リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(10)

2020年10月01日 16時46分26秒 | 音楽系
今回は10~15小節です。

まず10~12小節。



バスのフレーズをヴァイオリンが受け継ぎます。(青で囲んだ部分)緑で囲んだ部分はフーガのテーマの冒頭です。ヴァイオリンパートの12小節目の赤で囲んだ部分(次の13小節目の冒頭まで続きます。)は13小節目でリュートに受け継がれます。



緑で囲んだ部分はフーガの冒頭のテーマを2回繰り返すところですが、2回目は少し形を変えてあります。このようにフーガのテーマのモチーフを使ってフレーズを構成していき、それらを少しずつ変化させていく(展開)という建付けがフーガの基本的な構造だと思います。リュートのパートに合いそうな音を当てはめていくだけの作業ではいけないのです。

某出版譜をもとに私が適当に作ってみました下の例をご覧ください。



ハーモニー的には合っていますが、不統一なモチーフが入り乱れています。これではこのフーガはいったいどこに行くの?って感じになってしまいます。

(つづく)