リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

楽曲は0円!

2020年10月25日 16時34分50秒 | 音楽系
日曜日のテレビは自動車のレビュー番組を見たあと「そこまで言って委員会」をよく見ます。もっとも私は録画をしたものをリアルタイムより少し遅れて見るのですが。今日はものの適正価格についてやっていました。

その中で楽曲は0円という意見が結構出ていました。ネットで流れる楽曲というのは販売促進のツールに過ぎず、リスナーからすればその中で気に入ったものだけを買い、売り手の方は沢山買われた曲をより販売促進をしていく、という方法です。自分の場合に置き換えれば、YouTubeに映像付きで自分の演奏をアップして、(当然見る方は無料で見ることができます)気に入ったらどこそこのサイトにアクセスして有料ダウンロードとかCDを購入してください、という式が近いかなと思います。

私もこの方式で行こうかなと考えていますが、これが経済的に成り立つのは、演奏・録音・映像制作などすべて自分で行った場合で、例えばスタジオを借りて録音したり、共演者にギャラを払うなどをしたら全く採算が取れなくなります。

大昔(50年くらい前)は、レコードは一定の価格で販売されていましたし、再販はできませんでした。今でも週刊誌、月刊誌の値引きや再販はできません。これは再販による値崩れを避け、制作者、アーチストの利益を守るという視点が世の中に浸透していたためだろうと思います。私が高校生の頃、LPレコード1枚は2千円から3千円していて、時代を考えると今のCDやダウンロードの価格よりずっと高かったです。

それがいつの間にか崩れていき、保護されているのは今やごく一部になってしまいました。購入する方やそれで商売している人たちにはとても結構なことなんでしょうが、これが何十年も続くと、気が付いたらクリエーターがいなくなって取り返しがつかない事態になったのではもう遅いです。音楽でボロ儲けしている人も、ただとかただ同然で聴けると喜んでいる人も、今回のテーマからは外れますが、クリエーターの仕事をああだこうだと言いたいことを言っている評論家も、誰のおかげでそんなことができるのかよく考えてもらいたいです。

今回の番組企画では、いくらが適正かという「結論」を出していくのですが、楽曲の場合は1曲1000円ということになり、なかなかいい結論だったと思います。でも現実はそうではありませんが・・・