リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(19)

2020年10月20日 17時26分49秒 | 音楽系
第3楽章の7~12小節です。



7小節目の五連符は装飾的な音型です。一拍を均等に5等分して弾く必要はありません。四分音符ひとつ(ファの音)でも構いません。

8小節目でヘ長調に転調してフレーズが一区切りします。9、10小節目はリュートを聴かせるためにヴァイオリンには休んでもらうことにしました。リュートは書かれている通りに弾いてもいいですが、ここは即興的なフレーズがほしいところです。

この楽章では装飾的な動きは大体書き込んでみましたが、第1楽章、第2楽章、次の第4楽章ではトリルとかモルデントなどの記号は使っていません。使った記号は、リュートのタブに出てくる記号と同じ記号(丸かっこの右側みたいな記号およびそれが音符の下についた形の記号)を使いました。これらの記号は多義的で、早い動きにつけば軽く短いアポジャトゥーラになり、カデンツのところでの付点音符に付いたらトリルになります。それらをどう弾くかは奏者に任されていますし、それ以外につけても構いません。

(つづく)