 様
長野県憲法擁護連合 村山智彦
憲法改悪阻止長野県各界連絡会議 山口光昭
国及び松本市と共同で実施する国民保護図上訓練の中止を求める申し入れ
県は、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」、いわゆる国民保護法の第42条及び長野県国民保護計画に基づき、国及び松本市と共同で、国民保護図上訓練を1月26日に実施すると発表しました。
「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」に定める「緊急対処事態」のための措置訓練の一環として行われる訓練となるものです。
国際テロ組織による県公共施設の爆破、犯人グループの人質・立てこもりという「緊急対処事態」を想定した訓練は、「武力攻撃の手段に準ずる手段を用いて多数の人を殺傷する行為が発生した事態」(国民保護法)に対応する訓練であり、国民保護法の根拠法である「武力攻撃事態対処法」に照らせば、住民の避難・誘導を主たる目的としているといえども、「戦争」または「戦争に準ずる事態」に対応する「軍事訓練」に他ならないと考えます。
そもそも「テロ」は犯罪であり武力行使及び戦争行為ではないとされる国際法上の常識を逸脱し、「対テロ戦争」を正当化し戦争を継続する米国の世界軍事戦略に追随し制定されてきた一連の有事法制を根拠とする「訓練」に他なりません。
災害対策基本法における自治体の役割・責務とは異なり、基本的に国の判断が最優先される「国民保護法」のもとでは、一連の有事法制の基本法である武力攻撃事態対処法が「武力攻撃が発生した場合には、これを排除しつつ、その速やかな終結を図ること」(法3条)を目的とする以上、侵害排除が優先され、国民の生命及び身体、財産の保護はないがしろにされかねない、基本的人権の侵害に及ぶ深刻な矛盾をはらんでいることは、日弁連をはじめとする法専門家からも指摘されているところです。
住民の生命及び身体、財産の保護に責務を持つ自治体としては、国民保護法がその名称とは裏腹に「国家の安全」を「国民の安全」に原理的に優先させるように制度設計されていることを注視する必要があると考えます。
今日、特定秘密保護法、組織犯罪処罰法に加え、新たな安保法制が強行されるとともに、大災害など有事に備えるため、国民の人権や財産権を制限し首相の権限を強化する緊急事態条項を創設するとした憲法改正案が俎上に上りつつあります。
私たちは、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とした我が国の最高法規である日本国憲法の理念に照らし、今次の「国民保護図上訓練」は、県民を巻き込んだ実働訓練も見据えた「対テロ戦争」を想定した「軍事訓練」に他ならず、図上訓練と言えども、テロに対する危機を煽り、県民統制を強め、人権侵害につながることを憂慮します。
国民保護図上訓練について、下記事項により誠意ある対応をとられるよう要請します。
記
1.「県国民保護計画」の基本理念に盛り込まれた「…武力攻撃事態等について、わが国の平和と国民の安全を確保するには、政府の平常時からの不断の外交努力により、これらの発生を未然に防ぐことが何よりも重要である…」との認識に基づき、「国家の安全」を優先する「軍事訓練」となる国民保護図上訓練を中止されたい。少なくとも、住民等を動員する実動訓練は実施しないよう対応されたい。
2.今回のテロを想定した図上訓練及び今後計画する実動訓練等において、計画時からの情報の全面公開を徹底するとともに、県民及び自治体、指定地方公共機関等に対し強制に及ばないよう厳格に対処されたい。
3.「大規模テロ」「対テロ戦争」を想定する「緊急対処事態」において、県知事が要請する自衛隊出動は、治安出動にあたるのか、警護出動にあたるのか、自衛隊法に基づき、その根拠を明らかにされたい。
以 上
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