リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

How old?

2006年03月20日 13時32分21秒 | 日々のこと
堺屋太一さんがおもしろいことを連載小説に書いていました。過去の歴史上の人物を見る上で年齢観の修正が必要だとおっしゃる。つまり、「21世紀に生きるわれわれは、史上の人々とは著しく異なる年齢観を持っている」というのです。彼が言うには、歴史上の人物の年齢(数え年)を1.2倍して3を足したぐらいが、今日の私たちが持っている年齢観と大体同じだとしています。

49歳で死亡した信長は、×1.2+3で62歳、52歳で死亡した武田信玄だと67歳、63歳で死亡の豊臣秀吉だと79歳になるそうです。秀吉なんか晩年の絵を見るとどうみても70は超えているようなジジィにしか見えませんから、この説は結構説得力ありますね。

これを作曲家に当てはめてみますと、バッハとヘンデルは共に65歳で没していますから、堺屋さんの式をあてはめると、81歳!一歳年下のヴァイスだと80歳ですねぇ。なんかちょっと年が行きすぎのような感じがしますけど、みなさんはどんな感じですか?一番思うのは80歳まで生きたらもっと作品があってもいいような感じがしますが、今の作曲家に比べたら、バロック時代の作曲家は一般的にずっと多作ですから、バッハの実感年齢80歳というのもいい線いっているのかも。(笑)

バロック音楽界きってのご長寿、ラインケン(1623-1722)だと、式を当てはめるとなんと122歳!ギネスもんですね。でもラインケンは何とダウランド(1562-1626)がまだ生きているころに生まれた人で、晩年にはバッハに会っています。音楽様式で言えば、ルネサンス様式の末期とバロック音楽の後期をつなぐ人といえるので、ギネスにのってもいいかも知れません。

反対に短命の作曲家だと、モーツアルトが45歳ということになります。あれだけの曲を作るのは35歳の人生でどうやって作ったんだろ?と思う疑問も45歳で死亡となると、「ま、やってやれなくないよな」って感じにはなりますが、これだとなんとなく天才性が少し損なわれるような感じも。

ついでに自分の現在の年齢(54歳)を逆算してみますと、42.5歳。うーん、なかなかいいセン言っていますね。昔のリュート奏者としては油の乗りきった年齢です。もうトシだと思って元気がない方は、逆算すると元気が出るかも。(笑)